「だいち4号」で宇宙から道路被害の早期発見へ　JAXAと国交省

JAXAと国土交通省道路局は、10月27日に人工衛星画像データの活用に関する協定を締結した。両者は2017年より水害・土砂災害発生時における衛星画像データ活用での連携を実施しており、今回新たに道路の被害状況の把握に必要な支援等を行なう。

衛星画像データは、現在運用中の陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)と2024年に打上げられた先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)のものを活用。これらの強みである夜間や悪天候の影響を受けないことや、直接現地調査を行なう事が難しい状況への対応、広域観測が可能なことなどを活かし、道路被害を早期に把握できる体制を構築する。

具体的には、道路災害時における人工衛星による緊急観測や、道路被害状況の早期把握のための体制構築、平常時のインフラ管理への衛星画像データの利用拡大などを実施していく。

これに合わせJAXAでは、道路災害発生時に対応するためのワーキンググループを設置し、災害発生後に土砂や地震によって生じる道路閉塞を迅速に把握するための技術的検討も推進。JAXAの中期計画で掲げる重点テーマの一つである「インフラ管理・防災DX」においても、インフラ老朽化への対策など、平常時に衛星画像データを活用する取り組みについて検討する。

なお、2023年6月2日に台風2号による大雨被害が発生した際、JAXAは国土交通省からの要請を受け、被害地域の緊急観測と浸水状況の自動解析を実施している。

JAXAが「だいち2号」で観測したデータを自動解析した浸水被害推定域