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メルカリ、AIネイティブカンパニーに転換へ
2025年8月5日 18:48
メルカリは5日、2025年6月期決算を発表した。売上収益は前年比3%増の1,926億円、営業利益は同46%増の275億円と過去最高になった。ただし、売上成長は目標としていた10%に届かず、業績予想(2,000-2,100億円)を下回った形だ。メルカリ山田進太郎 代表取締役 CEOは、今後の成長に向けた事業戦略とともに、AIネイティブカンパニーへの転換を強調した。
メルカリにおいては、マーケットプレイス(メルカリとUSメルカリ)ではプロダクトのコア体験強化やAIによるUI/UX強化、メルカリハロでは「確固たるポジション」の確立を目指す。その中で今期の目標として掲げたのが「AI-Native Company」で、AIを基盤として組織とプロダクトを変革していく。
メルカリではすでに、従業員の95%がAIツールを活用し、プロダクト開発の70%のコードでAIが活用されている。これらで「劇的な生産性向上」が図られていることから、組織全体とプロダクトをAIを前提としたものに刷新していく。すでにAIチャットサービスによるサポート基盤や、不正利用排除、売買サポートのAIエージェントなどを開発しているが、プロダクトの基盤にAIを組み込んでいく。また、組織においても100名規模の「AI Task Force」を発足。全ての業務プロセスを棚卸しし、AI導入計画を開始。25年12月までにAIを前提とした業務プロセスに再構築するという。
2026年度も増収を伴うトップライン(売上高)成長を目指すが、大きな成果を見込むのは翌2027年となる。
26年度はコアプロダクトに集中 USは反転
マーケットプレイス(フリマ)については、GMV成長率は前年比4%増と目標の10%に届かず。調整後営業利益率は38%(ハロを除くと43%)と引き続き高い収益性を実現。投資フェーズのスポットワーク「メルカリ ハロ」は、1年間の手数料無料キャンペーンを終え、4月から手数料の徴収を開始している。
GMVは1兆1,209億円、月間アクティブユーザー(MAU)は2,304万人(前年比0.3%増)とユーザー数は横ばいで、売上収益も1,112億円で4%増となった。調整後コア営業利益は423億円(前年同期比2ポイント減)で、コア営業利益率は38%。
2026年6月期は、GMV成長率3~5%、コア営業利益320~360億円を想定。27年度以降の成長に向けた「土台構築」と位置づけており、AIを活用したプロダクトのコア体験の向上や、エンタメ・ホビーカテゴリを軸にした越境取引強化を目指す。越境取引は900億円規模にまで成長しており、自社越境の展開国数を拡大し、グローバル展開を図る。特に日本発のエンタメ・ホビーカテゴリーが海外需要が高いため、BtoCによる事業者出品を強化し、成長を目指す。
メルカードやメルペイなどのFintechは、売上収益が前年同期比15%増の506億円、コア営業利益は同479%増の45億円で、コア営業利益は30億円の目標を大きく上回った。メルカード会員も7月に500万人を突破し、メルカードゴールドも好調としている。
2026年6月期は、メルカードの会員増のほか、メインカード化を促進。また、メルカードゴールドへの転換など、1人あたり利用額の増加やパートナーシップの拡大を図る。パートナーシップの強化の第1弾として暗号資産取引所の「コインチェック」と「メルコイン」の協業も発表している。2026年6月期はコア営業利益50-75億円を目指す。
課題となっていた、US事業(USメルカリ)は、山田進太郎CEOがUS CEOも兼任する体制に移行し、プロダクトのコア体験を強化。GMV成長率に改善の兆しがみえており、初の通期黒字化(9億円)を達成した。コスト削減などで、目標としていたブレークイーブンは実現したが、GMVやMAUの下落は続いているため、26年6月期はこのGMV反転によるプラス成長を目指す。特に主要カテゴリであるファッションを中心に、競争力ある配送プランなどを展開していく。













