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KDDI、“AIの嘘”を抑えたAIエージェント チャット応対を効率化

auチャットサポート窓口での活用イメージ

KDDIとKDDI総合研究所は26日、チャットでの人間の応対を学習し、高精度に再現するAIエージェントを発表した。KDDI総合研究所が開発・特許取得した、ハルシネーション(AIがもっともらしい嘘をつく現象)を抑制する技術を採用している。

一般的な応対生成手法であるRAG(Retrieval-Augmented Generation)は、マニュアルを参照しやすい定型的な質問には有効な一方で、AIチャットボットでは対応しきれない難易度の高い質問に対しては精度が約20%にとどまり、ハルシネーションが発生しやすいという課題がある。

この課題に対し、両社が開発したハルシネーション抑制技術は、過去の応対履歴からスタッフの暗黙知を含む適切な事例を抽出し、問い合わせの要点や応対パターンを構造化。仮組みした応答文に対し、不足する情報を自律的に収集・ファクトチェックして応答文を生成することで、ハルシネーションを抑制して回答精度を高めている。

AIエージェントは同日、auチャットサポート窓口のスタッフ向けに回答業務支援として、一部拠点に導入された。AIエージェントの回答精度は約90%で、顧客1人あたりの応答時間を従来より約70%短縮できる見込みだという。また、スタッフ間の応対品質の均一化にもつながるとしている。

背景には、KDDI総合研究所は海外大学や情報通信研究機構との共同研究を通じて、ハルシネーション抑制技術の開発を推進してきた経緯がある。一方で、auチャットサポート窓口では約80%の問い合わせをAIチャットボットが処理しているものの、残る20%の難易度の高い質問(月約16万件)は、スタッフが人手で対応しており、スタッフの経験差による対応品質のばらつきが課題となっていた。

同AIエージェントは、他部署や他業種に展開できる汎用パッケージとしてすでに開発が完了しており、今後は類似の問い合わせ対応への応用を進めながら、KDDIグループ内でのユースケース拡大や商用提供を目指す。