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翻訳AIは英語を置き換える 「言語の壁」を取り除くDeepL

DeepLは23日、リアルタイム音声翻訳ソリューション「DeepL Voice」の機能拡充や日本市場戦略などを発表した。DeepL Voiceでは新たに「Zoom」でリアルタイム音声翻訳に対応するほか、対応言語を拡充し、会議の生産性を向上する。

DeepL Voiceは、多国籍企業を中心に企業コミュニケーションの翻訳を担うサービス。DeepL翻訳の優れた翻訳品質により、それぞれの母国語を即座に翻訳して自動で字幕を付与し、英語などを使わずに音声コミュニケーションを実現する。Web会議の翻訳のための「DeepL Voice for Meetings」と、モバイルデバイスで実際の対面会話に使う「DeepL Voice for Conversations」から構成される。

発表会の模様も「DeepL Voice」で翻訳(通訳者による逐次通訳も実施)

DeepL VoiceはZoom対応

新たに音声入力では中国語とウクライナ語、ルーマニア語に対応。英語、日本語、ドイツ語など既存の13言語に加えて、合計16言語に対応した。なおキャプション(文字起こし)は35言語に対応する。

また、会議の全文起こしと翻訳結果を、DeepL Voiceからダウンロードできるようになった。これにより、議事録やフォローアップ作業を効率化できるようになる。

さらにDeepL Voice for Meetingsでは「Zoom」に対応する。従来はMicrosoft Teamsに対応していたが、より多くのWeb会議プラットフォームでの多言語コミュニケーションを実現可能とする。なお、Zoom連携の開始時期は後日発表予定としている。

ZOOMに対応予定
リアルタイム翻訳
文字起こしのダウンロードにも対応

翻訳AIが共通言語になる

DeepLは、12カ国、顧客数は20万以上で展開しているが、日本市場でも法人を軸に事業を拡大している。NECやパナソニックコネクト、東京都教育委員会などでも導入されており、翻訳品質のほか、セキュリティや管理のしやすさなどで支持を得ているという。また、日本市場ではシステムインテグレーター(SI)との連携による、市場開拓を重視し、拡大を続けている。

DeepLのセバスチャン・エンダーラインCTOは、日本は言語AIの導入については、グローバルリーダーであり、「翻訳」に対するニーズの高い市場だとする。DeepLなどのサービス導入には費用も発生するものの、同社のアンケートでは80%の企業が言語の壁によって機会損失による金銭的損失を経験。職場へのAI導入ニーズは高く、専門性を備えた特化型AIツールの導入が求められているとする。

DeepL セバスチャン・エンダーラインCTO

エンダーラインCTOは、「かつてはそれぞれの国の人が“英語”を使ってコミュニケーションする必要があった。そこに変化が起きており、母国語でコミュニケーションができるようになるため、『英語に切り替える』という負担をなくせる。言語はコストではなく、成長の触媒であり、DeepLのようなAIが新しい共通言語になる」と説明。言葉の壁による機会損失を避けるため、DeepLの導入を呼びかける。

DeepLでは翻訳サービスの「DeepL翻訳」、テキスト校正などの「DeepL Write」、リアルタイム音声翻訳の「DeepL Voice」などを展開し、言語の課題に対応する「フルスタックのソリューション」と説明。また、欧州で初めてNVIDIA DGX SuperPODの運用を開始し、品質向上やスピード、パーソナライズなど最新の研究成果をサービスに導入しているという。

エンダーラインCTOは、「DeepLは、単なる直訳ではなく、トーン、ニュアンス、業界用語などをカバーし、大規模で信頼できる多言語コミュニケーションを可能にする。利用者は、アイデアの実現に集中できる」と説明。企業から求められるZoom対応などの新機能を追加し、「言語の壁」を取り除くサービスとしてDeepLを強化していくと語った。