小寺信良のシティ・カントリー・シティ

第14回

生中継と不動産。ふたたびの引っ越し

引っ越しシーズンふたたび

家族より一足先に宮崎に転居して、まもなく1年が過ぎようとしている。一番下の子供の小学校卒業を待って、家族全員で宮崎に移住する計画だったのだ。1年間は2DKの仮住まいで、今度は家族で暮らす広い住居を探す事になる。

筆者は家業とライター業のダブルワークなので、なかなか地元不動産を回って物件を探す時間がない。そこで埼玉に残っている妻がネットで物件を探し、筆者が地元不動産に連絡して内見するという方法をとった。我々のいわゆる「ママ友」たちも、見ず知らずの土地なのに立地や周囲の利便性を念入りに調べてくれて、情報を送ってくれた。

とりあえず探すのは賃貸物件なので、ネットでの情報は多い。場所がわかれば、あとはGoogleストリートビューで建物外観や近所の様子などがわかる。Googleマップで学校やスーパーまでの距離もわかる。YouTubeを検索すれば、不動産屋が撮影した室内の動画も見る事ができる。

東京では部屋を360度撮影して、不動産店舗内でバーチャル内見ができるサービスを展開するところもあるが、宮崎ではそこまでやる不動産屋は寡聞にして知らない。やはり、実際の部屋は自分で中を見ないと、質感や古い・新しいの感じがわからない。不動産屋としても360度撮影はそこそこスキルも時間も必要だし、どんどん動く賃貸物件ならもう連れて行った方が早いというところもあるだろう。

そろそろ引っ越しシーズンが始まるところであるが、正直1月中はまだ空き物件が少ない。やはり物件が動き始めるのは2月に入ってからのようだ。筆者らもそのつもりで、2月上旬に妻も宮崎入りし、一緒に不動産巡りをしようと予定していたのだが、もう1月から中学校の進学準備が始まる。早めに入学する中学校が決まらないと、手続きが進められないし、制服の発注も間に合わなくなる。

内見をライブ中継する

そこで考えたのが、筆者が先に内見する際に現場からスマホでネット中継して、妻が埼玉の自宅でそれを見るというスタイルだ。あらかじめ撮影した動画と違って、見たいところを言ってくれれば、そこを撮影すればよい。お風呂の広さや排水口の状態、カビの有無や清掃の具合など、妻は妻で気になるポイントが違う。また疑問があればその場で不動産屋さんに質問できる。

中を案内してもらいながら、Messengerで妻にネット中継

今回は3つの物件を内見したが、実際にやってみて実質2人で内見しているのと変わらない内容だった。筆者は中継の撮影には慣れているので、妻もわかりやすかったと言っていた。

気になる部分は近寄って撮影

現地に行かなければ分からないこととして、「音」がある。床がギシギシ鳴ってないか、隣との壁は十分に防音されるのか、窓からの交通騒音はどれぐらいか、といった情報だ。こうしたものは写真やVRではわからない。実際内見した物件の中では、床鳴りがひどいのでNGとなったところもあった。

部屋を歩いた際の床鳴りなどは、物件に入ってみないとわからない

反省点としては、部屋の端から撮影すれば部屋の全景が見られるような、ワイドコンバージョンレンズを用意していけばよかったなというところである。まあ昨今はワイド側にふったスマホカメラも多いので、そういう機種であれば不満はないだろう。

こうしたテクニックは、不動産屋自身が提供しても成立するのではないだろうか。遠方に転勤する事になった場合、家を探すために事前にちょくちょく現地に行けないケースもあるだろう。こうした場合、ネットで物件を調べて、不動産担当者が変わって部屋に入り、見たいところを見たいように中継する。

マンションのような集合住宅は、それぞれ間取りは同じでも、全住者の使い方次第で部屋の痛み具合が違う、ある意味一点ものである。同じマンション内だからといって、違う部屋の既撮影動画を見ても、実際現物とは違う事になる。その点、まさにその部屋に行って中継するというのは、意味がある。

すべての内見がそれで済むようにはならないだろうが、方法論としてはアリなんじゃないだろうか。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田のマンデーランチビュッフェ」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。