ニュース
東京駅直結「トフロム八重洲」9月10日開業 FRONT竣工で街区完成
2026年7月15日 20:06
東京駅前の大規模複合施設「TOFROM YAESU TOWER(トフロム八重洲タワー)」の開業日が9月10日に決定した。また、「TOFROM YAESU THE FRONT(フロント)」が7月15日に竣工し、トフロム八重洲街区全体が完成した。東京建物は、タワーの商業エリアや竣工したばかりのフロントの一部などを報道向けに公開した。
トフロム八重洲は、東京駅八重洲口前にて開発が進められている複合施設。地上51階・地下4階・高さ約250mのタワー、地上10階・地下2階・高さ約45mのフロントで構成される。フロントは東京駅八重洲口駅前、タワーは駅側から見てフロントの後方に位置する。またトフロムは八重洲地下街(ヤエチカ)を介して東京駅に直結する。
2月に竣工したタワーでは、3月に地下の「バスターミナル東京八重洲」第2期エリアが開業、5月に3~6階の「東京建物ぴあシアター&カンファレンス」がプレオープン、6月にオープンイノベーション拠点「JAPAN CVC BASECAMP」、医療施設「日本医科大学八重洲健診ステーション」が開業している。そのほか、商業、オフィスで構成される。
フロントは商業とオフィスで構成され、屋上には入居企業ワーカー向けのルーフトップテラスがある。
商業ゾーン「TOFROM YAESU Shop & Restaurant」
商業ゾーンの名称は「TOFROM YAESU Shop & Restaurant」。タワーとフロントにまたがり、飲食店を中心に68店舗が出店する。フロアはフロントの地下階から地上2階、タワーの地下階から地上4階で、総面積は約6,000m2となる。なお、フロント内の店舗は冬以降順次オープン予定で、9月10日時点ではタワー内の55店舗が開業する。
商業ゾーンでは「東京ならでは」を発信する施設を目指し、八重洲の老舗や、ミシュランの星付きやビブグルマンに選出された人気店など、江戸から続く東京発祥の飲食店を中心にラインアップする。
八重洲エリアは古くから、規模や業種の異なる店舗が路地に面して並んでいた。トフロムの商業ゾーンでは「個性がつながり、新しきが生まれる」をコンセプトに、八重洲の路地裏文化や町人のにぎわいを現代的に再編集し、東京の“歴史”と“新しさ”が共存する店舗展開を目指している。
この考え方を建築デザインでも表しており、多くの店舗を路面側へ配置した外向き中心の施設計画とし、低層部の外観は外壁に凹凸や隙間を設けて積み上げる「箱積み」デザインとした。小規模な建物や路面店が連なる、従来の八重洲らしい風景を立体的に表現したという。
店舗ラインアップはフロアごとに特徴を持たせている。地下階は「クイックゾーン」として、バスターミナルや駅の利用者をはじめとしたクイックなニーズに対応するフードやサービスを提供する。
1階は「スタンダードゾーン」として、老舗や定番店舗を展開。東京の伝統と革新を発信するエリアとする。1階に設置された広場空間とも隣接し、イベントと一体となった演出を図る。
2階は「界隈ゾーン」として、老舗、東京の定番店舗が路面店のように並ぶほか、強い個性が魅力の小箱専門店が集積する「小箱ゾーン」を設ける。小箱ゾーンは名店12店舗により構成する「YAESU 東京界」として展開。主に東京発祥の店をラインアップし、まちの活気や町人文化といった東京の界隈性を表現したという。YAESU 東京界のロゴは、商売繁盛の縁起物として昔から路面の店先に置かれているタヌキをモチーフに、ビールを飲んでいるキャラクターとした。
内覧会で見ることができた2階の商環境デザインは、大広間の中の木漏れ日を感じる窓際の景色を表現し、店舗の賑わいと暖かみのある意匠が呼応する界隈性のある風景を演出した。壁面は外とのつながりを連想させる窓格子の意匠壁とし、緑のタイルで木漏れ日を表現。床材には室内の座敷を表現した素材を使用する。
3階は東京建物ぴあシアター&カンファレンスと隣接することを意識した「こだわりゾーン」とし、観劇の後などの特別なシーンや記念日、会食、おもてなしなどに利用できる店舗を取り揃える。
発表会では、出店店舗の一部をピックアップ。かつてトフロムの敷地内にあり、170年を超える歴史を持つ「割烹嶋村」、近隣で半世紀以上営業し、移転オープンとなるジャンボ餃子で有名な「TaiKouRou TOKYO」、明治35年創業の日本橋の老舗そば店「八重洲 日本橋やぶ久」などを紹介した。なお、割烹嶋村の店主は、トフロムタワーが位置する東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発組合で理事長を務める加藤一男氏。
人の流れを創出する歩行者動線
