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貝印「紙カミソリ」を見てきた。紙ならではの薄さで携帯性抜群

貝印から、世界初の「紙カミソリ」が、公式オンラインストア「KAIストア」にて、4月1日10時から予約開始、4月22日に発売されます。紙素材のカミソリというユニークさに惹かれ、貝印本社で見てきたので、様々な角度から撮影した写真とともにお伝えします。

紙カミソリに興味を持った人は多いようで、貝印に「戸惑うほどの反響があった」と教えてくれたのは、紙カミソリの開発に携わった、KAIグループ カイ インダストリーズの塩谷俊介さん。国内のみならず、海外からの問い合わせも多くあったそうです。

カイ インダストリーズ 研究開発本部 研究部 次長 塩谷俊介さん

1回のみ使用する使い捨てカミソリとして開発されたもので、外出先や旅行、出張などでの使用を想定して個人向けに販売するほか、宿泊施設向けにアメニティ用としての展開も予定しています。

価格はKAIストア販売時で5色セット1,100円(送料込)と、使い捨てカミソリとしては決して安くはありません。しかし実際に見てみると、プラから紙へ=エコ以外のメリットを感じられました。

紙カミソリは組み立て式で、刃の部分以外が紙製です。塩谷さんによれば、刃体は通常、刃以外の部分にプラスチックが使われるのに対し、紙カミソリではヘッド全体を金属にすることで「脱プラスチック」にこだわったそうです。

紙カミソリ 組み立て時
3枚刃を採用

組み立て式というのがポイントで、組み立て前であれば完全に平面。ここに、紙ならではのメリットがあります。通常の使い捨てカミソリにはない携帯性を実現しているのです。組立前のサイズは131.5×59.7×3.1mm(縦×横×厚さ)で、どこにでもスッと入れられる大きさです。

組み立て前。刃の部分のシールは安全性確保のほか、組み立てにも使用
紙ならではの薄さ

組み立て式の採用には、持ち運びやすさのほか、折るという体験を利用者の楽しみとして提供するという狙いがあるそうです。

組み立て方法
完成

簡単さを求めて紙スプーンを参考に作った初期は強度に課題

開発を進めるうえで苦労した点を聞いてみると、やはり紙製であることと、組み立て式であることという、紙カミソリの特徴として話してくれたこの2点を挙げました。

紙の選定にあたっては、カミソリとして使用するには耐水性が必須であるため、紙スプーンや牛乳パックを参考にしながら、多くの紙を試したそうです。完成したカミソリは、水やお湯(約40℃)に濡れても使用可能となっています。

組み立て式で苦労した点は、強度を担保すること。強度と、誰でも組み立てられる簡単さのバランスを取っていくのが大変だったと教えてくれました。最初は、簡単に折って使える紙スプーンを参考に試作したのですが、強度の確保が難しかったそうです。企画から製品化まで要した期間は約2年。

試作品(左)と参考にした紙スプーン(右)
2020年1月実施の貝印プレゼンツ「切るとは」展で展示した試作品

デザインは、男性だけではなく女性でも使いやすいようにすることを意識し、狙い通り女性からの反響もあったとか。カラーは、オーシャンブルー・ボタニカルレッド・ヒスイグリーン・サニーイエロー・サンドベージュの5色セット。またパッケージも紙製で、この部分にも脱プラへのこだわりを感じます。

パッケージ(左)も紙製

紙製のため文字入れなどのグラフィックの自由度があることから、発表当初から企業のロゴを入れた記念品として利用できる点も売りにしていましたが、エコの意識が高い海外からの反響があったこともあり、訪日外国人の旅行土産となることも期待しているそうです。

小売店等での販売開始は今秋を予定。事前予約を伴う公式オンラインストアでの販売から開始するのは、量産態勢の整備を進めている段階であることが理由の1つで、まずは少量からと考えていると言います。メーカー側が「戸惑うほどの反響」というくらいですから、いち早く入手したいと考える方は、早めに予約しておいた方がよさそうです。繰り返しになりますが、予約開始は4月1日10時から!