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「38万円」は高くない? 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」を買いにソウルへ行く
2026年1月9日 08:20
サムスンは2025年12月12日、同社初となる三つ折り型のスマートフォン「Galaxy Z TriFold」を韓国で発売した。ディスプレイを2回折りたたむことのできるまったく新しいデバイスだ。
しかし、グローバル向けの発表会は行なわれず、プレスカンファレンスは韓国でのみ開催され、世界に先駆け韓国で発売された。筆者はこのモデルを購入するため、韓国を数回訪問し、争奪戦に打ち勝って日本円で約38万円するスマートフォンを購入できた。
突然発表された「Galaxy Z TriFold」
サムスンの最新スマートフォンの発表会は、毎年アメリカで年に2回開催される。「Galaxy Unpacked」と名付けられたそのイベントには同社の最新技術を搭載したスマートフォンをいち早く体験しようと、世界中からメディア関係者やインフルエンサーなどが集結する。「Galaxy Unpacked」はサムスンがテクノロジーリーダーであることを世界に向けて大きくアピールする場でもあるのだ。
ところが「Galaxy Z TriFold」の発表に関しては、2025年の夏ころになっても大々的なイベントが開催されるという情報が一切出てこなかった。9月にはアップルが「iPhone 17」シリーズを発表しスマートフォン市場の話題を総ざらいしたが、サムスンの動きは全くなかったのだ。
しかし、11月に入ると「そろそろ発売だろう」という噂話がようやく聞かれるようになった。中旬にもなると「11月下旬、あるいは12月頭ではないか」といった話も出てくるようになった。そのため筆者は、11月下旬から12月上旬まで一切の海外取材をシャットアウトし、Galaxy Z TriFoldの発売日に備えることにした。
最終的には12月2日に韓国でメディア説明会が開催され、その週の12月5日に発売予定という情報をつかみ、ソウルへの渡航を決定。12月1日にソウルに到着後、翌日の発表会に向け体調を万全に整えていたところ「発売日が遅れるかもしれない」という情報が流れ始めた。
12月2日の発表会は午前中の開催で、朝早くからソウル市内のサムスンのフラッグシップストアで行なわれた。取材に訪れたメディアはほぼ韓国在住の韓国メディア、一部は日本を含む海外メディアだった。筆者はおそらく唯一、海外(日本)から取材に訪れたメディアだったと考えられる。
発表会ではGalaxy Z TriFoldの機能などが説明されたが、タッチ&トライの時間が来ると、真っ先に展示場所へと向かい、実機に触れてみた。三つ折り型のスマートフォン、実は2024年9月にファーウェイが先に発売している。ファーウェイの「Mate XT Ultimate Design」で、サムスンが世界初ではない。ただし、ディスプレイの折り曲げ方式が違うこと、全体の作りがしっかりしていることなど、製品品質や使い勝手はGalaxy Z TriFoldのほうが上だと感じられた。そして実機を触れながら「絶対に買おう」と心に決めたのだ。
本来なら12月2日の発表会のあと、そのままソウルに滞在して12月5日とされた発売日に購入する予定だった。結局、発売日は1週間ずれ、12月12日とアナウンスされた。一方、価格は359万400ウォン(約38万円)と発表されたが、筆者はおもわず「安い」と感じてしまった。というのもファーウェイの3つ折りスマートフォンが発表されたとき、価格は約41万円だったからだ。製品の出来の良さもあり38万円が安いと感じるとは、その時点で感覚がマヒしていたのかもしれない。
38万円のスマホを購入!