施設内には「八重洲通り」「八重洲仲通り」「外堀通り」「さくら通り」という周辺の主要な4つの通りを結ぶ3本の通路を整備。まちの動線をシームレスにつなぐ歩行者ネットワークを形成し、八重洲エリア全体の回遊性向上につなげる。開業を前に、一部通路は開放されている。
また、屋外に2階に上がる階段やエスカレーターを複数設けている。外周のいろいろな場所から店舗にアクセスしやすくすることにより、まちと一帯となった賑わい創出につなげる。
歩行者動線の壁面や天井も特徴。一部の通路には、過去から現代へ続く八重洲エリアの移り変わりを表現した空間デザイン等が施されており、通路を進むにつれて風景も移り変わる。
その1つが、八重洲仲通りから養珠院通りへと抜ける通路。トフロムが開発された八重洲一丁目東地区一帯は江戸時代に「檜物町(ひものちょう)」と呼ばれ、檜を用いた木工品を製作する檜物大工や木地師が集積した職人の町で、「木の文化と技の拠点」として機能してきたという。こうした歴史的背景を踏まえ、樹木と職人技を組み合わせたデザインを施している。さらに、養珠院通り側は北半球、八重洲仲通り側は南半球の樹木を使用しており、歩き進めることで樹木が変化していく。
この通路の東京駅側(養珠院通り側)の頭上には「緑の地球儀」を設置。世界の大陸プレートごとの特徴的な植物をアーティフィシャルグリーンで表現したもので、世界とつながり、価値が循環する都市の象徴とする。中心動線に位置する交差点であり、樹木の通路との連続性もあることから、自然・文化・人が交差し、次の価値へとつながっていくトフロム八重洲のあり方を視覚的に表現したとしている。
八重洲エリア一帯では檜物町のほか、上槙町、数寄屋町、呉服町などさまざまな職人や商いが集積していた。そこで生まれた技術や意匠は形を変えながら現代まで受け継がれるとともに、金箔を壁紙として再構築するなど新たな価値へと昇華されているという。
八重洲仲通りから八重洲北口通りへと抜ける通路では、こうした素材や表現を壁面に取り込み、八重洲が積み重ねてきた時間の層を表現。天井にはランダムに配置した鏡面を用い、壁面の多様な素材や模様を映し込む構成とした。
施設内には、再開発エリアの旧町名である「檜物町」に由来する約1,200m2の広場空間「檜物町スクエア」を整備。上下階をシームレスにつなぐ空間に、高さ約7mの高木、檜を素材として取り入れたベンチやテーブルなどを配置した滞留空間とする。
檜物町スクエアはイベント会場として活用されることも想定しており、各階のステージを立体ギャラリーとすることで3階までの吹き抜け空間全体を巻き込んだ一体感のあるにぎわいを生み出すとしている。
1階には「山王祭」で地域を巡行する、檜物町の「お神輿」を常設展示し、八重洲の伝統に触れる機会を提供する。
そのほか1階に「アーカイブウォール」を設置。再開発エリアでかつて存在した建物の建築廃材を利用した壁で、様々な廃材をアート壁としてアーカイブすることで、この土地の歴史を感じる試みを行なっている。
TOFROM YAESU THE FRONT
15日に竣工したフロントの外観デザインは、多様な個性の集積を八重洲らしさと捉え、さまざまな個性が表出する様を多面体で表現。また、トフロムに面する八重洲通りにはかつて紅葉川が流れ、外堀通りには江戸城外堀が存在したという水に囲まれていた歴史を踏まえ、外堀通り・八重洲通りに面する街区角部のファサードではガラスを斜めに設置し、キラキラと輝く水面のきらめきを表現した。
低層部は、立体的な壁面緑化と木・石などの自然素材を中心にさまざまな要素を箱状に積み上げ、八重洲の多様性を重視するというコンセプトを表すデザインとした。
エントランスはアーチ形状が特徴。八重洲通りに面したエントランスに架かるアーチは、かつてこの地にあった東京建物の旧本社のデザインを踏襲した。エントランスホール内部にある吹き抜け空間には、40列・4,400個の球を天井からアーチ型に吊り下げたアートワークを配置する。
1階のエレベーターホールのテーマは「滝」。エレベーターの縦のラインを活かし、石の模様を滝の水筋に見立てた導入空間を演出した。
オフィスは天井高2,800mm、約85m2~540m2の整形なオフィスを整備。屋上の入居企業専用ルーフトップテラスからは、東京駅のパノラマビューを楽しめる。緑あるデッキ空間に曲線ベンチを配置し、さまざまな角度から東京駅周辺の風景を見渡せる設計とした。
トフロム八重洲の所在地は、タワーが東京都中央区八重洲一丁目6番1号、フロントが八重洲一丁目9番1号。敷地面積・延床面積は、タワーが約10,600m2・約225,000m2、フロントが約1,280m2・約12,220m2。





















































