ニュース

KDDI、CO2排出実質ゼロの「サステナブル基地局」

サステナブル基地局

KDDIとauエネルギー&ライフは5月31日から、CO2排出量実質ゼロの「サステナブル基地局」を運用開始した。

「サステナブル基地局」は、太陽光発電で自律的に電源を確保し、晴天の日中であれば、1局の基地局運用に必要な電力すべてを供給できる。夜間などは、auエネルギー&ライフによるCO2排出量実質ゼロとなるカーボンフリープランによる電力供給に自動で切り替わるため、24時間365日CO2排出量実質ゼロを実現できるという。

サステナブル基地局では、基地局周辺に太陽光発電パネルを設置し、基地局から電波を発射する際の電力に活用。災害などで商用電源の供給が滞った場合も、太陽光パネルで発電した電力により非常用電源の蓄電池を長持ちさせ、通信が途絶えにくくさせる。

KDDIでは、電力などのエネルギー消費を通じて年間約100万トンのCO2を排出している。これは一般家庭の約40万世帯分に相当するが、98%は携帯電話基地局/通信局舎/データセンターで使用する電気であり、5G普及によりさらなる増加が想定され、対応が急務となっている。

同社では、'22年に局舎においてカーボンフリープランの電力供給に置き換えを進めている。基地局においても、深夜など通信量が少ない時間帯に、基地局を一部スリープすることで電力使用量を最大30%削減しているほか、7通信局舎の購入電力を各地域電力会社のカーボンフリープランへ切り替えるなどの対策を進めてきたが、新たに「サステナブル基地局」を運用開始。カーボンニュートラルへの取り組みを加速する。

今後は、太陽光発電以外の再生可能エネルギーを活用した基地局運用を検討するほか、既設の基地局を切り替えるなどで、「サステナブル基地局」を拡大。2030年度までにKDDI単体の事業活動におけるCO2排出実質ゼロを目指す。

なお、運用開始したサステナブル基地局の数や場所は非開示。「通信量や場所に応じて、判断していく。太陽光パネルを設置できないなど、適していない場所もあるので慎重に見極める。カーボンニュートラルに向けて重要な施策で、積極的に取り組みたい」(KDDI サステナビリティ経営推進本部長 山下和保氏)とした。

また、KDDIでは太陽光パネルやバッテリーを組み合わせた「トライブリッド基地局」も展開していたが、「トライブリッド基地局は東日本大震災を受けて、停電対策が主目的だった。現在も運用しているが、サステナブル基地局はカーボンニュートラルを主目的とし、今後はサステナブル基地局を推進していく」とした。

自然資本や生物多様性への対応「TNFDレポート2023」

6月9日には、自然資本や生物多様性に関するKDDIの考え方を示す「TNFDレポート2023」を国内通信事業者で初めて公開した。

TNFDは、自然関連のリスクと機会が企業の財務に与える影響を開示する枠組みの構築を目指す国際組織。企業や金融機関に対し、自然資本に関する情報開示を促しており、2023年9月に情報開示フレームワークの最終版の公開を予定している。KDDIは最終版公開前にレポートを開示した形となる。

レポートでは、生態系保全に関する課題解決について、KDDIの事業と生物多様性を含む自然資本との関係性(依存度と影響)や、リスクと機会の整理、取り組みの方向性を示している。

KDDIにおけるリスクには、基地局建設や通信ケーブル設置による土地改変などがあげられており、リスク低減のため、自然環境に配慮した通信設備の設置を行なっていることを紹介している。