ニュース

米FTCがAmazon提訴 プライム勧誘“行き過ぎ”「何百万人が騙された」

米連邦取引委員会(FTC)は、米Amazon.comに対し、長年にわたりユーザーの同意なしにプライム会員に登録し、解約を妨害しているとして、FTC法違反などを主張しワシントン州西部地区連邦地方裁判所に提訴した。

FTCは、Amazonが故意に何百万人ものユーザーを騙し、無意識のうちにプライム会員に登録させたと主張している。同委員会はまた、Amazonがユーザーの同意なしにプライム会員に登録させる、あるいは解約を妨害する手法として、「ダークパターン」と呼ばれる、操作的で強制的、欺瞞的なユーザーインターフェースデザインを採用したと指摘している。

例えば、購入を決定するタイミングで何度もプライム会員への登録を勧められ、プライム会員に登録せず購入する方法は(意図的に)見つけにくくなっているという。またいくつかのボタンでは、プライム会員への登録に同意することが明記されていなかったとしている。

解約のプロセスでも複雑さが指摘されている。プライム会員を解約をしようとすると、何度もページを遷移させられ、引き止めるオファーを辛抱強くやり過ごした場合のみ解約できたという。FTCは発表の中で、以前のメディア報道でAmazonが解約プロセスを「イリアス」と呼んでいたというエピソードを紹介。10年におよぶトロイ戦争について綴ったホメロスの長大(全24巻、約1万6,000行)な叙事詩「イリアス」を連想させることから、Amazon内部でも解約を妨害する意図があったことを示唆している。

このほか訴状では、Amazonがこれらの手口について認識していた上で、FTCの調査が始まるまで有意義な措置を講じなかったと指摘、さらにFTCの調査を遅らせ、妨げる行動もあったという。

FTCのリナ・M・カーン委員長は、提訴の発表の中で、「アマゾンはユーザーを騙し、同意なしにサブスクリプションを契約させ、ユーザーを苛立たせるだけでなく多額の損害を与えた。このような手口は、消費者にも遵法企業にも損害を与える」とコメントしている。