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マイクロソフト、Copilot Coworkを披露 AIで成果を出す方法

Microsoftは24日、最新のAI技術を活用事例とともに紹介するイベント「Microsoft AI Tour Tokyo 2026」を東京ビッグサイトで開催した。基調講演には、日本マイクロソフト 代表取締役社長の津坂美樹氏や、米Microsoft エグゼクティブ バイス プレジデント 兼 チーフ マーケティング オフィサーの沼本健氏らが登壇した。

冒頭で津坂氏は、日本市場におけるAI導入の広がりを説明。総務省は日本のAIシステム市場が今後3年で約4.2兆円に拡大すると見込んでおり、経済産業省もAI導入による業務の質向上を通じて、日本全体で約148.7兆円の国内生産額を引き出せると試算しているという。こうした流れを受けて企業での導入も進み、日経225企業の94%超がMicrosoft 365 Copilotを利用していることも紹介された。

津坂美樹氏

沼本氏は、企業がAIを有効活用するための考え方や手法を紹介。AIの本格普及から間もなく3年が経過し、AI活用は単なる効率化から、人の創造性やイノベーションを支える段階へ移りつつあると説明。そのうえで、誰もがAIを使いこなせる「AIの民主化」が今後の鍵になるとした。

沼本健氏

同氏は、AI活用で成果を上げる「フロンティア組織」に共通する要素として、優れたAIツールの導入などによる従業員体験の強化、リアルタイムかつパーソナライズされた価値提供による顧客体験の改革、AI活用を前提にしたビジネスプロセスの再構築、製品開発の高速化などを通じた競争力向上とイノベーションの加速という4つを挙げた。

また、AI導入を進める具体策として、推敲や確認を重ねて成果物を仕上げる実際のワークフロー全体にAIを組み込み、人の意図や判断を途切れさせずにアウトプットへつなげること、課題に最も近い現場の担当者自身がAIを使って新たな解決策を生み出せる環境を整えること、どのAIエージェントがどのデータや権限にアクセスしているかを可視化・管理し、成果の精度や信頼性、コストも含めて継続的に把握しながら、ガバナンスとセキュリティを確保することの3つを示した。

沼本氏は、MicrosoftがAI活用で最も重要視しているのは、顧客企業が自ら築く組織固有の「Intelligence」と、それを支える「Trust」だと説明。LLMは次々に新しいものが登場する一方で、本当に重要なのはモデルの変化に左右されず、それぞれの組織の業務や協業のあり方に根ざしたインテリジェンスを構築し、有効活用できるようにすることだとした。

講演ではAI活用を支える機能として、組織内のシグナルを収集してデータに業務上の意味づけを与える「Work IQ」「Foundry IQ」「Fabric IQ」、稼働中のエージェント数や利用者数、削減時間、セキュリティリスクなどを一元管理する「Agent 365」、本番環境への迅速な導入を支援する「Agent Factory」などが紹介された。

Copilot CoworkやAgent 365などによる部門別のAI活用

基調講演ではデモとして、架空企業「Zava」を題材に部門ごとのAI活用例を紹介。マーケティング部門では「Copilot Cowork」を使い、会議設定や事業計画書の作成、経営層向けプレゼン資料の準備といった複数の依頼を同時に処理する様子を披露した。

Copilot Coworkは、Claude Coworkの機能をCoplilotに統合するもので、依頼内容をもとにAIがタスクを自動で分解し、全体の進め方を示しながら作業を進める。会議日程の調整と並行してWordやPowerPointのドラフトを作成し、作業中に追加されたメール作成の依頼にも対応するなど、単発の指示応答ではなく自律的な作業パートナーとして機能する点が特徴だとした。

Copilot Coworkを活用したマーケティング部門のデモ

財務部門のデモでは、Excel Copilotを活用し、財務データからダッシュボードやグラフを生成する流れを紹介。担当者が集計作業ではなく、より戦略的な判断に時間が割けるようになったことが示された。

Excel Copilotを活用した財務部門のデモ

サプライチェーン部門ではCopilot Studioを使って社内規程に沿ったリリース作成エージェントを構築し、開発部門ではGitHub Copilotを用いて要件定義書からWebサイトを形にするデモも行なわれた。

サプライチェーン部門のデモ
GitHub Copilotを用いた開発部門のデモ
Webサイトを生成できる
GitHub Copilotで作成したWebサイトを利用したTシャツデザインのデモ

このほか、セキュリティ部門のデモでは、AIエージェントを一元管理する「Agent 365」が披露され、稼働中のエージェント数や利用者数、削減された業務時間などが視覚的に把握できることが示された。エージェント同士のつながりを示すエージェントマップやリスクを検知するアラート機能を通じて、セキュリティの詳細を確認しながら組織全体へAIエージェントを安心・安全に導入する方法が解説された。

Agent 365
エージェントマップ
AIエージェントごとにセキュリティリスクを確認できる

東京都や企業トップが語るAIトランスフォーメーション

トークセッションでは、東京都副知事の宮坂学氏や、明治安田生命保険 取締役代表執行役社長 グループCEOの永島英器氏、日本共創プラットフォーム 代表取締役会長の冨山和彦氏が登壇。日本組織におけるAIトランスフォーメーションをテーマに、Copilotの活用事例やAI導入の考え方を語った。

左から、津坂美樹氏、宮坂学副知事、永島英器氏、冨山和彦氏

冒頭には東京都知事の小池百合子氏のビデオメッセージも流れ、「変化を恐れず誰一人取り残さない未来へ。AIを使いこなし希望に満ちた未来を切り開いていきましょう。」と呼びかけた。

小池百合子都知事

宮坂氏は、公務員人口の減少を見据え、労働力をAIで補う考えを説明。行政サービスを世界で最も早く届ける組織を目指し、都庁内では職員自らが短期間で多数のAIエージェントを内製しているとした。

永島氏は、長期契約を扱う保険会社として巨大なレガシーシステムを抱える中、クラウド移行を進めながらAI活用の基盤整備を進めていると紹介。「安心」と「信頼」が重要な業界だとしたうえで、安心はAIでリスクを減らすことで実現し、信頼は人と人との関わりの中で築くという役割分担を語った。

冨山氏は、日本では現場・現業の人手不足とホワイトカラーの余剰が同時に進んでいるとし、情報処理業務にAIを導入して生産性を高め、不足する現場にはAIやロボットなどを組み合わせることが成長回帰の鍵になると述べた。そのうえで、情報処理がテクノロジーに置き換わるほど、リーダーには決断力や人望、結果責任を負う力がより重要になるとの見方を示した。

最後に津坂氏は、Microsoftが世界で最も安全・安心なAIプロバイダーとして、日本社会にAIの可能性を届け、日本企業とともに新たなフロンティアを切り開いていく考えを述べた。