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スマホ2000台の基板で低炭素データセンター Googleが研究支援

Googleは、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者らによる「Phone Cluster Computing」の取り組みを紹介した。同研究はGoogleの支援を受けて進められている。使われなくなったスマートフォンからマザーボードだけを取り出し、複数台を束ねて汎用コンピューティング基板として再利用する。

Googleは研究者らに2,000台のPixelスマートフォンを提供し、カリフォルニア大学サンディエゴ校が学生や研究者向けの低コスト・低炭素なクラウド計算環境を提供するデータセンターを構築する計画。

コンピューティングの環境負荷のうち、製造時に発生する炭素排出量「embodied carbon」を減らすことが目的。電力消費由来の排出は再エネや効率化によって下げやすいが、サーバーなど新しいハードウェアを製造する時点で発生する炭素排出は避けにくい。そこで、まだ計算能力が残っている、引退したスマートフォンを再利用することで、新規ハードウェア製造による二酸化炭素排出を減らす。

スマートフォンをそのままラックに並べるのではなく、ディスプレイやバッテリー、筐体、カメラなどデータセンター用途に不要な部品を外し、計算機能を持つマザーボードを中心に再構成する。Googleによる評価では、スマートフォンのマザーボードは、製造時炭素排出の約50%を占めるため、ここを再利用する意義は大きいという。

OSもAndroidではなく、汎用Linuxディストリビューションへ置き換える。AndroidもLinuxベースだが、スマートフォン用のメモリ管理機能などがクラウド用途には邪魔になる場合があることから、一般的なサーバー用途に近い環境に変更する。複数端末の管理にはKubernetesを使い、25~50台程度のスマホを1つの自己管理クラスターとして扱う。

性能面では、スマートフォン1台がサーバー1台に匹敵するわけではないが、例えばPixel Foldに使われているコアの単一スレッド性能は、現代のサーバーCPUの1コア性能と同等以上のケースもあるという。

SPECベンチマークスイートを使用して、スマートフォン(2023 Pixel Fold)とサーバー(ASUS RS720A-E11)のシングルスレッド性能を比較した図。青色の棒グラフは、Pixel Foldのパフォーマンスコアのコアごとの性能を表している。ほとんどのベンチマークにおいて、Pixel Foldはベースラインとなるデータセンターサーバーのコアごとの性能を上回った

ただし、メモリ使用量が8~12GB程度に限られることから用途は限定され、大学の授業・研究向けの小規模クラウド処理などを想定。たとえばJupyter Notebook、課題の自動採点、軽量な教育用サーバーなどに使用される。

初期実験では、20台のスマホクラスターで75人超の授業におけるピーク提出率を処理でき、採点遅延もAWSの標準バックエンドより短かったとしている。将来、2,000台規模なら、同様の授業を100クラス同時に支えられる見込みという。