ニュース

西新宿で電動キックボードの公道走行。Luupが実証実験

左からLuup 岡井大輝社長、新宿副都心エリア環境改善委員会 小林洋平事務局長、⻄新宿スマートシティTF 村上拓也氏

電動マイクロモビリティのシェアサービスのLuupは、一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会と「西新宿地区のスマートシティ化推進に向けた連携協定」を締結し、日本初の電動キックボード公道実証を行なう。

西新宿地区における電動キックボードを用いた実証実験と将来的な電動キックボードシェアリングサービスの導入で協力。また、西新宿地区におけるシェアサイクルサービスの導入、西新宿地区のスマートシティ化への相互協力などでも連携していく。

この取組の第1弾が、西新宿地区で政府認可を得て行なう日本初の電動キックボード公道実証。Luupは、産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」を用いた電動キックボードの公道での実証実験を10月中旬以降に予定。この一つとして、西新宿エリア在勤の人に新しい移動手段を体験してもらうとともに、電動キックボードの適切な走行条件を検討していく。

西新宿のスマートシティ化の一環として展開

また、電動キックボードだけでなく、小型電動アシスト自転車のシェアサービスの導入も予定している。

電動キックボード(手前)と小型電動アシスト自転車

原付扱いだが「自転車専用通行帯」が特例で許可

実証実験では、参加者1名に1台ずつ電動キックボードを貸し出し。専用アプリを用いてキックボードの鍵を解除し、走行する。なお、走行にはヘルメット着用、免許帯同、ナンバープレートなどが必要となる。

電動キックボードは、現行法上は原付(原動機付自転車)扱いのため、自賠責保険の加入は必須。なお、実証実験参加者は、Luupによる対人・対物保険などの対象となる。

ライトやブレーキ、ミラー、ナンバープレートなどが必須に

シェアサイクルも展開しているLuupだが、今回の実証実験は、ヘルメットも必須となり、シェアが難しいことから「レンタル」的な扱いで運用。西新宿エリアの実験台数は未定だが、Luupでは10月中旬以降の実証実験を4カ所(千代田区・新宿区・渋谷区・世田谷区)で予定しており、合計で100台程度となる見込み。

今回の実証実験で緩和される点は、「車道走行だけでなく普通自転車専用通行帯の走行」が可能になること。

それ以外の走行条件は原付きの法令に基づくため、歩道の走行は不可で、二段階右折(片側3車線以上の道路の交差点で2回信号に従うことで右折)も必要となる。そのため、Luupでは実証実験対象者に講習を行なうほか、交通法規に関するテストも実施。テストで満点を取らないと実験参加できないなど、交通ルールの遵守と教育にも力を入れる。

実証のスタートライン。街中を「駅前」に

Luupでは、全国の30カ所で実証実験を行ない、自治体や警察などと協力。また、マイクロモビリティ協議会において、自民党のMaaS議連のマイクロモビリティPTや政府などとの対話を続けてきた。政府の成長戦略でも電動キックボードの制度検討が盛り込まれるなど、電動キックボードシェアの実用化に向けた環境整備に取り組んでいる。

一方、都心では通販で購入された並行輸入電動キックボードの利用も増えており、これらは原付きとしての要件(ナンバープレート、ミラー、へルメット、免許等)を満たさずに使われ、車道を走行している場合も多いという。

Luupでは、こうした事例に注意喚起をしていくほか、関係省庁や自治体、警察と連携して、安全性を実証しながら進めていく方針。今回の実証実験は、「初めて実証のスタートラインに立った。良かった場所だけでなく、危なかったことも含めて実証し、段階を踏んで実用化に向かう」(Luup岡井社長)と強調した。

また岡井社長は、Luupの目標を「街中全ての場所を『駅前』に」と表現。Luupを使うことで、駅から2.5km圏内が“駅前”になり、街中の活性化や賑わいの創出にも役立つと説明。Luupによる放置自転車の削減やポートを設置した店舗への送客なども目標としている。

西新宿の実証実験では、安全性や走行時の問題の確認だけでなく、エリアにおける“賑わい”や回遊性の向上などについても検証を行なう方針。