発売が1週間ずれたことで、いったんソウルを離脱して再訪することにした。とはいえ購入するためには事前予約が必要ではないのだろうか?と思い、発表会で関係者に話を伺ったところ「発売日の当日に並んで購入」「誰でも買える」とのことだった。サムスン初のエポックメーキングともいえる製品の発売なのに事前予約もないというのは不思議だが、逆に言えば誰にも購入のチャンスがある。韓国在住であるとか、韓国の電話番号が必要だとか、そのようなややこしいことは一切不要で購入できるということだ。
ということで再びソウルを訪れたのは12月11日、発売日の前日だ。Galaxy Z TriFoldの発売店舗は数が絞られており、それらのお店を数件回ってみた。スタッフに聞いてみると「明日から順番に販売します」との回答だった。
筆者もあと10年くらい若かったら、深夜から並んで1番のりでGalaxy Z TriFoldを買うつもりだった。しかし12月のソウルはとても寒い。夜中から並ぶのはさすがに厳しく、翌日に勝負をかけることとした。
ただ、気になって夜中にSNSを見てみると、すでにサムスンストアに並んでいるという投稿がいくつかみられた。なかには「寒くて耐えられないけど、がんばっている」と必死の思いで購入しようという韓国人の投稿もあったほどだ。
さらには日本人のSNS投稿も複数発見。筆者が確認しただけでも日本からわざわざGalaxy Z TriFoldを買いにソウルへ渡航した人の数は10人を超えていた。日本のファンにとってもGalaxy Z TriFoldは「マスト・バイ」、ぜひとも手に入れたい端末だったということだ。
なお非公式情報ではあるもの「各店舗の入荷台数は100台ではないか」といった噂がまことしやかに流れていた。真夜中に並んでいる方々のSNS投稿に敬意を示しつつも、筆者は翌日の店舗購入にすべてを賭けることにした。
ちなみにフラッグシップ店舗では布団を持ち込んで一晩を過ごした猛者の姿も見られた。また別の店舗ではそこまでする行列者はいなかったものの、順番にトイレにいったり温かい飲み物を買いに行なったりと、同じ目的を持つ共通の仲間という連帯感が生まれていたそうだ。
筆者の知り合いも某店舗に当日の朝7時30分ごろ訪れたところ、真夜中の行列を取材するメディアが多く見られたとのこと。筆者もその姿を横目で見ていたが、韓国内でもこの新製品に対する注目は高かった。店舗によって受付方法は異なっていたが、整理券を配った店ではそれがなくなった時点で発売日の在庫分は終了。行列に割り込むなどの混乱はなかったものの、直前で整理券を受け取れず買えなかった人たちも数多くいたようだ。
筆者も店に向かったのは日が明けてからだが、幸いにして購入する権利を得ることができた。店舗に入り、自分の購入の番になり、支払いを行なうまでの記憶は興奮のあまり覚えていない。2025年の個人的な目標として「サムスンの3つ折りスマートフォンを買う」と1月から思い続けていただけあって、購入直前は気分が高揚しすぎて寒さや疲れも一切感じないほどだったのだ。
とはいえ、ふと現実に戻された瞬間があった。「Galaxy Z TriFold」のパッケージを受け取り、クレジットカードで支払いを済ませ、レシートを渡されたとき、そこに書かれていた「W3590400(支払い額)」の数字を見た瞬間に「この支払い、大丈夫だよな」と正気に戻ったのだ。今後支払いは大変ではあるが、世界でもっともイノベーティブな製品(と筆者は思う)を手にできた喜びでいっぱいだった。
Galaxy Z TriFoldの注目度の高さを改めて感じる
購入後はすぐに開封してさっそく使い始めたかったものの、「Galaxy Z TriFoldが自分のものになった」という満足感でいっぱいであり、さらに昼食や打ち合わせを終えると空港に向かってソウルを離れなくてはならない時間になってしまった。仁川国際空港に到着後に航空会社のラウンジで多少時間があったものの、せっかくなら開封動画を撮影しようとはやる気持ちを抑えて飛行機に搭乗。最終的に日本の滞在先に到着してからようやく開封、使い始めたのだった。
さて購入後はレビュー記事をいくつか書かせていただいたが、メディア側から「ぜひ書いてほしい」というお誘いがあるなど、「Galaxy Z TriFold」へ関心を向ける人は多いようだった。筆者は開封後の週末に某所のカフェで仕事をしつつ「見たい人はどうぞ」とXで情報を流したところ、延べ10名のスマートフォン好きな人がやってきては実機に触れた。「日本でも売ってほしい」「38万円は高くない」などなど、誰もが熱い気持ちで触っていたのが印象的だった。
さらに購入後の翌週は、ソウルでサムスンからインタビューを受ける機会に恵まれた。筆者は携帯電話研究家として通信やスマートフォンの取材を20年以上続けている。また端末コレクターでもあり、自宅には約1,800台の端末を保管している。業界を長年見続けていただけではなく、数多くの端末を実際に使い、そしてわざわざ海外から韓国の発表会取材や高価な端末購入に訪れたという姿に興味を持っていただいたのだ。なおインタビュー記事はサムスンのニュースルームに掲載されているので興味のある方はご一読していただきたい。
【インタビュー】「なぜ韓国行きの飛行機に乗ったのか?」 携帯電話1800台を集めたベテラン記者が“トライフォールド”に熱狂した理由
このソウル訪問時はすでに「Galaxy Z TriFold」をメインのスマートフォンとして使い始めていたが、仁川国際空港でプリペイドeSIMを買う際にキャリアのカウンターで端末を差し出すと「これ、最新のモデルですね」と聞かれた。またソウルの地下鉄に乗っていたところ、突然「すみません、これは3つに折るスマートフォンですよね。あなたは日本人ですか?どうしてこれを持っているのですか」とスマートフォン好きという韓国人に日本語で話しかけられたりもした。すべての人が知っている製品ではないだろうが、スマートフォンに関わる人の間では今もっとも注目される製品なのである。
価格は高く、購入までの苦労はあったものの、今では「Galaxy Z TriFold」を購入してよかったと日々感じている。スマートフォンでもタブレットでもない全く新しいデバイスと言える3つ折りスマートフォン、今後より深く使いこなしていこうと考えている。







