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Meta AI「世界一使われるAIアシスタント」へ Facebookで「理想の自分」生成

Metaは9月25日(アメリカ太平洋時間)、年次開発者会議「Meta Connect 2024」を開催し、基調講演の中で同社のAI「Meta AI」の強化について発表した。マルチモーダルな「世界で最も使われるAIアシスタント」として強化していく。

また、新たなVR HMD「Meta Quest 3S」も発表。価格は299ドルからで、米国では10月15日から発売開始する。日本では48,400円から。

Meta Quest 3S

音声・画像強化でFacebook連携も広がる「Meta AI」 日本語対応は未定

Meta AIは昨年のMeta Connectで発表され、アメリカを中心に、同社のMessengerやWhatsApp、Instagramなどから利用されている。

Meta AI。Messengerなどから利用が拡大

Metaでは、年内に「世界でもっとも利用されているAIアシスタントになる」としている。毎月の利用者は4億人を超え、毎週1億8,500万人がMeta関連製品を通じて利用するようになっているという。

日本では未公開で、残念ながら今回も、日本でのサービス提供時期などに言及はなかった。

今回のアップデートは「マルチモーダル性」に関するものだ。

Messenger・Facebook・WhatsApp・InstagramのDMで、音声による応対に対応する。要は声で話しかけると声で反応するようになる。

音声対話機能が強化される
Meta AI自体の音声は変更可能

また、画像対応も強化される。

画像を送って「これは何?」と質問したり、料理の写真を送って調理方法を聞いたりできる。

写真から料理の作り方を聞ける

写真編集機能も搭載される。写真を送って編集場所などをチャットで伝えると、それに合わせて変更を加える。

写真を読み込ませてプロンプトを書き、それに合わせて写真加工も。この写真では「ヤギをサーフボードに乗せて」と指示している

この機能の応用として、Facebookの自分のプロフィール写真を元にAIで書き換えたものを使えるようにもなった。自分を「ヒーローチック」に演出したものなどを生成して埋め込める。この機能を同社は「Imagine me」と呼んでいる。

Facebookでの自分のプロフィール写真をAI加工。「高貴な感じに」と指示するとこんな画像になる
自分の写真を元にした画像を作成、投稿することも可能に
会場でのデモ。「Imagine me」を使い、筆者を「スーパーヒーロー」と「中世の騎士」にしてみた

FacebookやInstagramに画像を投稿する際には、キャプションをAIに生成させることも可能だ。自分に合ったテーマを提案したり、「あなた向けに生成した画像」を提供したりもする。

Meta AIというサービスが単独で存在するのではなく、MetaのSNSやメッセージングサービスとの連携が進む。

ビジネスAI強化、生成AI広告は1500万件利用

企業向けの「ビジネスAI」も強化される。

WhatsAppやMessengerの英語版で「クリックメッセージ広告」を利用している顧客に対し、チャットなどを通じて対話し、販売までの最終決定をカバーするツールが提供されるという。

ビジネスAIで顧客とチャットし、販売まで導くツールが提供へ

英語圏ではすでにビジネスAIを使った「ジェネレーティブAI広告ツール」が提供されているが、こちらのビジネス状況も好調。8月には100万以上の広告主がツールを利用、1,500万件の広告が生成された。

Metaによれば、ジェネレーティブAI広告機能を使用した広告キャンペーンは、同機能を使用しなかったキャンペーンと比較して、平均でクリックスルー率が11%、コンバージョン率が7.6%高かったという。

Llama 3.2公開、画像認識やオンデバイスAI向けも

Metaは大規模言語モデル(LLM)である「Llama」をオープンモデルとして公開している。

Meta Connectではその最新モデルである「Llama 3.2」も発表された。

特に同社は、Llama 3.2に含まれる2つのモデルについて説明した。

1つは「ビジョン(画像認識)モデル」。パラメータ数は11B(110億)パラーメータおよび90B(900億)パラメータの中型で、画像認識用のLLMは画像推論用に新しいモデルアーキテクチャで作られているという。

もう1つはエッジAI・オンデバイスAI向けのもの。テキストのみに特化・軽量化したモデル。こちらは1B(10億)パラメータおよび3B(30億パラメータ)と小型だ。トークン長は128Kに拡張され、小型モデルながら回答品質も維持しているという。

また、ARM系プロセッサー向けに最適化がなされており、QualcommとMediatekのシステム向けが本日から公開される。これにより「世の中にある99%のモバイルデバイスに対応」(Meta)という。さらに高速化を目指して量子化を進めるが、その詳細は「近日中に公開」とコメントするにとどまった。

Llama 3.2はいままでと同様、Llama.comとHugging Faceで無償公開される。AMDやAWS、Google CloudにMicrosoftなど25社以上と協力し、初日からサービスを利用できる準備が整っているという。