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三陽商会、銀座でオーダースーツ開始。“なで肩”などを3D解析

GINZA TIMELESS 8

三陽商会(SANYO)は、三陽銀座タワーをフルリニューアルしたフラッグシップタワー「GINZA TIMELESS 8」を、9月6日にオープン。その中で展開する、3D解析によるパーソナルオーダースーツブランド「STORY & THE STUDY」のデモンストレーションを、メディア向けに実施した。

STORY & THE STUDYのフロア

STORY & THE STUDYは、三陽商会初のパーソナルオーダーブランド。スーツの価格は49,000円から。ウィメンズは、ボトムス(16,000円から)なども用意されている。

STORY & THE STUDYでは、タブレットで撮影した正面と側面の2枚の画像から、なで肩や屈伸体(猫背)といった、人それぞれの身体の立体的な特徴を解析。フィッターの採寸とあわせて、着心地や補正情報等、カスタマイズ項目を反映した完成イメージを生成し、動きやすくかつ無駄な皺のない美しいシルエットのスーツを提案する。

特徴表示画面

オーダー情報は、店舗から福島にあるテーラード工場サンヨー・インダストリーに送られる。工場ではスーツ1着の工程に約70人の職人の手が加わり、通常7,000秒(約2時間)かかると言われるスーツづくりに対しその倍の14,000秒(約4時間)をかけ、1mm単位の調整を行ない、仕上げるという。納期は最速2週間。

店内にはオーダースーツのベーススタイルのラインアップが展示されている

流れとしてはまず、フィッターが採寸。その後タブレットで全身を撮影し、3D解析を行なう。

タブレットで正面と側面を撮影

解析結果から補正すべき部分を判断し、フィッターが調整していく。なお対象となる補正箇所は、ツーピースで69カ所に及ぶ。

デモンストレーションではなで肩の補正を行なった

すべてをデジタルで完了するのではなく、採寸や補正の判断などをフィッターが行なう理由は2つ。1つが実寸を客に確認してもらうため。もう1つが経験と技術を持つフィッターが作業を行なうことによるクオリティ管理。

1回目のみ店頭でフィッティングする必要があるが、2回目以降は採寸データをもとにした、ECでのオーダーが可能になる。例えば、秋冬モデルを店頭で購入し、次のシーズンの春夏モデルはECでオーダーするという使い方を想定している。

同日実施されたオープン記念セレモニーには、パンツェッタ・ジローラモ氏が、STORY & THE STUDYでオーダーしたスーツを着用して登壇。「ディテールがすごく良く、特に普段のスーツでは肩口が固くなりがちだが、仕上がりが柔らくて動きやすい」と感想を述べた。

パンツェッタ・ジローラモ氏。右は三陽商会 代表取締役社長 岩田功氏

この「柔らくて動きやすい」秘訣は生地にあるのかを、三陽商会の担当者に聞くと、生地ではなく補正の効果を強調。「ジローラモさんは肩周りの筋肉が豊富なので、その部分を身体に合わせて補正することで、結果的に動きやすさを実現している」と説明した。

また、3D解析について、デジタルテクノロジー部分を担当するSapeetの代表取締役CEO 築山英治氏によれば、体型データ数万モデルをAIに学習させ、実現しているという。今回データを蓄積していき精度をさらに高めるとともに、利用者自身が自宅でできるシステムの可能性も探っていきたいと話した。

なお、STORY & THE STUDYの名前の由来は、70年の歴史を持つクラフトマンシップ=STORYと、進化するデジタルテクノロジー=STUDY。ロゴの「&」は、針をモチーフとしたデザインとなっている。

STORY & THE STUDYの店頭には、生地やボタンなどを自由にオーダーできることを伝えるため、フロアの入口にカスタマイズ内容などを見られるタブレットを設置。さらにスマートミラーが設置されており、鏡(スマートミラー)の前に立つと3D解析をイメージさせる映像が流れる仕組みとなっている。

入口に設置されたタブレット
スマートミラー