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京王線新車両「2000系」を見てきた 大型フリースペース「ひだまり」設置

京王電鉄「2000系」車両

京王電鉄は10月27日、新型通勤車両「2000系」を若葉台車両基地で報道陣に公開しました。2000系は同社で初めて大型フリースペースを備えた車両で、2026年1月31日から運行を開始します。

1シート分を「ひだまりスペース」に

2000系について、京王電鉄 鉄道事業本部長の井上晋一氏は「丸いフォルムで安心や優しいということを表現しました。また、子育て世代に向けた大型フリースペース、カーボンニュートラルの取り組み3つを大きな特徴としています」とアピールしました。

京王電鉄 鉄道事業本部長の井上晋一氏

デザインに関しては多くの乗客や社員から意見をもらい期待されることをデザインに落とし込んだといいます。AIによるマッチングも行なって、乗客が期待するデザインに近づけていったそうです。

正面

大型フリースペースは他社では採用例がありますが、京王電鉄では初めての試みとなります。ベビーカーや小さい子供連れの乗客がもっと出掛けたくなるようなワクワクした空間を作ったとのこと。設計には育児中の女性社員が携わっています。

加えて、車椅子の乗客やスーツケースを持っている人にも使いやすいスペースにしたといいます。「『すべてのお客様に優しい』をキーワードにこの車両を開発しました」(井上氏)。

ひだまりスペースは10両編成のうち5両目に設けられます。5両目はエレベーターに近い駅が多いため、利用者の利便性が高いとして決められました。ひだまりスペースには、子供が景色を見やすいように大型の窓を両側に採用しています。

ひだまりスペース部分は大きな窓が特徴
普通の窓(右端)と比べるとかなり大きい

ひだまりスペースは1シート分をまるまる使ったもので、中央の島形部分に手すりや腰掛けがあります。設計では社内にベビーカーや車椅子を持ち込んで検討していったそうです。

ひだまりスペース
かなり広々とした印象をうけます
島部分も丸みを帯びたデザイン
ベビーカーでの利用イメージ
大きな窓部分には手すりもあり、子供も景色がよく見えそう

カーボンニュートラルでは、第3世代となる最新のパワー半導体(フルSiC)を使った新型VVVFインバーター制御装置の搭載で、VVVFインバーター非装備車と比べて70%の省エネを達成しているとのこと。VVVFインバーター制御装置は電圧や周波数を変化させながらモーターを効率よく動かすための装置となっています。

2000系のVVVFインバーター

「やさしさが詰まった素敵な車両」と藤本美貴さん

車両の公開に先立って、ゲストとして招かれたタレントの藤本美貴さんが登場。3人の子育て中ということで「子育てと電車」をテーマにトークセッションを繰り広げました。

藤本美貴さん

学校行事やお出かけでは利便性もあり電車をよく使うそうで、子どもたちと一緒に乗る機会も多いとのことです。2000系の印象を聞かれると、「本当に素敵な車両になっていて、色合いやスペースの使い方などやさしさが詰まっているなと思いました。電車の正面も笑っているかのようでかわいいですね」と回答しました。

藤本さんによると電車内でベビーカーを畳むかどうか悩みがちだが、これならそのまま乗れそうとのこと。ベビーカーは子供が乗っていなくても荷物が載っていて畳むのが難しい場合もあると藤本さん。「車椅子の方もそうですが、多種多様な方々が安心して乗れるスペースができあがったと思います」(藤本さん)と気に入った様子でした。

「京王電鉄は紅葉を見に行ったりするときなど、お出かけにはよく使います。家族5人で想い出を作れますね」(藤本さん)

子供と電車に乗るメリットについては、「電車から外を見ながら季節を感じたりできるし、普段出会わない刺激も受けられます。それから、人がいたらちょっと静かにしようねとか、おじいちゃん・おばあちゃんがいるから席を譲ってあげようとか、社会勉強になるというのも親としてすごく感じます」(藤本さん)と子育て経験者ならではの視点で話してくれました。

車内は明るい配色に

車内はオレンジ色のシートを採用しているほか、つり革もオレンジやパープルで明るく楽しい印象を受けます。シートは7人掛けです。

シートのエンド部分も曲線を取り入れた卵のようなデザインです。曲線を多用することで心を落ち着かせる空間を演出したとしています。

曲線を取り入れたデザイン
一般シート付近のつり革はパープル。高さは3種類ありました
網棚
ドア付近
ドア上のサイネージは2面
優先席付近
立って利用する腰掛けもありました
銘板のシールは、「けい太くん絵本シリーズ」として登場予定の「にこちゃん」のイラストになっていました
各車両に搭載されるnanoeX空気清浄機のシールもにこちゃんです
各車両に4台ずつ防犯カメラを設置。魚眼レンズで広く撮影できるそうです
通路のドアも曲線のイラストが入っていました
通路のドアは、ハンドルを動かすと反対側に突起が出て開けやすくなるタイプ
通路の床
非常用ドアコック
非常通話装置。双方向通話に対応しているそう

旧2000系から受け継いだ丸目ランプ

外観は車両前面と側面ともに円をモチーフにしたラウンド型としています。多くの人がやさしさや安心を感じられるデザインだとしています。

側面にも円をモチーフにしたデザインを配しています(10号車側から)
こちらは1号車側から(このときはテールライトが点灯)
1号車の正面
方向幕

京王電鉄では以前にも同じ2000系という車両があったそうですが、今回は自社の命名ルールに則り、現在使われていない番号として2000を採用したとのこと。

初代の2000系を意識した点としてはヘッドライトがあるそうで、初代の丸目ライトを受け継いで今回も丸目を採用したといいます。

ヘッドライトの点灯
テールライトの点灯
側面の行き先表示
パンタグラフ
非常用のステップ
台車
台車の銘板

床下にも様々な機器が設置されていました。まだ真新しい状態です。

車両同士の接続部分
先頭車両の連結器
左から
右から

運転席の様子は?

運転室(1号車)も撮影することができたので、いくつか写真を掲載します。

運転室の後ろ側
運転室内の様子

2000系車両の営業運転は10両1編成からのスタートとなりますが、2027年3月までに40両(10両×4編成)を導入する計画となっています。