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国立美術館がモネの「睡蓮、柳の反映」復元にクラウドファンディング

国立西洋美術館は、画家のクロード・モネが描いた「睡蓮、柳の反映」の、欠損した箇所を推定してその全体像をデジタル復元するプロジェクトを開始。クラウドファンディングが行なわれる。デジタル復元の成果は、6月11日から国立西洋美術館で開催する企画展「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」にて公開。

画布の上半分が欠損した発見時の状態
欠損部分に白黒写真を重ねた状態

国立美術館は、独自のクラウドファンディングサイトを15日に設立。第1弾として、同館が所蔵するクロード・モネ「睡蓮、柳の反映」のデジタル推定復元プロジェクトのクラウドファンディングを3月15日から6月2日まで実施する。目標金額は300万円。

「睡蓮、柳の反映」は、第二次世界大戦の疎開期に湿気や水の被害を受けたと推測され、上半分を失うなどの損傷を受けている。破損前に撮影された、作品の全図が写ったモノクロ写真が残されていたことから、国立西洋美術館では、その全体像を推定してデジタルで復元するプロジェクトに取り組むことにしたという。

復元は、凸版印刷が担当。これまでに培った技術と新たに構築した復元手法を用いて、欠損部分の推定復元を行なう消失文化財のデジタル復元。

デジタル復元において凸版印刷は、国内外の貴重な文化財を後世に継承するために実物のデジタルアーカイブや消失文化財のデジタル再現に取り組むとしており、これまで、帝国ホテル旧本館ライト館や江戸城天守のVR再現や、模本と考えられている「大坂冬の陣図屛風」の彩色復元を行なってきた。

なお、松方コレクション展の実施期間は、6月11日から9月23日まで。