小寺信良のシティ・カントリー・シティ

第11回

宮崎はコインランドリー王国だった

どこにでもあるコインランドリー

宮崎市内ではお馴染み「WASHハウス」

たまの帰省で宮崎市に帰っているときには全く気がつかなかったのだが、実際に暮らし始めてみると、コインランドリーの多さに驚かされる。少なくとも町内に1件ぐらいは存在すると言っても過言ではないだろう。

コインランドリーはその昔、学生の一人暮らしで洗濯機がアパートに置けない、あるいは洗濯機を買う資金がないといった人が利用するものであった。そこから少しずつ利用形態が変わり、現在都市部におけるコインランドリーの立ち位置は、布団や毛布など家庭では洗えない大物を洗うときに利用するというイメージではないだろうか。

一方宮崎市内のコインランドリーは、多くの人が日常的な洗濯に利用している。何も洗濯機が買えないほど、皆が皆低所得者ではない。筆者が住む地域は古くからの住宅街で、どちらかと言えば地価が高いところだ。それでも行けば必ず乾燥機が何台かは回っている。

実は筆者も、コインランドリーを日常的に利用している。こっちに越してきた頃は、中古で乾燥機能のない安い洗濯機でも買おうかと思っていたのだが、近くにコインランドリーがあるのに気がついて、そこを利用する事にした。しばらくの繋ぎのつもりだったのだが、最近はもうこれでいいか、と思い始めているところである。

あっという間に洗濯が終わる

宮崎市内のコインランドリー最大手は、「WASH ハウス」という企業だ。元々宮崎で起業し、現在はほぼ全国に600以上の店舗を展開する。東京にも36店舗あるが、最大の展開拠点は福岡で、211店舗もある。本拠地である宮崎は59店舗に留まるが、それでも市内を車で回っていると、あちこちで見かけるし、メンテナンスのためなのか企業ロゴの入ったバンが走っているのをよく見かける。

機材の中心は、ほぼ乾燥機だ。筆者がよく利用する店舗では、いわゆる洗濯機は3台しかないが、乾燥機は大小合わせて10台もある。洗濯から乾燥まで一気に行なう機材は置かれていない。それだけ乾燥機の需要が多いという事だろう。

赤が乾燥機、青が洗濯機

最初はそれが非常にバランスが悪いように思えた。宮崎は全国でも日照時間が長く、天気も良い。ソーラー温水器は全国に先駆けて一番早く普及したし、現在新築の建物も、多くはソーラー発電設備を備えている。それだけ天気が良くて空気も乾燥しているのに、なぜ乾燥機がこれほど需要があるのか。一夏を宮崎で過ごして、ようやくその理由が見えてきた。

宮崎の夏は乾燥していて過ごしやすいが、それでも少し外に出るだけで大量の汗をかく。Tシャツなどは1日で2〜3枚は消費するし、汗拭きタオルも1枚では済まない。学校に通う子供たちも部活動などすれば、体操着だけでなく制服から何から、汗みずくで帰ってくる。

毎日汗まみれの洗濯物が大量に出る事になるのだが、夜から洗濯を始めると、乾燥が全然間に合わないのだ。筆者も埼玉の自宅では乾燥機付きのドラム洗濯機を利用しているが、洗濯開始から乾燥まで、だいたい4時間半ぐらいかかる。しっかり乾燥させるとなると、一度に4kg〜6kgぐらいしか洗えないので、4人〜5人家族だと全員分とても間に合わない事になる。乾燥せず洗濯だけなら、もっと大量に洗える。

それらを20分程度でパパッと洗濯・脱水までしてコインランドリーに持ち込めば、30分ほどでカラッカラに仕上がる。しかも大型ドラムで回すので、ふんわりしてシワになりにくい。家庭用乾燥機で、シャツの袖がねじりはちまきかというぐらいねじれて辟易という人もいるかもしれないが、コインランドリーではこれがなくなるのだ。

しみ抜き機も完備

宮崎でのコインランドリーの普及の陰には、洗濯物の多さがあるように思える。コストとしても10分100円で、300円も出せば12kgぐらいの洗濯物が一気に乾く。濡れて重さが増した洗濯物を持って2階のベランダまで階段を上り、干してる最中に風でも吹いて濡れたシャツが顔にペトっとくっついてあああもう気持ち悪ッ、という思いをするぐらいなら、筆者は300円ぐらい喜んで払う。

くつ専用の洗濯機と乾燥機。子供の上履き洗いもこれに放り込めば1時間で洗濯・乾燥が完了

毎日の洗濯、掃除、食事から子供の上履き洗いまで、家庭内でやるべきとされている家事は多い。だが、元号も昭和から2回も変わり、働き方を変えろと言われているのに、生活のあり方だけは変わらないのはおかしくないか。家事の時短に関する合理性は、もうちょっと追求してもいいように思える。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田のマンデーランチビュッフェ」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。