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デジタル復元をしたモネ「睡蓮、柳の反映」を国立西洋美術館で公開

国立西洋美術館と凸版印刷は、画家クロード・モネの作品「睡蓮、柳の反映」の欠損箇所のデジタル推定復元を実施。6月11日から国立西洋美術館で開催する企画展「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」に合わせて公開する。

画布の上半分が欠損した発見時の「睡蓮、柳の反映」
「睡蓮、柳の反映」デジタル推定復元図

睡蓮、柳の反映は、神戸の川崎造船所の初代社長などを務めた松方幸次郎が、1921年にがモネから直接譲り受けた連作「睡蓮」の中の1点で、横4.25mの大作。長い間所在不明だったが、2016年に画布の上半分が失われた状態で発見された。

復元は同作品残存部分と、破損前に撮影された、作品の全図が写った白黒写真を主たる手がかりとして実施。凸版印刷がデジタル復元による制作を担当した。

国立西洋美術館が実施した残存部分の科学調査により、作品に使用されている絵具を特定。同様の絵具を用いて原寸大に描き、同時期の他の作品と比較することで、モネが描く際の手順や特徴などを探ったという。

また、白黒写真から得られる色彩情報の精度を高めるため、フランス文部省・建築文化財メディアテークの協力を得て、その撮影原版にあたるガラス乾板から高精細にスキャンされたデータを入手。高精細スキャンデータと作品の現存部分を比較し、当時の撮影環境などの推定を行なった。

そのほか、色彩を推定する手がかりとしてAI技術を活用。筑波大学人工知能科学センター飯塚里志助教の協力により、モネの様々な作品からその彩色パターンをAIに学習させ、睡蓮、柳の反映の一部色彩情報と合わせて全体の色彩を推定する仕組みを作り上げた。

国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展は、国立西洋美術館にて、6月11日から9月23日まで開催される。