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10月のポイント廃止でふるさと納税はどう変わる? ふるさとチョイスが説明

ふるさとチョイスは2日、2024年度のふるさと納税のトレンド振り返りと、ポイント還元が禁止される10月以降の取り組みについて説明した。また、教育機関やスポーツ教育への寄付に特化した「エール&レスポンス プロジェクト」を今夏より開始することも発表した。

ふるさと納税の寄付額は年々増加しており、2023年度は全体で1兆1,175億円、2024年度は1兆3,000億円前後になる見込みだ。ふるさとチョイスでの2024年度の人気カテゴリは、物価高の影響から、食料品や日用品などへの寄付が引き続き高い水準を示している。

また2024年は、能登半島での地震や豪雨被害などから災害支援の寄付も多く、石川県内の自治体への返礼品の申し込みも増加した。2025年上半期のトレンド速報値では、物価高や災害リスクの高まりを背景に、保存食や冷凍食品などの寄付額も2024年同期比で伸長。品名に「冷凍食品」とある返礼品に関しては、2024年4~6月と2025年4~6月で比較して寄付額は約4倍増加している。

ふるさと納税の寄付額は年々増加
人気カテゴリ。食料品や日用品が依然として高い
品名に「冷凍食品」とある返礼品に関しては、2024年4~6月と2025年4~6月で比較して寄付額は約4倍増加
防災グッズへの寄付増
保存期間の長い商品も人気

10月からポイント還元禁止

ふるさと納税はこれまでもさまざまな制度変更が行なわれてきたが、2025年10月はその中でも大きな制度変更が実施される。それがポイント還元の禁止だ。
ふるさとチョイスを運営するトラストバンク コーポレートコミュニケーション部 部長 永田 理絵氏は、ポイント還元禁止について「10月までは駆け込み寄付が見込まれ、寄付者のポータルサイトへの認識が変化する大きな節目となる」と分析。

「トラストバンクの調査でも、ポイントが付与されるからふるさと納税を利用しているという人が多くいることが判明しています。ポイントはふるさと納税を始めるきっかけとして機能している面がありますが、禁止になる10月以降は各ポータルサイトごとの特徴で選ばれていき、寄付者の期待はポータルサイトの独自価値へ移行すると考えています」(永田氏)

そのなかで、ふるさと納税の寄付者の利用傾向としては「ふるさと納税制度趣旨の原点回帰」といえる行動も多く見られるという。被災地支援や農業や漁業など地域産業の支援を目的に寄付する人が増え、ふるさと納税を通じて地域経済を支える基幹産業への支援意識が高まっていると同社は分析する。

「そもそもふるさと納税の趣旨は“都市部と地域の税収を是正すること”であり、ふるさと納税という名称ではありますが、故郷に限らず任意の地方公共団体へ寄付できることが根本の制度です。お得感のある返礼品も人気ですが、昨今は地域を応援したいという『制度本来の意義』に近い動きも徐々に広がりを見せています」(永田氏)

被災地支援や地域産業の支援を目的に寄付する人も増加
花火大会といった日本らしさの象徴的な文化・イベントにも支援が増加している

また、ふるさとチョイス利用者が申込時に選択する「寄付の使い道」項目の2024年度のカテゴリ上位は、1位「おまかせ」、2位「子ども・青少年」、3位「文化・教育・生涯学習」という結果になった。

これらの背景から、ふるさとチョイスは今後目指す姿として、「地域のため、子どもたち世代のため何かしたいと考える寄付者からの共感を得て新しい経済価値を生み出していく」ことを掲げる。

そのために今以上に自治体との連携を強化し、自治体や生産者と直接触れ合える「ふるさとチョイス大感謝祭」をさらに盛り上げるなどリアルな接点創出に注力していく。また、返礼品開発に携わり、事業者の人々、特に若者の地元へ愛着形成なども図っていく。

「こうした取り組みを通じて、ふるさとチョイスが目指すのは、ポータルサイトを超えて地域の価値を共に創る“地域価値共創プラットフォーム”になることです。地域ブランドを共に育てながら社会に伝え、地域が自律的に稼ぐ力を持ち続けられるように伴走型で支援できればと思います」(永田氏)

ふるさとチョイス利用者が申込時に選択する「寄付の使い道」項目の2024年度のカテゴリ上位
地域価値共創プラットフォームになることを目指すという
そのために自治体との連携をより強化し、リアルな接点創出などに注力していく

教育やスポーツに特化した新プロジェクト

あわせて同社は、教育機関やスポーツ教育への寄付に特化した「エール&レスポンス プロジェクト」を今夏より開始。第1弾では教育支援に特化し、「母校を応援」として大学への寄付を簡単にできるようサイトを改修、返礼品なしの寄付機能も追加する。プロジェクトの特設サイトは8月の公開を予定している。

教育・スポーツの現場では人口減少や地域格差などさまざまな課題を抱えており、こうした課題の解決には資金確保が必要だという。さらなる資金確保のために同社はふるさと納税の仕組みを活用し、自治体との連携強化で寄付金が教育機関に直接届く仕組みを構築する。

今夏より開始する「エール&レスポンス プロジェクト」第1弾では教育支援に特化。中でもフェーズ1として「母校応援」を実施
8月にサイトを改修し、寄付先の団体や教育機関がプルダウンで選択可能になる
大学生や卒業生が手掛ける商品やサービスの返礼品掲載も行なう

これまでも教育機関やスポーツ支援を目的とした寄付プロジェクトを実施していたが、今後は選べる寄付先を自治体だけでなく教育機関・スポーツ界へと広げ、寄付の仕組みを普及拡大していく。

取り組みは段階的に展開し、2025年は大学支援を本格化するほか、スポーツ界への支援を強化。2026年は公立小中高の支援を本格導入、2027年~30年は全国展開と定着化を目指す。

今後5年のスケジュール
2025年は大学支援を本格化するほか、スポーツ界への支援を強化