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自動車大手で採用進む生成AI AWSが開発プロセス加速
2025年8月22日 09:00
AWS(Amazon Web Services)は、AWSにおける自動車業界での生成AIの活用について、説明会を行なった。現在の自動車業界の大きなテーマは、「新しい車体験とサービスの提供」と「車両開発プロセス改革」の2点とし、AWSはこれらにクラウドサービスとしてだけでなく、業界の変革に寄り添うパートナーとして、包括的なソリューションを提供しているという。
具体的には「AWS for Automotive」を提供し、産業や企業毎に合わせた多様なフェーズに対応可能なサービスを展開。トヨタやホンダ、日産などがAWSを活用している。
具体的な自動車業界での生成AI活用事例としては、米国におけるホンダの事例を紹介。長距離旅行中のEVの充電は、まだまだガソリン車に比べて自由度が低く、ストレスが高いのが現状。こうした課題解決のために、生成AIを使ってEV充電体験の向上を実現した。
取り組みでは、IoTとAIでリアルタイムに車両のバッテリー状態を把握。過去のドライバーの行動履歴や家族構成などの個人情報を参照しながら、パーソナライズされた最適な充電ルートを提案する。たとえば、家族に子どもが居れば、子どもが楽しめるようなアクティビティをルート上に組み込み、充電時間中にも楽しめるような構成をAIで生成する。
同じくホンダは、アフターサービスコールセンターの効率化にも活用。AIチャットボットを導入することで過去の問い合せデータを活用し、迅速・高精度な回答を実現している。これによりこれまで対応に数日かかっていた問題でも、数分で解決できるようになった。
近年のSDV(Software Defined Vehicle)では、車のメーターなどがソフトウェアでデザインされており、後から変更も可能になる。しかし、現在は些細な変更であってもさまざまな人力による行程を経て行なわれるため、気軽に仕様変更できるものではない。AWSでは、こうした開発現場に、生成AIでのコーディングと仮想の実装環境を提供することで、迅速な仕様変更も可能にする。たとえば、メーターの一部の色を変更したい、というだけでも従来は多くの人力による行程が必要だったが、これを数分で実現することも可能になる。
自動運転システムの検証などに使用する仮想環境も生成AIで可能にする。例えば、走行中の車にとってリスクとなる、ながらスマホ歩行者の検知感度を向上させる学習を行なう取り組みでは、交通状況の映像データベースから、生成AIによって必要なデータを「歩行者が歩きスマホで横断中」などの自然言語によってシーンを抽出して学習が可能。
走行中のリスク検証シナリオも自然言語で状況を記述すれば、車両同士の位置関係なども再現して自動運転の検証ができる。
地図情報から自然言語により状況を抽出することも可能。たとえば、どんな道路状況(片側4車線のハイウェイなど)で、何キロメートル分の映像シーンなどの要望を入れると実際にある地図情報から必要なシーンを生成できる。
また今後、車の運転支援や情報収集を行なう車載のAIエージェントの普及も見込まれるが、普段はクラウド型のエージェントを使用していても、トンネル内部などではオフラインになって使えなくなってしまう。そのため車両側には小規模なエッジLLMによるAIエージェントを搭載する必要があるが、その開発や仮想環境での検証などにAWSを活用できるという。












