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コクヨ「UPTIS」、デスク天板の角度調整で負担の少ない姿勢に

コクヨは、天板の角度が調節できるオフィスデスク「UPTIS(アプティス)」を6月3日より発売する。価格は102,000円から。27日に発表会が行なわれた。

左からコクヨものづくり本部 赤松広道氏、元体操選手 田中理恵さん、柔道整復師 酒井慎太郎氏、コクヨ執行役員 坂上浩三氏

UPTISは、デスク天板の傾斜角度を8段階に調整ができ、デスクワーク時に好みの天板角度にすることで、身体に負荷の少ない姿勢になれるオフィス向けデスク。オフィスワーカーの健康的な姿勢に着目し、コクヨ社員のデスク周りの小物や物品の使い方等の行動分析や、ワークショップを通じてデスクワークの理想を追求し、開発したという。

既に発売している、人の体の微妙な動きに合わせて座面が360度動くオフィスチェアー「ing」と今回のUPTISを「パフォーマンス家具」と新たにカテゴライズし、オフィスワーカーが快適に過ごせることを目指すとしている。

コクヨものづくり本部の赤松広道氏が、UPTISとingの組み合わせを紹介。コクヨ社員のデスク周りの小物や物品の使い方等の行動分析の過程で、姿勢に重点を置き、開発を始めたと説明した。

ingは、人の動きに合わせて座面が360度動くオフィスチェアー。深く座り、膝の角度が90度になるように高さを調整すると、常に腰が伸びた姿勢をとれる。一方で、ノートPCなどの作業ではingを使っても前傾姿勢になってしまうため、上半身の姿勢をカバーしきれていなかったという。

ingに座った田中理恵さん。バランスボールに乗っているような感覚だという

UPTISでは、天板ごと角度を調整することで、ingだけではカバーできなかった上半身の姿勢をサポート。首や肩に負担のかからない視野角かつ、PC作業がしやすく、腰もサポートできる天板の角度を最大12度と導き出し、8段階で設定できるように調整。天板ごと傾くため、一般的なノートPCスタンドと比較して手首の筋肉負担も少ないとしている。

天板の角度を調整。肩に力が入らず自然な態勢になれると田中さん

また、付属のデスクマットにより、最大の12度まで天板を傾けても、机上ノートPCなどは滑り落ちなくなっている。マットは自由に設置できるため、縦置きなどにすることで、書き作業も快適に行なえるとしている。

姿勢のほか、机上セッティングについても着目。デスクのサイドにバスケットタイプとトレータイプの2パターンのスペースを設けたほか、天板の奥にスマホやペンケースなどを固定できるスペースを配置。

コクヨのステーショナリー部門と連携して設計されており、ツールペンスタンド「ハコビズ」などと相性が良く、設置すると天板の傾きで物が取りやすくなるなどの工夫がなされている。バスケットタイプは社内持ち運び用バッグ「モ・バコ アップ」の高さがぴったり収まるサイズとなっている。

デスクマットによりノートPCが滑らないほか、奥の溝にはハコビスやスマホなどを設置できる
バスケットタイプのサイドには、モ・バコ アップがぴったり収まる

バリエーションは、サイドデスクがバスケットタイプとトレータイプの2種類、単体で利用できる基本タイプと連結して利用できる増連タイプの2種類、向かい合って2人使用できる両面タイプと1人分の片面タイプの2種類の組み合わせて選択でき、デスクの幅は1,200mmと、1,400mmの2サイズ、計16パターンを展開。高さはすべて720mm。基本タイプは132,000円から、増連タイプは102,000円から。

カラーはホワイト×ホワイト(天板×脚/以下同)、ホワイト×ブラック、ナチュラルホワイト×ホワイト、ラスティックミディアム×ブラック、アッシュブラウン×ブラックの5色。

デスクトップパネルやモニター台などのオプションも展開する。

アッシュブラウン×ブラック

発表会では、柔道整復師の酒井慎太郎氏が、パソコン、スマホの普及により「頭を前に出した姿勢」や「うつむき姿勢」をとる人が急増しているという問題について解説。現代のオフィスワーカーの多くが陥っているという「デスクワーク症候群」の原因とリスクを説明した。

デスクワーク症候群とは、首への負担が身体的な影響だけでなく、神経の圧迫などから、頭痛やめまいなどが不眠などへと繋がっていき、鬱などの精神的な影響も及ぼしているということから、これらの症状をまとめた呼称として使われている。

現代のデスクワークでは、1日中パソコンに向かう上に、フリーアドレス制やテレワークの導入により、ノートパソコンの利用が増加。デスクトップ型に比べモニターが低い位置にあることから、よりうつむき姿勢になる傾向があり、首への負担が大きいという。

模型を用いて説明する酒井氏。模型は平常時の首から背中の様子

人の頭の重さは体重の10%、体重60kgの人であれば6㎏となり、ボーリングの玉の重さとほぼ同じ。うつむき姿勢では、さらに重力がかかり、30度の傾きで首への負担が18kgに、60度では27kgとなり、大きな負担となる。

うつむき姿勢のなった様子を再現。この状態になると首への負担が大きい

結果として「長時間にわたるうつむき姿勢」が首の不調を引き起こし、身体のリスクへつながると説明。

首のトラブルを放置することにより、首の筋肉の繋がりから肩、背中、腰へと負担がかかるようになっていくことで徐々に前傾姿勢へ。最終的に身体が倒れないように支える膝に負担がかかるようになるという。関節トラブルの起点となる首の時点での解決が重要であるという。

ノートパソコンで長時間デスクワークをしている患者(20代女性)の現在の姿勢から、20年後を予測した画像。20年後には首だけでなく、腰から前傾姿勢になっている。

デスクワーク症候群の予防策として、普段から姿勢を意識しながら仕事をすることは難しいため、無意識に負担の少ない姿勢に導いてくれるUPTISやingなどの商品を活用し、日常的に首にかかる負担を軽減することが、現代人の働き方においては重要視すべきであると述べた。