ニュース

Apple、EUのDMA対応でアプリのWeb配布へ 厳しい条件も

Appleは、EUの新たな規制であるデジタル市場法(DMA)に対応する形で導入する、App Store以外の代替アプリマーケットプレイスやWebサイトでの配布について案内している。一方で、一部の大手開発者からはその内容に批判も出ており、応酬が続いている。

“開放”を求めるDMAに対応する形で、AppleのiOSにおいても、サードパーティ製アプリマーケットプレイスの利用が可能になるなど、DMA対応が進められる。Appleは今年に入り、iOSアプリの開発者が代替アプリマーケットプレイスを開設できる資格要件などを順次公開していた。代替アプリマーケットプレイスの開発や提供は、Appleからの認定や特定基準への適合が求められる。

一方、音楽配信大手のSpotifyやEpic Gamesなど34者は連名で、DMAが開始された3月1日に、欧州委員会宛の公開書簡を発表。Appleが発表していたDMA遵守のための案は「DMAに準拠していない要素が無数にある」などと厳しく批判したほか、具体例を挙げて、Appleが開発者に求めている新規約は代替アプリマーケットプレイスの利用を難しくして魅力を減らすと指摘。「欧州委員会の対応はDMAが有効かどうかのリトマス試験紙となる」とした上で、開発者保護や消費者の利益のために「断固とした措置を強く求める」と訴えていた。

3月4日には、欧州委員会が、音楽ストリーミングアプリで支配的地位を乱用したとしてAppleに18億ユーロ(約2,940億円)の制裁金を科すと発表。Appleはこれを受けて欧州委員会の決定を批判、欧州の企業であるSpotifyが今件の最大の受益者と指摘するなど、EUだけでなくAppleとSpotifyの間でも互いに応酬が続いている。

Appleは3月5日、開発者向けの案内の中で、代替アプリマーケットプレイスを構築したいと考える開発者向けの資格基準を追加すると発表している。

アプリのWeb配布の条件

また3月12日には「さらに柔軟性を追加する」として、EUにおいて、Webサイトからアプリを直接配布できるWeb配布の仕組みについても案内している。

今春以降に対応が予定されているアプリのWeb配布は、Appleの認定開発者が実施できるもの。安全性など、すべてのiOSアプリと同様の要件を満たす必要があり、Apple側に登録したWebサイトのドメインでのみ配布できる。また開発者プログラムの優良メンバーとして2年以上の実績があること、前年度にEU域内で年間100万回以上の初回インストール数を記録したアプリを持っていることなどの条件も発表している。