ニュース

でんきのLooopがスマートホーム参入 電気代が安い時間に家電を動かすAI

Looopが完全子会社化したグラモのホームIoT端末「9DOTs(ナインドット)」

「Looopでんき」など電力小売サービスを展開するLooopは、9月1日に完全子会社化を発表したグラモとの新規事業や成長戦略について発表した。今後、グラモのホームIoT端末「9DOTs(ナインドット)」と、Looopでんきを組み合わせたスマートホーム事業などを展開していく。

グラモは、スマートリモコンなどを手掛けてきたスマートホーム/IoT機器メーカー。同社の「ナインドット」は、AIエージェント「グラモン」を搭載したホームIoT端末。主に新築の賃貸マンションに導入されている。インターホンと同等の機能を備えながら、スマートロック、エアコンやテレビ、照明など、家電の操作にも対応する。

あらかじめ設定しておくことで、スマートロックで帰宅を確認したらエアコンや照明をONにするといった操作もできる。複数の機器を利用する必要がなく、1台でスマートホームを実現できる点が特徴。

スマホアプリとも連動しており、来客時はスマホで応対することも可能。家電の操作はナインドット本体だけでなく、スマホアプリからも行なえる。対応する家電は、赤外線リモコンで操作できる製品。

ナインドットの機能。インターホンと同等の機能を備えながら、スマートロック、エアコンやテレビ、照明など、家電の操作にも対応
スマートロックで帰宅を確認したら、エアコンや照明をONにするといった設定もできる

AIは、提案型AIエージェント「グラモン」が、日付や温度、天気予報、人感センサーなどで状況を把握して、居住者にさまざまな操作を提案する。カレンダー機能でゴミの日を提案しておけばごみ捨ての声掛けをしたり、朝に人感センサーでリビングに来たことを感知したらカーテンを開けてテレビをつける提案なども行なう。居住者が何もしていなくても、音声で適切な提案をしてくれることを特徴としている。

ゴミの日を登録すればAI「グラモン」が教えてくれる
温湿度からエアコンの利用も提案
室内カメラを備え、高齢者や子供の見守りもできる

電気代が安い時間にEV充電

今後搭載を予定しているLooopでんきとの連動では、市場連動型料金プラン「スマートタイムONE」を契約することで、ナインドットのAI「グラモン」が、電気代が安い日中に洗濯乾燥や食器洗い乾燥機を利用するか提案してくれる機能などを想定している。

また、10月1日にLooopから発表されたEVの自動充電機能とも連携。例えば、朝に通勤でEV車両を使う場合、電気代が高い朝は通勤で利用する分だけ充電、電気代が安い日中に駐車場にEV車両がある場合は、その時間でまとめて充電するといった使い方を提案する。

近年では再生エネルギーの普及により、晴れた昼間の時間帯の太陽光発電は、需要を供給が上回る場合があり、その際に再生エネルギーの発電を一時的に止める「出力制御」が行なわれているという。出力制御される時間帯は電気の市場価格も低下するため、EV車両を積極的に充電することで出力制御を減らし、太陽光発電を有効に活用できるとする。

Looopでんきの市場連動型料金プラン「スマートタイムONE」を契約することで、電気代が安い日中の家電利用を提案
EV充電も可能
電気代表示

Looopでんきとナインドットの連携は、新たな端末の開発は不要で、既存のナインドットにLooopでんきとの連携機能を搭載できる。Looopでんき以外の電力会社と連携することも可能。

ナインドットの設置は、現在は新築マンションへの一括導入を優先しているが、新築の戸建て住宅への導入も可能。

今後は、12月10日~12日に東京ビッグサイトで開催される「スマートホームEXPO」に出展し、デベロッパーや管理会社向けに、一般的なインターホンを導入する際と同額でナインドットを導入できるキャンペーンを実施する。

デベロッパーや管理会社向けのキャンペーンを実施

昼間に生まれる電力が捨てられている

Looopでんきとナインドットの連携について、Looop 代表取締役社長 CEOの中村 創一郎氏は「太陽光発電によって昼間に生まれる電力は、広大な余剰電力となり捨てられてしまっています。それを有効活用できるのが、今回のLooopとナインドットのスマートホームです」と説明した。

「世界では再生可能エネルギーを活用し、コストを抑えながら社会全体の電力システムを改革することに成功しています。しかし日本では昼間に生まれる電力が有効活用されておらず、これは技術的な課題だけではなくて、我々の生活や社会の仕組みが変わっていないという証拠でもあります。再エネの供給量は増えていますが、その使い方が追いついていません。この現状を変える鍵となるのが、家庭の中のエネルギーマネージメントシステムであるスマートホームです。Looopの電力事業の基盤と、グラモのスマートホーム技術を掛け合わせることで余剰電力の需給予測し、電気の使い方だけでなく、日々の生活習慣まで変えることを実現していきます」(中村氏)

Looop 代表取締役社長 CEOの中村 創一郎氏