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高速道路SA・PA、駐車一部有料化など、物流・混雑対策で新整備方針

日本高速道路保有・債務返済機構、東日本高速道路、中日本高速道路、西日本高速道路、本州四国連絡高速道路の5者は、「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する整備方針」を策定したと発表した。

トラックドライバーの労働環境が2024年4月から厳格化されることを受け、いわゆる「物流の2024年問題」への対応が各所で課題になっている。高速道路に関連する5者は、検討会を経て、高速道路のサービスエリア・パーキングエリア(SA・PA)の利便性向上について整備方針を策定した。

物流の観点において、高速道路は、輸送の多頻度化や大型車の利用台数が増加傾向にある。また三大都市圏では沿線で物流施設の数が4倍に増加している。一方、トラックドライバーの労働環境が厳格化することや、カーボンニュートラルなどへの対応も求められている。

そこで検討会では、短期的な対応策と中長期的な対応策の2つを策定。整備方針は「駐車マスの拡充」「確実な駐車機会の提供」「休憩施設空白区間の解消」「物流効率化・労働環境改善」「混在状況の把握・情報提供」の5種類の分野で対策を進める。

駐車マスの拡充

「駐車マスの拡充」は、レイアウト変更や園地部の活用を行ない、複数縦列式(コラム式)の導入も検討する。中長期的にはSA・PAの隣接地への拡張や新設を検討し、駐車場の立体化なども検討していく。

確実な駐車機会の提供

「確実な駐車機会の提供」は、短時間の利用に限定した駐車マスを試行導入し、拡大する予定。中長期的には、一定時間以上の利用を有料化する方策も検討する。また、駐車マスを適正に利用する広報活動も実施する。

休憩施設空白区間の解消

「休憩施設空白区間の解消」では、高速道路の本線隣接地を活用するミニPAや、ICの内側駐車場の活用を図っていく。中長期的には、用地取得の可能性を踏まえながら、本線SA・PA、路外SA・PAの新設を検討していく。

物流効率化・労働環境改善

「物流効率化・労働環境改善」では、ダブル連結トラックの予約駐車マスの追加、キャリアカーへのダブル連結予約駐車マスの適用の推進、シャワー施設、24時間営業店舗などの対策を進める。中長期的には、物流事業者のニーズを踏まえ、シャワー施設などの整備を含めて中継拠点のあり方を検討していく。

混在状況の把握・情報提供

「混在状況の把握・情報提供」では、画像処理技術や赤外線レーザーなど新たな情報技術を活用し、混雑状況をより正確に把握する取り組みを進める。混雑状況は路線単位で情報提供し、並行路線も含めた利用平準化を促進する。

EV充電器の拡充

このほかカーボンニュートラル対策などに関連しEV充電器の大幅増加と高出力化・複数口化を進める。原則として、1口の出力を90kW以上にする、90kW以上を設置する場合には複数口に対応した機器を設置する、1カ所に4口以上設置する場合は原則150kWを1口以上設置する、といった対策を進める。

またIC付近の、高速道路外のEV充電器の活用含め、概ね70km以上の間隔が空かないように充電器を配備する方針。料金調整により、高速道路路外のEV充電器も利用できる制度や、新たな課金・決済の導入について検討していく。さらにEV充電施設など機能高度化施設と一体となって整備される駐車場は、整備費用の一部を支援する。

物流の2024年問題

「物流の2024年問題」は、トラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が2024年4月から適用されることで、ドライバーの労働時間が短くなり、輸送能力の不足が懸念される問題。トラックドライバーが不足していることも影響している。国の試算では、何も対策を行なわなかった場合、2024年には輸送能力が14.2%の不足に、2030年には34.1%の不足になる可能性があると指摘されている。