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日本橋~豊洲を運航するフル電動旅客船に乗った 4月に定期便開始
2026年1月28日 19:17
三井不動産は、フル電動旅客船2隻を建造・保有し、舟運プロジェクト「&CRUISE」を始動、4月から日本橋~豊洲間で定期便の運航を開始する。民間企業によるフル電動旅客船の定期航路は国内初となる。
三井不動産は、複数の再開発事業が進められている日本橋を起点とした舟運ネットワーク構築に向け、三重県伊勢市所在の造船所にて、リチウムイオン二次電池を電源としたフル電動旅客船2隻の建造を進めてきた。
同船の名称を「Nihonbashi e-LINER」とし、観光汽船興業が運航事業を実施する。三井不動産は船主の立場。Nihonbashi e-LINERの「e」は、Edo(江戸)、Experience(体験)、Expand(拡がり)、Emergency(有事対応)、Ecology(環境共生)の5つの「E」で始まる言葉を表している。同船は東京都舟運活性化事業費補助金を適用予定。
日本橋エリアでは、首都高速道路の地下化と日本橋川沿いの5つの再開発が連携した、空と川に開かれた街づくり「日本橋リバーウォーク」が進められている。そのテーマの1つとして水都再生を掲げ、水辺の利活用や舟運により世界に注目される観光エリアとなり、東京の新しい顔となることを目指している。
&CRUISEは、日本橋リバーウォークと、ウォーターフロントの様々な拠点を結ぶことを目指すプロジェクト。今回導入するNihonbashi e-LINERは、日本橋船着場~豊洲船着場(ららぽーと豊洲)を運航する。なお、現在は同じ区間で「TRY!舟旅通勤」が運航しているが、25年度末に終了する。
運航の目的は新たな移動体験の提供。買い物や通勤などの日常使い、ウォーターフロント周辺の観光スポットへの移動手段としての利用を促進する。日本橋には今後開発される施設も含め、商業施設やホテル、オフィスなどが充実しているとともに住んでいる人も多い。また豊洲も同様の街であることから、2つの街を船で結ぶことで、多様な人が行き来することを期待する。ダイヤは検討中だが、30分に1便、1日30便を目標とする。
船内は、単なる移動手段ではなく、船に乗ること自体も目的となる空間づくりを目指したという。乗船定員は60名で、高さの異なるシートや、船内で仕事をする人に向けたテーブルなどを設けている。また、フリーWi-Fiやコンセントを装備する。
車いす利用者などでも乗船できるバリアフリー設計を搭載。そのほか自転車を積載するための設備も備えている。
フル電動旅客船は静音・低振動・燃料臭気ゼロという快適性も実現する。実際に乗船してみて静かさのほか、エンジンによるブルブルと震えるような振動がないことが乗り心地の良さに繋がることを実感できた。
そのほか、夜間はライトアップして運航する。
フル電動旅客船の環境性能
Nihonbashi e-LINERでは、船に搭載した約300kWhのリチウムイオン電池が航行に必要な電力を供給。発電機などの内燃機関を船から全廃しているので、航行中はCO2を排出しない。
充電は、ららぽーと豊洲の船着場にて行なう。ららぽーと豊洲内に再生エネルギーの給電設備を新設。高圧受電設備から送電・再変圧し、4基の急速充電器を経由して、船舶に電気を供給する。
運航にかかる環境負荷低減に加え、内装材に環境に配慮した素材を使用。植物由来の成分を配合し、石油資源の消費を抑えた人工のスエード素材や、リサイクル可能なエコ建材などを採用した。
環境性能のほか、有事対応力を備えることで、平時・有事を問わない都市インフラとなることを目指している。地震をはじめとした自然災害や大規模停電等の際には、海上輸送や給電に対応する。
具体的には、停電や陸上交通の寸断などの有事における、代替移動ルートとしての活用が可能。座具を移動することで船内スペースも確保できる。また、運航に使用するリチウムイオン電池から、船内のコンセントを利用してスマートフォン等への給電ができる。
&CRUISEは、2030年代のまちびらきを計画している築地市場跡地再開発完了後には、日本橋と豊洲に築地を加えた新旧三大市場を拠点とし、舟運ネットワークのさらなる拡大を目指す。
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船体の全長は17m、型幅は4m、総トン数は約17トン。推進装置の種類・連続最大出力・基数は永久磁石式水冷電動モーター・90kW・2基。試運転最高出力は8ノット以上。航続時間は8時間以上(速力6ノット・空調機未使用・電池環境温度25℃)。


































