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ガーミン、AIを活用した糖尿病マネジメントの提供開始

ガーミンジャパンは、協力会社とともにコンシューマ向けウェアラブルデータと連携した糖尿病マネジメントソリューションの提供を開始した。

糖尿病の有病率は世界的に上昇しており、特にアジアでは深刻な課題となっている。国際糖尿病連合(IDF)の「Diabetes Atlas 2024」によると、アジアでは2億4,000万人以上が糖尿病を抱えており、2045年には3億人を超える見込み。成人(20〜79歳)の有病率は、西太平洋地域で11.1%、東南アジアで10.8%と、ヨーロッパの8%を上回っている。

日本も例外ではなく、日本糖尿病学会の推計によると、日本の糖尿病患者数は約1,000万人、予備群を含めると約2,000万人にのぼる。これは、成人の約8%、約6人に1人が糖尿病またはその予備群であるということになる。また、生活習慣の変化により、若年層での発症も増加傾向にある。

近年の国際研究では、持続血糖モニター(CGM)などのウェアラブル医療機器によるリアルタイムの血糖モニタリングとデータ解析が、血糖コントロールを改善するだけでなく、2型糖尿病患者の「代謝寛解かんかい(メタボリック・リミッション)」の可能性を高めることがわかっているという。

特に2型糖尿病の初期段階では、「生活習慣」「運動習慣」「体重管理」に重点を置くことで、薬に頼らず血糖値を正常範囲に保つ“寛解”が期待できるとされ、ウェアラブルウォッチやフィットネストラッカーは、これら3つの健康習慣を支援する実用的なツールとして注目されている。

ガーミンではこれら3つの要素の管理を支援する製品を提供。「生活習慣」においては、フィットネスGPSウォッチ「Venu 4」に「ライフスタイルの記録」機能を搭載。カフェインやアルコール摂取などの習慣を記録し、心拍や睡眠などのバイオメトリクスにどのような影響があるかを可視化する。

「運動習慣」においては、フィットネストラッカーによるリアルタイムのフィードバックが、継続的な運動習慣の定着を助けることが研究で確認されている。

「体重管理」においては、スマート体重計「Index S2」により体重や体組成データをGarmin Connectアプリに自動同期することで、長期的な変化を確認できる。

これらに加え、医療アプリとの融合を推進。無料アプリ「Dexcom」をGarminデバイスにダウンロードすることで、運動中や仕事中のグルコース値の確認がリアルタイムで可能になり、効果的な運動管理をサポートする。

Twin Healthとの連携では、Garminウォッチで取得した心拍変動(HRV)、睡眠、活動データをTwin HealthのAIプラットフォーム「Whole Body Digital Twin」に統合。個々の代謝状態に応じたリアルタイムの健康アドバイスを提供する。臨床データでは、2型糖尿病患者の70%以上が血糖コントロールを改善した結果が報告されている。

「Journal of Diabetes Science and Technology」に掲載された研究では、Garminウォッチの心拍、睡眠データとAI解析を組み合わせることで、夜間低血糖の兆候を早期に検知できる可能性を確認。身体に負担をかけないウェアラブルのデータが、臨床現場でも有用であることが示されている。