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ANAは「移動」から「瞬間移動」を目指す。日常生活を「アバター」に

CEATEC 2019のANAブース

ANAはホールディングス(ANAHD)は、「アバター」を使ったコミュニケーションサービスに参入。物理的な距離を超えたコミュニケーションなどの実現に、独自開発のアバター「newme」を展開し、2020年夏までに1,000体の普及を目指す。15日から開幕するCEATEC 2019に展示する。

newme(ニューミー)は、ANAが独自に開発した“普及型”コミュニケーションロボット。10.1型のディスプレイとバッテリ動作による自走機能、タブレット等による遠隔操作に対応しており、上下60度の首振りや衝突防止機能などを装備する。S/M/Lの3サイズで、高さはSが100cm、M130cm、Lが150cm。約3時間の動作が可能となる。

newme

例えばリビングルームにいながら、遠隔で自宅にいながら水族館を体験したり、東京から大分の釣り堀に「アバターイン」して、VRグラスとともに釣りを遠隔体験するといったサービスを生み出せる。

ANAHDではnewmeとともにアバタープラットフォーム「avatar-in」を開始。専用アプリから行きたい場所ややりたいことを選んで、ログイン(アバターイン)すると様々な体験が可能になるというもの。

将来のイメージとしては、街の中に設置されたnewmeにavatar inして、ショッピングをしたり、病院から水族館に行くといった展開を想定。単純に遠隔でのコミュニケーションを行なうだけでなく、ヘッドマウントディスプレイやグローブと組み合わせた、視覚や触覚での「体験」もアバター経由で遠隔で実現。リアルタイムでのコミュニケーションや作業などに役立てる。

ANAHDでは、newmeとavatar-inを広くパートナーに提供し、遠隔体験を“社会実装“し、社会インフラとしてのアバターの普及を目指す。

newmeをタブレットでコントロール

エアライン6%の壁を超える「瞬間移動」

航空会社であるANAHDがなぜアバターを手掛けるのか?

そこにはエアラインのユーザー数は世界人口の約6%という「6%の壁」があるという。時間やコスト、身体、インフラなど、様々な点で、航空機を利用できる人は限られる。そこで解決策として「瞬間移動」の技術としてアバターを採用。

「現場に行ける」、「周りの環境を変える」といった、エアラインにおける「移動」体験をアバター上で実現できるだけでなく、「外見を変える」「大きさを変える」という、現実にはできない価値も加えられるのがアバターの特徴という。

リビングで水族館
ラボ。二足歩行によるアバターロボットを活用する

VR/AR技術との連携のほか、体調管理などのライフサイエンス系のソフトウェアとの連携、さらに遠隔地での救助活動での応用も想定し、「社会インフラ」を目指す。そのための基盤が、newsmeとavatar-inとなる。

ANAHDは、パートナーとして、東京都、大分県、沖縄県、香川県、加賀市などの自治体や、大阪大学 理化学研究所、デベロッパーの三井不動産、森ビル、三菱地所、阪急阪神不動産、東急、うめきた2期地区開発事業者、百貨店の三越伊勢丹、電通、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクと協力。アバターの社会実装に向けて取り組む。

CEATECのANAHDブースでは、newmeの実働デモのほか、リビング、ラボ、釣り、技の伝承、学校、キッチンの6種類のシチュエーションでのavatar-inを紹介。社会におけるアバター実装イメージを紹介している。

技の伝承。背後のVR HMDをつけた人がロボットの腕を操作しており、「4本の腕」を活用
ロボットは慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)が開発したもの。約12kg
大分の釣り堀につながるアバター。プロジェクタに投影された映像で釣りを楽しめる