ミニレビュー

iPhone最大のストレスが解消? 「マスクでもロック解除」を試す

4月27日、iOS 14.5watchOS 7.4が提供開始されました。これにより、iPhoneとApple Watchが連携し、iPhoneのFace IDロックを“マスクを付けていても”解除できるようになります。

準備するのは顔認証の「Face ID」対応のiPhoneとApple Watchで、それぞれのOSを最新バージョンにするだけです。ロック解除連携の対象機種は、iPhone X以降とApple Watch Series 3以降。今回は、iPhone 12 ProとApple Watch Series 5で試しました。

なお、iPadOS 14.5も提供開始されましたが、iPadではApple Watchを使ったFace IDロック解除には対応しません。iPhoneだけの機能となります。

ストレスなしのFace ID解除。Apple Watchは着けるだけ

iPhone側の設定は、[設定]-[Face IDとパスコード]から[Apple Watchでロック解除]をONにするだけ。Apple Watchは特別な設定は不要ですが、前提条件としてApple Watchがパスコードで保護されている必要があります。

Apple WatchでiPhoneロックを解除できるのは、以下のすべての条件を満たす時です。

  • Apple WatchがiPhoneとの通信範囲内にある
  • Apple Watchが手首に装着されている
  • Apple Watchがロックが解除されている
  • Apple Watchがパスコードで保護されている

つまり、Apple Watchがきちんと保護され、手首に装着され、iPhoneと通信できる状況でのみ、iPhoneのFace IDロックの解除が可能になります。

実際にApple Watchとマスクを装着して、Face IDによる顔認証を試すとあっさりとiPhoneのロックが解除。拍子抜けするぐらいに簡単です。

Apple Watch連携でiPhoneのFace IDを解除

機能名としては、「Apple WatchでiPhoneをロック解除」ですが、Apple Watch側の操作は不要で、装着するだけです。いままでのパスコード入力の数秒の手間はなんだったのだ、というぐらい簡単&快適です。

試しにApple Watchを外したあとで、マスクを着けてFace IDを試すと、iPhone画面にパスコードが必要と表示されました。

なお、[Apple Watchでロック解除]の選択時に、「マスクを着用しているとFace IDで顔を正しく認識できないため、近くにマスクをしている顔があると、利用者じゃなくてもロック解除されてしまうことがある」との注意が表示されます。Face IDでの厳密な顔認証の代わりに、Apple Watchを装着していることで認証をかけているという形です。

そのため、Apple Watchと連携して、Face IDロックを解除した際は、Apple Watchに「iPhoneがこのApple Watchでロック解除された」という通知が表示されます。万一、意図しないロック解除だった場合(隣の人の顔で解除など)は、ここでロックを掛け直せます。

アプリのFace IDには対応せず。Apple Watchがますます必要に

Apple Watch連携により、iPhoneのFace IDロックがストレスなく解除できるようになりました。

注意したいのは、Apple Watch連携で解除できるのは、あくまで「iPhoneのFace IDロック」ということ。ほかのiOSアプリのFace IDロック解除には利用できません。

例えば、Suica・iDなどのApple PayやPayPayなどの決済サービスや銀行・証券などの金融サービス、家計簿アプリなど、お金やパーソナルな情報を扱うアプリではFace IDを使う場合は多いですが、それらのロック解除には対応できません。できるのは「iPhoneのロック」解除だけです。

金融サービスなどはある程度パーソナルな場所で使うので、あまり問題はないですが、Apple Payで使えないのは少しストレスが残ると言えるかもしれません。

PayPayでの例。マスク装着時のApple Watch連携Face IDではアプリのロック解除はできない

ともあれ、iPhoneのロックがマスクを着けていても解除できるというのは大きな進歩です。コロナ禍でマスク着用が必須となったこの1年間は、Face IDの利便性が大幅に下がり、「指紋認証のスマホがいいな」と思ったこともありました。しかし、このApple Watch連携により、Face IDを使うストレスは大幅に軽減され、コロナ禍の前とさほど変わらぬ快適さで使えるようになります。

ただ、この利便性が享受できるのは「Apple Watchユーザーのみ」です。その点では、iPhoneユーザーがApple Watchを選ぶ理由が強化されたと言えます。この利便性を前にするとなかなか他のスマートウォッチを選びづらいかもしれません。

Apple WatchによるiPhoneのFace IDロック解除は、コロナ禍におけるiPhone利用の不満を大幅に軽減するもの。iPhone/Apple Watchユーザーは、設定しておくとストレスの少ないiPhone利用が実現できると思います。

臼田勤哉