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「人間だけに届く広告を」 博報堂DYがWorld ID活用の広告新会社

博報堂DYホールディングスは、AIエージェント時代の広告配信基盤に向け、人間認証型アドネットワーク事業を行なう新会社「Ads for Humanity」を設立した。広告の配信先が“人間”であることを確認し、AIやボットを排除した「人間だけに届く広告」の実現を目指す。

Ads for Humanityは、OpenAIのサム・アルトマンCEOらによるTools for Humanityが共同開発する人間認証技術「World ID」を活用。ユーザーの個人情報を保護しながら、AIやボット・クローラーを排除し、人間にだけ広告を配信する広告商品「Human-Verified Ad」の販売を29日から開始した。World IDは氏名やメールアドレスなどの個人情報を一切共有せずに、オンライン上で自分が本物の、固有の人間であることを証明できる。

Ads for Humanityは、World IDの人間認証技術とLG Electronicsのブロックチェーン技術を基盤とした、人間認証型アドネットワーク「Human-Verified Ad Network」を運営。広告配信対象を人間認証されたユーザーのみに限定し、AIエージェントやボットによる不正な広告接触を排除する。加えて、すべての配信実績はブロックチェーンに記録され、改ざん不可能なエビデンスとして保存。広告主は、自社広告が人間認証されたユーザーに対して配信されていることを検証できる。

こうした仕組みを作る理由は、デジタル広告における広告費の不正詐取(アドフラウド)問題がある。その被害額は、国内では2024年に約1,510億円、グローバルでは約13兆円規模と推計され、業界の信頼性を脅かす課題となっている。そして、AI技術の進化により、さらに問題が深刻化している。

AIにより、人間と見分けのつかない高度なボットを誰もが容易に運用できるようになり、不正な広告接触の排除がますます困難となっている。加えて、広告の配信と効果測定の仕組みそのものが機能不全に陥るリスクもある。AI検索やAIエージェントによる非人間トラフィックの増加により、「広告を人間に届ける」ことが難しくなるだけでなく、行動データやクリックなどの広告効果に関するデータに、人間以外の行動が混入してしまう。

人間と非人間が入り混じったデータは生活者の実態を正確に表さず、これを学習した配信アルゴリズムは誤った方向へ最適化を重ね、広告成果を低下させる可能性がある。

そのため、2025年に博報堂がWorld IDの開発・提供を行なうTools for HumanityとLG Electronicsと共同で、人間のみに広告を配信するアドネットワーク「Human-Verified Ad Network」の実証実験を実施。食品、化粧品、家電、旅行、教育などの広告主10社、3,500人超のユーザーが参加し、従来型のWeb広告と比較してCTR(クリック率)は約10倍に向上、直帰率は約15ポイント改善するなど、高い広告効果を確認した。

この成果を受けて、博報堂DYホールディングスは人間認証型アドネットワーク事業を本格推進するため、新会社Ads for Humanityを設立。AIエージェント時代の業界基準となる広告配信基盤の構築に取り組むとしている。