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みずほ、UPSIDERを連結子会社化 460億円
2025年7月29日 13:25
みずほ銀行は、法人カード「UPSIDER」などを展開するUPSIDERの株式の一部を連結子会社化する。みずほ銀行がVC等からUPSIDERの70%の株式を約460億円で取得し、みずほとUPSIDERで中小企業向けの金融サービス強化に取り組む。取引完了は9月を予定している。
UPSIDERは、独自のAI与信モデルやテクノロジーを活用したソリューションを中堅・中小企業を中心に展開している。主力サービスの法人カード「UPSIDER」や請求書カード払いサービス「支払い.com」の利用社数は、80,000社以上となっており、スタートアップや中堅企業を中心に導入が進んでいる。
今回の取引により、「UPSIDER」「支払い.com」や「UPSIDER AI 経理」などのサービスと、みずほ銀行の金融ソリューションやネットワークを組み合わせ、継ぎ目のないサービスを提供する。
加えて、UPSIDERのAI技術や与信ノウハウと、みずほ銀行の経験や情報を融合し、新たな与信サービスの提供を目指す。みずほ銀行自身の業務の高度化も推進する。また、パートナー企業とのオープンな連携を通じ、新たなエコシステムを構築。金融の枠を超えた付加価値の高いサービスの開発・提供を目指すとしている。
中小・スタートアップ強化で日本の競争力向上
みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)の木原 正裕執行役社長は、日本企業の競争力強化には、中堅・中小企業の生産性向上とスタートアップ育成が必要と強調。UPSIDERのテクノロジーやサービスを導入することで、中小企業の人手不足解消や資金調達力向上などにつなげていくとする。
みずほFGとUPSIDERは、23年からグロースステージのスタートアップ向けのデッドファンドを設立。UPSIDERのキャッシュフロー予測をベースにした独自のAI与信モデルとみずほの融資ノウハウを融合して、投資判断などに役立てており、融資額は130億円におよぶ。こうしたUPSIDERとの協業が、実際に成果を生んでいることから連結子会社化を決めたという。
UPSIDERをみずほの顧客に展開するほか、UPSIDERのAI与信モデルをみずほ銀行でも導入。キャッシュフローを使った与信判断などで、スピード感のある融資につなげるほか、人材不足への対応も図っていく。
UPSIDERホールディングスの宮城徹社長は、「5年間で売上100億円となり、この領域では順調に成長できた。しかし、それでも8万社にしかリーチできていないというのは問題だと考えていた。ここから中小企業の人材不足はさらに進む。課題を解決するプラットフォームが、もっと速いペースで入らないとインフラになれない。どうやってそのスピードを上げるかを考えて、みずほFG入りを決めた」と説明する。
みずほ銀行/FGでは、企業だけでなく多くの顧客・パートナーを持つことから、それらとUPSIDERで協力し、より大規模なプラットフォームを構築。企業の生産性・成長率をあげていく狙い。共同のビジネス戦略は2025年秋から発信予定。
なお、今回の取引により他の金融グループのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)や個人投資家の多くの株式をみずほ銀行が取得し、みずほFG傘下として、UPSIDERの事業を展開していく。UPSIDERは、みずほ銀行の子会社となるが、UPSIDERの創業株主は引き続き株式を保有し、今後の株式上場も視野に入れながら、スタートアップとしてのスピード感ある経営を担っていく。
UPSIDERの宮城社長は、みずほ傘下となることについて、「これまでは独立系として、銀行カラーなどを意識することはほとんどなかったが、『その(どの金融グループか意識する)スケールまで届いていなかった』ということ。金融サービスを展開する中で、独立系でやっていくことよりもどこかの経済圏に入ったほうが、成長速度をあげられると考えた」と説明。今後の展開として、「UPSIDERというプロダクトの会社からプラットフォームに移行していくことを想定している。エンドユーザーに直接サービス提供するだけでなく、自社ブランド以外でも、解決手段を求める会社に我々の手段を提供する形になっていく。それが次の成長モデル」と話した。






