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ソフトバンク、AIエージェント同士の安全を保つ「Agent Firewall」

ソフトバンクは、AIエージェント同士が企業や組織ごとに異なるデータの取り扱いルールや管理基準の下においても、安全で柔軟な連携を可能にする「Agent Firewall(仮称)」のプロトタイプを開発した。2026年度ごろの実用化を目指す。

データを所有する国や企業が法や規制に基づいてデータを管理・保護できるデータ主権を維持したまま、企業間や社内組織間でAIエージェント同士が安全にデータをやりとりできる仕組みを実現する。

近年、複数のAIエージェントが相互に連携する「マルチAIエージェント」の動きが加速している。AIエージェント間のプロトコルや、インターフェースの仕様など、通信規格の整備は進んでいるが、企業や組織の枠を超えたデータ連携においては、企業ごとのルールの違いなどから課題がある。

「Agent Firewall(仮称)」は、さまざまな企業や組織のルール・管理基準に準拠した上でAIエージェント間の通信を制御・監視が可能。通信時のリスクの高さや求められるセキュリティーレベルに応じて検査強度を自動調整するほか、信頼されたAIエージェント間のみでの通信、契約条件や、各種ポリシーに応じた違反を自動で検知する機能などを搭載する。

従来のネットワーク境界型のような考え方ではなく、全ての通信を常に確認する“ゼロトラスト”の考え方に基づき、必要な際に必要な範囲だけをチェックする仕組みを採用。安全性を保ちながらシステムの負荷を軽減し、大規模・分散型のネットワーク環境にも柔軟に対応可能になる。技術的には、A2A(Agent2Agent Protocol)やACP(Agent Communication Protocol)などのプロトコルを補完し、プロトコルの種類を問わず一貫したセキュリティー方針の適用を可能にするものとなる。

同社は、2026年度の実用化に向け開発を本格化。将来的には「ソブリンクラウド」や「ソブリンAI」と連携し、企業や自治体、研究機関が扱う機密性の高いデータを守りながら、次世代社会インフラの実現を目指す。