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「トラックGメン」創設 適正な取引阻害の監視強化

国土交通省は、トラックドライバーの労働条件を改善することを目標に、発荷主企業だけではなく着荷主企業も含め、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視を強化するため、7月21日に「トラックGメン」を創設する。トラックGメンによる調査結果を、貨物自動車運送事業法に基づく荷主企業・元請事業者への「働きかけ」「要請」等に活用する。

働き方改革の一環として、2024年4月からドライバーに時間外労働の上限規制(年960時間)が適用されるが、これによる物流への影響、いわゆる「2024年問題」が懸念されている。

トラックドライバーは担い手不足が喫緊の課題となっており、その原因として他産業と比較して労働時間が長く、低賃金であることを挙げる。トラックドライバーの労働条件を改善するには、荷主企業・元請事業者の理解と協力の下、荷待ち時間の削減や適正な運賃の収受等が必要としている。

国土交通省ではこれまでも、適正な取引を阻害する行為を是正するため、貨物自動車運送事業法に基づき、荷主企業・元請事業者への働きかけや要請等を実施してきたが、依然として荷主等に起因する長時間の荷待ちや、運賃・料金等の不当な据え置き等が十分に解消されていないという。

2024年問題を前に対応を強化して課題を解決するため、トラックGメンを創設。適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視を強化し、トラックGメンによる調査結果を企業・事業者への働きかけ、要請等に活用して実効性を確保する。創設にあたり、国土交通省の既定定員82人の既存リソースを最大限活用するとともに、新たに80人を緊急に増員し、全国で合計162人の体制により業務を遂行する。

トラックGメンの設置による荷主等への監視体制について具体的には、トラック事業者へのプッシュ型の情報収集を開始することによる情報収集力強化、「働きかけ」「要請」「勧告・公表」制度の執行力強化を進める。

なお、2024年4月からのドライバーの時間外労働上限規制を見据え、時限措置として、「標準的な運賃」と「荷主対策の深度化」の制度を創設。トラック事業者の法令遵守に係る国土交通大臣による荷主への「働きかけ」「要請」「勧告・公表」を規定している。「働きかけ」等の実施件数は2019年7月から2024年5月末までの累計で、要請が4件、働きかけが82件。違反原因行為の割合は、「長時間の荷待ち」が43.2%と最も多くなっている。