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「内定辞退率」問題で、個人情報保護委員会がリクルートキャリアに勧告

「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、利用者の同意を得ずに、就活生の「内定辞退率」などの予測データを第三者に提供していた問題において、個人情報保護委員会は26日、リクルートキャリアに対して勧告を行なった。

問題となったのは、「リクナビDMPフォロー」と呼ばれるサービス。採用企業に応募する学生の行動ログを前年度のログなどと照合し、「採用プロセスが途絶える可能性」として企業に提示することで、学生による内定辞退を防ぐもの。DMPフォローのスコアは34社に提供されていた。

プライバシーポリシーのわかりにくさが指摘され、7月31日にサービスを休止したが、その後も学生の同意取得フローなどに漏れがあったことが判明。7,983名の学生において適切な同意を得ていない状態で運用されていたという。

リクルートキャリアによれば、2018年6月に「リクナビ2020」の会員登録開始後、2019年3月に現DMPフォローの提供開始とともにプライバシーポリシーを改定。しかし、3月以前にリクナビ2020に登録し、その後第三者同意を行なう画面が表示される機会がなかった会員からは、第三者提供の同意を得ていなかったという。加えて、8月時点においても、会員登録時に表示するプライバシーポリシーが、3月改定以前の内容を表示していたという。

個人情報保護委員会は、個人データの取り扱いに係る重大な変更があったにもかかわらず、適切な判断が行なわれず、また、顧客企業との個人データのやりとりにおいても適切な検討が行なわれていなかったと指摘。プライバシーポリシーの表示などにも問題があり、結果7,983人の個人データが第三者提供の同意を得ずに、顧客企業に提供されたことを指摘し、改善と報告を求めた。

勧告では、(1)「個人データを取り扱う際に、適正に個人の権利利益を保護するよう、組織体制を見直し、経営陣をはじめとして全社的に意識改革を行なうなど、必要な措置をとる」、(2)「今後検討する新サービスにおいても、法に則り適正に個人データを取り扱うよう検討、設計、運用を行なう」、(3)「9月30日までに、(1)の措置を実施し、具体的な措置の内容を同日までに報告する」ことを求めている。

リクルートキャリアは、勧告を受けて、「私たちへの信頼は失墜しており、新卒事業の存続そのものに関わるレベルであると認識している。リクナビDMPフォローで起きた問題の根本は、『学生視点の欠如』と、『ガバナンス不全』にあると考えている」とし、2020年1月を目処に新卒事業の経営体制を変更する。

ガバナンス不全に関しては、「商品・サービスのチェック体制の標準化と複眼的チェック」「プライバシーポリシー改定作業手順の整備・明文化」「プライバシー責任者の設置」「リクルート全体でのスタッフ機能の統合と強化」などに取り組むとしている。