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ENEOSとPFN、AIで原油処理装置を自動運転 世界初

ENEOSとPreferred Networks(PFN)は、ENEOS川崎製油所において、原油処理を行なう常圧蒸留装置でAIシステムによる安定的な自動運転を開始した。

大規模かつ複雑であることから、長年の経験に基づいた運転ノウハウが求められる石油精製プラントの自動運転を可能にするもの。人の技量に左右されないプラントの安定運転確立により、保安力の向上に貢献するシステムとして、2018年度からENEOSとPFNが共同で開発に取り組んできた。

中でも、常圧蒸留装置は、温度、圧力、流量、製品性状など、制御対象としている要素数(24個)や予測に用いる入力センサー数(930個)が多く、運転制御・操作には熟練の技術や知識が必要とされるもので、同装置におけるAI技術を用いた常時自動運転は世界で初めて。

24個の運転重要因子の常時監視と13個のバルブを同時に操作することで、原油処理量の変更や原油種の切り替え時の変動調整作業にも対応し、手動操作を超える経済的で安定的かつ高効率な運転を達成している。

実際にAIシステムは、外気温変化、天候(降雨)、冷却水温変化、原料性状変化などの各種外乱存在下でも安定的に制御できているという。

プラント自動運手AIシステム稼働前後の運転重要因子(製品性状値)の制御性

今後は、ENEOSの他製油所への展開を行なうほか、ソリューションパッケージとして一般販売も計画している。