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横浜銀行「はまPay」がタッチ決済(iD)対応。デビットではなくプリペイド

横浜銀行は20日、スマホ決済サービス「はまPay」をApple PayとAndroidのおサイフケータイに対応し、「iD」加盟店での利用が可能となった。8月20日から対応している。銀行口座連携だが、デビットではなくプリペイド式のiDとなる。

銀行口座と紐付いたプリペイドカードをiPhoneとApple Watchで発行する国内初の取り組みで、三井住友カードとの連携を通じて実現。Androidの場合は、おサイフケータイとなる。対象は13歳以上の横浜銀行口座利用者で、事前にチャージした範囲で支払いが可能

iPhoneのホーム画面

愛称は「はまPayのタッチ決済」で、店舗での支払い時には「iDで」と店員に伝える。はまPayは、これまでQRコード決済のサービスとして展開していたが、QRでもiDでも支払いが行なえるようになる。「QRとiDどちらがいいかお客様に選んでもらう形」としている。

はまPay(タッチ決済)では、1日10万円までのチャージが可能で、金額指定や日時を指定したオートチャージ設定にも対応する。また、タッチ決済で支払うと、支払額の0.25%がチャージ残高にキャッシュバックされるなどインセンティブを付与。日常のキャッシュレス手段として提案していく。

オートチャージにも対応

銀行なのになぜプリペイド?

これまでのはまPay(QRコード決済)は、銀行口座から直接引き落としを行なうデビット方式を採用していた。タッチ決済ではチャージするプリペイド式のため、QRとiDで残高を共有はできない。

はまPayのコード決済

銀行系サービスでは一般的にデビット方式が使われ、銀行直結を強みとアピールしている。今回のプリペイド方式採用については、「口座の資金が悪用された場合に不安があり、メインの生活口座を紐付けられないという声があった。プリペイド方式の財布にプールして買い物する使い方のほうが、ATMから財布に入れるようなイメージになる。特にキャッシュレスに踏み出せていない方にとっては、こういう商品性のほうが使いやすいと考えた」(デジタル戦略部 決済ビジネス戦略室 河原隆史調査役)と説明している。

また、三井住友カードも「あえてプリペイド」の採用を提案したという。「デビットはメンテナンスで止まる時間帯が出てくるため、日曜日の夜間など、お使いいただけなくなる時間がある。今回は、コンビニなど日常使いを想定しているので、チャージさえしてあれば利用できる。利用者の利便性を考えて、プリペイドを提案した。オートチャージもあるので、実際にはシームレスに使えるはず」(三井住友カード 受託開発部 楠木康弘部長)とした。

Androidのホーム画面。ロゴがApple PayではなくiDになっている

iDの採用により、加盟店数は国内100万店以上となり、全国で利用可能になる。コード決済だけでは、横浜銀行や福岡銀行、ゆうちょ銀行などと連携した銀行Pay全体で15万店舗のため、使える店舗は大幅に増加する。

はまPayのQRコード決済については、横浜銀行の顧客である中小企業のキャッシュレス化や、祭りや催事の支払手段として提案していき、利用者には普段使いの決済手段としてタッチ決済(iD)を軸に据える。

AndroidのiD

ECでもはまPay

はまPayのタッチ決済では、リアル店舗で「iD」として利用できるほか、同時にバーチャルVISAプリペイドカードも作成。ECサイトでは、VISAのプリペイドカードとして支払いが可能なため、ECでもリアル店舗でもはまPayが活用できる。なお、「Visaのタッチ決済」はApple Payが対応していないため利用できない。

横浜銀行では、はまPayのタッチ決済の導入目標は5年で10万件以上としており、利用者拡大を図る。また、三井住友カードは全国の地銀での採用拡大を目指す。