いつモノコト
ソニー最強イヤフォン「WF-1000XM6」でボッチ飯がはかどる話
2026年3月14日 09:15
ノイズキャンセリング性能や音質などトータルで発売前から評価が高かったソニーの完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM6」を買ってみました。Amazon.co.jpにて45,000円でした。
私はこれまで、アクティブノイズキャンセリングを搭載した完全ワイヤレスイヤフォンとして、finalのZE8000、ZE8000 MK2を使ってきました。音質には満足していましたが、ノイズキャンセリングの効き具合が少し弱めである点や(意図的なものかもしれませんが)、風に吹かれると「ボボボボ」と音を拾いがちなところ、またワイヤレス接続関連の挙動で「あれ?」と思うような変な動きをすることもあり(ケースに収めたのにBluetoothの接続を再開するとか)、ちょっとした不満が溜まっていました。
とにかく音質にこだわりたい気分の時は有線のイヤフォンを使うというように使い分けていたので、ワイヤレスイヤフォンを使う時は必然的に、音質以外の機能もトータルでちゃんとしていてほしい、という想いが募るようになり、タイミングよく発売され前評判も良かった「WF-1000XM6」を買ってしまいました。
フラットで高い表現力が魅力
ソニーの完全ワイヤレスイヤフォンを使うのは初めてで、ソニーの前モデルとの比較はできませんが、音質は努めてフラットで、変なキャラクターは付加されていないという印象です。むしろ意識は音の過不足よりも、高い解像度や空間にズバッと気持ちよく響く懐の深い表現力に持っていかれます。楽器が再配置されるイメージとでもいいましょうか。音の分離が良く、それぞれの音は埋もれずにしっかりと存在が感じられます。価格に見合う音質だと思いました。
使い始めてからしばらくは「あの曲はこのイヤフォンだとどんな聴こえ方をするのだろう?」とライブラリの再探索にいそしむことになりましたが、これは良いオーディオ機器を手に入れた時に起こる現象(?)で、とにかくいろんなタイプの曲を聴きましたし、楽しめました。
アプリで設定できるイコライザーの調整幅が大きいので、好みの音の傾向があれば容易に近づけられます。私は、家で使っているスピーカーシステムの音に近づけたいのと、外出時に使うことが多いので、騒音への対抗策として低音域のパラメータを少しだけ持ち上げています。もっとも、ノイズキャンセリングの効果が強いので、総じて外音・騒音の影響は受けにくい印象です。
強力で優秀なノイズキャンセリング
定評のあるノイズキャンセリング性能については、製品紹介ページで「性能を大幅強化」「世界最高クラス」と頼もしい謳い文句が並んでいます。実際に効き具合は強力ですが、同時に、不自然さや違和感を覚えにくいようにも調整されており、緊張感を強いることのない「使いやすさ」を感じます。
ノイズキャンセリングが効いていても高音域など一部の音はわずかに残されていて、例えばアラーム音や人の声などは聞き取れます。ただし、窓越しに聞いているかのように、普通の声量だとわずかなものにまで減退します。音楽を再生していると音に紛れてほぼ聞こえなくなるので、電車内のアナウンスなどは結果的に聞き逃すことが増えました。一時停止や外音取り込みモードとの使い分けを意識的にする必要がありそうです。これは強力なノイズキャンセリング性能を持つ機器にとってずっと続く課題でしょうから、運用面で工夫していきたいところです。
アクティブノイズキャンセリングを備えたイヤフォンは一般的に、外側に周囲の音を拾うマイクを搭載しているため、風がマイクに当たると「ボボボボ」という風切り音(マイクが吹かれる音)を、処理しきれずに拾ってしまうことがあります。都市部でも一時的とはいえ地下鉄の入口やビルの谷間など、意外と風に吹かれる状況は多いものです。
もちろん各メーカーはこうした問題に対処していますが、WF-1000XM6は外観形状とソフトウェアを組み合わせ、かなり効果的に処理できています。地下鉄やビル風といった風を受ける場面ではこの風吹かれ音を大幅にカットできていますし、季節の気圧配置からくるけっこうな強風の日でも、風吹かれ音はわずかな音量に抑え込まれており、音楽を聴いていると埋もれて気付かないレベルです。
