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広がるカードのタッチ決済。次の一手はスマホ決済端末

Tap to Pay Android

ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は27日、タッチ決済など新たな支払手段についての説明会を開催した。Visaのタッチ決済は、日本においても普及が進んできたが、さらなる拡大に向けて、スマートフォンを決済端末とする「Tap to Phone」を推進していく。9月6日からAndroidスマートフォンで「Tap to Pay Android」を開始した「Square」とともにその現状を説明した。

なお、Visaはスマートフォンを使ったサービス全般を示す名称として「Tap to Phone」としているが、Squareはアップルの「Tap to Pay」など既存サービスとあわせて、「Tap to Pay Android」と呼称している。

広がるタッチ決済、次の一手は「Tap to Phone」

Tap to Phoneは、スマートフォンなどのモバイルデバイスで、簡単にVisaのタッチ決済の受け入れが可能となる加盟店向けソリューション。必要なものはNFC対応のスマホやタブレットのみで、安全にキャッシュレスでのタッチ支払いを可能にする。

Tap to Phone

Visaのタッチ決済は、世界中のVisaの対面取引の59%まで拡大。対面取引においては「スタンダード」になっている。日本における普及は海外に対して遅れていたものの「猛烈に世界をキャッチアップしている(ビザ・ワールドワイド・ジャパン 加盟店・アクワイアリング営業本部シニアディレクター 山田昌之氏)」としており、'23年3月末に対応カード発行枚数1億枚を突破、コンビニや飲食店、ドラッグストアなどの日常利用を中心に急拡大した。

また、タッチ決済は通常のクレジットカード支払いよりも「少額で高頻度」が特徴となっていたが、高額の支払いも増えてきたという。コンビニ、飲食店、ドラッグストア、スーパーの4業種以外のデパートなどの“非日常”利用におけるタッチ決済の比率は、2年前の7%から'23年4月には22%まで拡大。タッチ決済がシーンを問わずに普及し始めている。

こうした環境下で、Visaが“次”の普及拡大に期待をかけるのが「Tap to Phone」。カードを対応のスマートフォンにかざすだけで支払いが完了する仕組みで、Squareの「Tap to Pay Android」などのサービスが展開されている。

スマホだけで導入できるため、海外においては、特に小規模事業者から普及が進んでおり、飲食店のテーブル決済やキッチンカー、小売店の複数端末対応、訪問販売、パーキング、デリバリーなどで活用されている。日本においても、'22年以降テスト的に導入を進めてきたが、9月からSquareがTap to Pay Androidを開始したことで、今後の拡大が見込めるという。

Squareの新規加入の半数が利用「Tap to Pay on Android」

Squareは、9月6日から「Tap to Pay on Android」を開始した。

市販のAndroidスマートフォンを、決済端末として利用できるサービス。無料アプリ「Square POSレジ」をインストールすることで、Visaをはじめとした国際ブランドのカードのタッチ決済を受け付け可能になる。

Squareは、これまでも小型のリーダーとPOSアプリを使った決済ソリューションを展開していたが、Tap to Pay Androidでは「スマホだけ」でサービスを完結できるようになる。なお、Tap to Pay Androidでのカード支払いは、タッチ決済のみの対応となる。

Squareにおいては、売上全体の95%でカードが使われており、件数(トランザクション)では8割強がカードとなる。PayPayやSuica等の電子マネーにも対応しているが、1回の平均支払金額はカードがPayPayの5倍、電子マネーの7倍と、カードのほうが支払金額が高い傾向がある。

タッチ決済に限定しても、トランザクション全体の4割を占めており、前年と比較してシェアは10%拡大と急伸している。タッチ決済の1回の平均支払金額はPayPayの2倍、電子マネーの3倍という。

カードのタッチ決済を前提にした「Tap to Pay Android」を導入することで、中小事業者のSquare導入の加速を狙う。Square ジャパンエグゼクティブディレクター 野村亮輔氏は、「Squareは決済を担うリーダーのサービスだと見られているかもしれないが、POSレジが要。スマホが決済とレジ機能を備えたデバイスになる」と説明する。また、カードのタッチ決済だけでなく、PayPayにも対応できるため、幅広いニーズに応えられるという。

Tap to Pay Androidは、9月6日からスタートしたが「新規加盟店の50%がTap to Pay Androidを前提にしている」とのことで、強いニーズが確認できたとする。

なお、Tap to Payは、海外ではiPhoneに対応しているが、日本でのサービス開始は現時点では未定。アップル側のサービス提供準備が途上であり、調整が必要とのことだが、iPhoneのシェアが高い日本市場だけに、iPhone対応への期待は高いという。

ただし、iPhoneは比較的高価であり複数台での導入は難しいが、Androidは2万円程度から多くの製品があり、特に複数台導入するようなお店などとの親和性は高い。そのため、Tap to Pay Androidでも、想定以上のペースで導入が進んでいるとする。

Square ジャパンエグゼクティブディレクター 野村亮輔氏(左)とVisa加盟店・アクワイアリング営業本部シニアディレクター 山田昌之氏(右)