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ガーミン初のアームバンド睡眠デバイス 目指すは“良い起床”
2025年6月27日 08:00
ガーミンジャパンは、睡眠トラッキングに特化したアームバンド型デバイス「Index Sleep Monitor」(インデックス スリープ モニター)を8月に発売する。26日に開催された製品説明会では、ガーミン初のアームバンド型睡眠計測デバイスが開発された理由のほか、ゲストの睡眠コンサルタント・友野なお氏からは「睡眠の質」を高めるコツが紹介された。
Index Sleep Monitorは8月に発売される予定で、価格は27,800円。スペックなどはニュース記事を参照していただきたい。
Index Sleep Monitorの特徴は、アームバンド型であること。睡眠時に装着しても違和感を感じにくい設計なほか、バンド素材には伸縮性やフィット感に優れるスパンデックスが混ぜられており、薄く柔軟、軽量で、センサーを外せば洗濯できる。
スマートウォッチなどを装着して寝る場合、センサーの光が漏れて気になる、子供と一緒に寝ている親は不意に子供にデバイスが当たってしまう、といった問題もあるが、アームバンド型はそうした小さな不満も解消できる。ガーミンのアプリは共通のため、日中はスマートウォッチを装着し、睡眠時はIndex Sleep Monitorを使うといった連携も提案している(ガーミンはIndexシリーズの体重計もラインナップしている)。
新機能として搭載されるのは、血中酸素トラッキングをオンにすると利用できる、睡眠中の「呼吸変動」。レム睡眠とノンレム睡眠では呼吸のリズムが異なるため、一時的な乱れは問題ないとするものの、頻繁に乱れている場合は、いびきやストレス過多なども考えられ、生活習慣や睡眠環境を見直すきっかけにできる。
睡眠不足が招く悪影響
「睡眠はミステリアス」と言われるように、睡眠は脳の働きと結びついていることもあって、謎が多いとされてきた。しかし近年はスマートデバイスの普及や計測機能が進化したことで、科学的な分析や大規模な調査が進み、「睡眠の質」という概念も登場している。
睡眠不足によるパフォーマンス低下、生産性低下は、国民的な問題と指摘されることも多い。睡眠コンサルタントの友野なお氏によれば、睡眠不足が招くネガティブな影響は大きく分けて4つ。集中力低下といった「脳機能」への影響のほか、感情制御機能や創造性・意欲・モラルの低下を招く「心の健康」への影響、免疫力や身体回復機能の低下、生活習慣病の増加に影響する「身体の健康」への影響がある。
4つ目は、見過ごされがちという「行動」への影響。これは、朝食を欠く、遅刻・欠席の増加、うっかりミスや事故の増加などを指し、“社会的な引きこもり”につながったり、早期退職につながったりするという。
こうしたように、睡眠不足は、脳機能から心身の健康、人間関係のトラブル、社会的な立場への悪影響まで、さまざまな面に支障をきたすというのが現代の睡眠科学の見解になっている。
起床時間を一定に
睡眠の質を向上させるポイントは、(1)光を浴びる、(2)運動の習慣化、(3)規則正しい生活、の3つが挙げられている。
「光を浴びる」は、朝や日中に日光を15秒間は浴びるというもの。夜は、寝る1時間以上前から照明などを暖色系で暗めにして、光にメリハリをつけると良い睡眠につながるという。「運動の習慣化」は、すでに各所でも指摘されるようになっているが、日中の軽い運動が、夜の睡眠の質の向上につながることが科学的に明らかになっている。
「規則正しい生活」について友野氏は、「極論としては“何時に寝てもいい”ので、とにかく起きる時間を一定にすること。遅くてもプラス1時間ぐらいにする。そうすることで、身体のリズムが一定になりやすい」とアドバイスする。
良い睡眠のゴールは“良い起床”
実はこの「起床」についても、「起き方は“超大事”です」(友野氏)と言うように、睡眠の質の向上で重要な要素とする。
「眠ることだけが注目されるが、気持ちよく目覚めるまでが良い睡眠。気持ちよく起きられることが重要という点は科学的にも判明している」(友野氏)。
具体的には、気持ちよく起きられると、朝食をとったり運動したりする「ポジティブな習慣」が連鎖的に起こりやすい。また、認知処理速度や判断力、創造性の向上につながるほか、「ポジティブな気分」を引き出して、抑うつ感や不安感が低下する傾向があるという。
大音量アラームはNG
アラームの種類も、良い起床のためのポイントで、大きな音を鳴らすのは推奨されていない。これは、「(人間を含めた)動物は、大きな音を聞くと命の危険を察知し、目覚めた瞬間に交感神経がギュッと働く」(友野氏)ためで、起床後の疲労感につながってしまうという。
Index Sleep Monitorをはじめ、ガーミンのスマートウォッチには振動で知らせる起床アラームが搭載されている。設定した起床時間より前の、浅い眠りのタイミングで振動する「スマートアラーム」で、タイミングよく起こしてくれて「良い起床」を助ける機能になっている。
なお、アラーム音を鳴らす場合、友野氏がおすすめするのは、1段階目にクラシックや鳥の鳴き声など、刺激の少ない音を鳴らすこと。2段階目は10分後ぐらいにして、日本人の場合は「日本語の歌詞の音楽」を流すのがおすすめという。
皮膚温の変化でも睡眠の質を把握
皮膚温の計測機能も、睡眠の質の把握に活用される。基本的には女性向けとして生理周期の正確な予測に用いられるもので、周期的な不調を予測してスケジュールに反映させるといった活用が可能。
一方で、性別や年齢を問わない、良い睡眠の基本的な要素として、身体の内部の温度(深部体温)が下がっているというポイントもある。身体が睡眠の準備に入ると手足が温まるが、これは、身体の中の熱を外に逃がそうとする働きによるもの。良い睡眠にはしっかりと身体の温度が下がっていることが重要で、睡眠時の皮膚温の計測により、その変化を客観的に把握し改善につなげられる。
眠りの可視化が質の向上につながる
睡眠についてはこれまで一般的に、7~9時間の睡眠時間が大切と言われてきた。しかし、8時間寝ても一向に疲れが取れないという人もいる。これは、ノンレム睡眠とレム睡眠のバランスが悪いなど、単純な時間ではなく「睡眠の質」の問題であることが分かってきている。近年はスマートデバイスの進化により「眠りを可視化させること」が可能で、客観的に把握し、改善につなげられるようになっている。
友野氏はガーミンのアプリで提供されるアドバイスなども重要とし、「未来の健康を予約するということ。セルフケアが大事になる」と、睡眠の改善や重要性を訴えた。