ボッチ飯のお供に最強 その深遠(?)なる理由
使い始めてから「これはいいかも」と感心したのは、製品ページで「新しい通気構造」として紹介されている部分。いわく「イヤフォン本体から耳への通気量が増えたことで、自らの足音や咀嚼音などの体内ノイズが大幅に減少しました」とのことです。特に、食事中に使っても違和感を感じにくい点には驚かされました。
「イヤフォンを着けたまま食事をする」ことの是非はひとまず脇に置いておきますが、そもそもこれまでは、イヤフォンなどで「耳を塞いだ状態で食事する」こと自体、モコモコと頭の中で音が反響する違和感に馴染めず、食事の時はイヤフォンを外していました。しかしWF-1000XM6のノイズキャンセリングモードは、こうしたこもった音を大幅に減少できるというのです。
実際に食事しながら使ってみると、歯が物を噛む音はしっかり残っていて聞こえるのですが、頭の中にグワグワと反響するような音は大きく減っていて、「これなら使えそう」と思えました。
「メシの時ぐらいイヤフォン外せ」という意見には私も賛成です。普段はスマホの画面も閉じています。しかし一方で、例えば「今週3回目のすき家。カウンター席でボッチ飯」といった状況であれば、スマホでニュース記事でもチェックしながら食べようか、となるのは理解の範疇ではないでしょうか? これがニュース記事ではなくYouTubeだったら? あるいは、帰宅途中で手早く済ませたい食事の時間と、推しストリーマーの生配信の開始時間が被ってしまったら? WF-1000XM6の新機構はそうした時に、我慢しながら使うのではなく、むしろ積極的に選べるレベルの性能になっていると感じます。
もうひとつ、ささやかな反論があるとするならば、これはシリアスな話ではないのですが、精神の健康を守るためにノイズキャンセリングが求められるケースがそこそこある、ということです。上記のような「ボッチ飯」が発生しがちなお手軽なお店では、えてしてバッドマナーな客に遭遇する確率も高くなりがち。説明していて楽しい話ではありませんが、隣でクチャクチャと音をたてながら食べる客、スプーンにすくったカレーライスを絶対にすすりながら食べる客などに出くわすことは年間を通して一度や二度ではありません。そうしたことへの自衛策として、アクティブノイズキャンセリングはファイアーウォールのように有用で、目の前の食事に集中でき、心穏やかに食事を終えるために役立ってくれます。
普通の雰囲気の店内であれば何もする必要はありません。しかし席について一息つき、周囲に意識がいった時「あぁ……今日はハズレを引いたんだな、私は……」と感じ取ったなら、おもむろにWF-1000XM6を取り出して装着し、ノイズキャンセリングモードをオンにすればいいのです。無理に音楽を再生する必要はなく、無音でノイズキャンセリングモードのみを使うスタイルでもいいと思います。
これは混み合った帰宅時の電車の中や、「長時間過ごすことになったのに想像以上に騒がしかったカフェ」などでも同様で、アクティブノイズキャンセリングにそうした“防護壁”や“シェルター”としての意味を見出している人は密かに多いのではないかと想像していますが、それが食事中のシーンにも拡大したという形です。
今回の“咀嚼音キャンセル”は想像の斜め上の進化ですが、使い始めてからはかなりお気に入りのポイントになっています。WF-1000XM6の音質や性能が最強クラスという評価はすでに固まりつつありますが、私からは「ボッチ飯の最強パートナー」という称号を贈りたいと思います。
「ボッチ飯」を強調してしまいましたが、そもそもイヤフォンは一人の時に使うもの。WF-1000XM6の音質は素晴らしいですし、強力でよく考えられたノイズキャンセリングは、移動中からテレワーク、さらには食事中まで、さまざまな“ソロ活動”のシーンで力を発揮してくれます。プライベートから仕事まで、常に手元に置いておきたい製品に仕上がっていると思います。









