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Anthropic、安全と文化理解を強みに日本展開
2025年10月29日 08:00
AIサービスの「Claude」などを展開する米Anthropic は28日、開発者向けイベント「Tokyo Builder Summit」を開催し、Claudeの最新機能の紹介とともに日本における事業展開などについて説明した。
Anthropicは、2021年に設立。AIアシスタントとなるClaudeや大規模言語モデル(LLM)のClaude Sonnet 4.5やOpus 4.1やAPI、コーディングエージェントのClaude Codeなどを展開。大手企業や政府機関から中小企業、個人まで、毎日数百万人のユーザーが利用している。
日本社員は3名 Anthropicと日本
今秋には、アジアパシフィック地域(APAC)初となる日本法人を設立。楽天やパナソニックなど日本の大手企業でも導入が進んでいることから、専任チームを立ち上げて日本の顧客対応を強化していく。現在の社員数は「3名」(Anthropic Japan 代表執行役社長の東條 英俊氏)とのことで、イベントに合わせて30名近いスタッフが米国から来日している。
東條氏は、Anthropicの特徴として、安全性を最優先としたAI研究を行ない「短期的な利益よりも安全性を優先している」と強調し、AIのセーフティーレベルに基づいた管理を行なっていることを説明。現在のモデルは5段階の3段階目(ASL-3)となっているが、東條氏は、「まず製品を出して、問題が起きてから対応するというアプローチではなく、リスクを事前に評価し、適切な対策を講じてからモデルのリリースを行なうことがポイント」と語る。
例えば、OpenAIにおけるSora 2のリリース時には、日本アニメに類似した動画生成ができてしまうことが問題になった。Anthropicのアプローチでは、リリース前にリスク評価を行なっているため、東條氏は「日本企業では予防的なアプローチや品質管理に取り組まれている。こうした考え方に非常に近いものと考えている」と同社の考え方が日本の企業と親和性があるとした。
プロダクトにおいても、単なる翻訳だけでなく、敬語の使い方など繊細な表現への対応や、企業の承認プロセスの考慮、ジャストインタイムなど日本固有のプロセスの仕組みなどを含めたローカライズを行なっていると説明。「日本文化の理解」にAnthropic/Claudeの強みがあるとする
加えて、データレジデンシー(データの所在地)とコンプライアンスを重視し、AWS Bedrockを活用することで、国内完結型の推論環境を提供可能で、顧客データが日本国外に出ないことを保証。国内企業のデータ管理の高い要求にも答えられると強調した。
多くの企業がすでにAnthropicのサービスを導入しているが、日本法人の立ち上げにより、エンタープライズ営業チームを立ち上げ、企業向けの営業や技術支援を強化。また、パートナーエコシステムの構築や、デベロッパーコミュニティの強化などを行なっていく。また、中長期的には日本にリサーチ(研究開発)機能を持ち、「もっと深く日本のことを理解してモデルに適応していくことも考えている」とした。
安全を強調 エージェントと人の関係
Anthropic共同創業者CEOのダリオ・アモデイ(Dario Amodei)氏も初来日。Anthropicのこれまでの歩みとともに、社会に安全かつ責任ある形で利益をもたらすAI構築をもたらすという目標を説明した。
また、モデルの開発は急速に進んでおり、今後6~12カ月以上にわたりこの進化は継続すると言及。ダリオ氏は、エージェント化も急ピッチで進み、今後90%のコードは自動生成されると予想しているが、それでも「人間の監督は不可欠」と説明。人間はAIエージェントを監督し、AIと人間の作業が補完的に機能する関係を維持していくと語った。
Anthropic共同創業者のベン・マン(Ben Mann)氏は、Cluude、Sonnet 4.5やメモリとコンテキスト編集、Claude Code新機能などについて説明。エージェント対応についても、MCPやWeb検索、Files API、メモリとコンテキスト編集などClaudeの特徴が「インフラ」として機能すると語った。









