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ローソン、1日3回の配送を2回に削減 「物流2024年問題」に対応

ローソンは、これまで1日3回コンビニエンスストアへ配送を行なっていたチルド・定温商品について、2回に削減することで、コスト抑制とCO2排出量の削減を行なう。2024年4月に施行される働き方改革関連法に向けての取り組み。

チルド商品は5℃前後で販売する商品、定温商品は20℃前後で販売する商品のことで、弁当や麺類、惣菜、サンドイッチなどが該当する。カップ麺や袋菓子などは「ドライ商品」、冷凍食品、アイスクリームなどは「フローズン商品」となる。

現在、チルト・定温商品についてローソンでは、約7割の店舗で、1日3回、3割の店舗で1日2回の配送を行なっているが、全国一律で1日2回の配送に切り替えることで配送ドライバーへの負担を軽減し、CO2排出量の削減、コスト抑制に繋げる。切り替え時期は、2023年12月~2024年3月にかけて、エリアごとに順次切り替えていく。

現在、1日3回配送が行なわれている全国の約7割のエリアは、主に札幌、東名阪、北九州、沖縄の五大都市圏が中心。その他の約3割のエリアは、1日2回の配送が行なわれている。

2024年に施行される働き方改革関連法には、物流業の労働者の働き方を改善する内容が盛り込まれており、労働時間の上限設定がされるなど、物流業界全体に大きな影響があるとされている。それに加え、CO2排出量削減や、既存ドライバーの高齢化、有効求人倍率の高さなどによる人手不足、燃料費、人件費コストの上昇など、さまざまな課題が存在する。

今回の取り組みは、働き方改革関連法の施行に伴い、その遵守を目的とした対応。元々コンビニエンスストアへの配送業務は長時間拘束になりやすい配送体制で、新しい基準を満たすために、現状の配送スケジュールを実現するには、配送車と配送ドライバーの追加が必要となり、年間約20億円のコスト増が見込まれる。このため、配送スケジュールを見直すことで、コストを抑えるのが狙い。

チルド・定温商品から対応を行なうのには理由がある。ドライ、フローズン商品は、配送回数が週に5回と少なく、配送車両への積載率は高い水準で、物流波動(曜日毎の物流量変化)が激しいのに対し、チルド・定温商品は、配送回数が1日に2~3回と多いが、配送車両への積載率は低め、物量波動は比較的少ないという特徴がある。

このため、元々配送回数が3回だったエリアについては、1回の積載量を増やすことで配送回数を2回に削減することが可能になった。具体的には、現在、深夜、朝、午後の3回で行なっていた配送が、深夜~早朝にかけて1回、午後1回の12時間ごと、合計2回になる。ただし、朝から昼にかけてのピーク時間帯は店舗が混雑し、納品業務ができないことから、ドライバーの仕事に空きができてしまう。そのため、業務効率化のため他社との協業も検討中。開始時期は未定だが、他社に自社ドライバーの派遣などを行なって業務効率化を図る。

元々2回だった配送エリアについては、現状のスケジュールを維持しながら、納品時間枠を拡大することで対応する。

デジタルツインを用いて行なったシミュレーションでは、これらの取り組みによって、1日の走行距離が9,000kmから6,750kmへと削減され、CO2排出量は店舗配送全体では約8%の削減となる。

また、新発注支援システムも導入。2015年に全店に導入していた「セミオート発注」を2023年度に刷新し、AIを活用するシステムとする。これにより弁当やデザートなど消費期限の短い商品について、店舗にあった品揃え、発注数、値引きを推奨するシステムを実現し、店舗収益の向上へと繋げる。

この他、ドライ商品、フローズン商品については、2024年1月から対応を予定。いずれの商品も曜日によって物流波動が大きいことから、曜日別の物量に応じて必要な配送車両台数を変動させることで、車両台数を削減する。具体的には配送ダイヤを「特定曜日」と「それ以外曜日」の2パターンに分け、柔軟な運用を行なうことでCO2排出量の4~6%削減を目指す。