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iPad版「Final Cut Pro」と「Logic Pro」登場 月700円

「Final Cut Pro for iPad」

アップルは5月9日、iPad向けの動画編集アプリ「Final Cut Pro for iPad」と音楽制作アプリ「Logic Pro for iPad」を、5月24日から提供すると発表した。どちらもサブスクリプション制で、月額700円、または年額7,000円で利用でき、1カ月の無料トライアルもできる。対応OSはiPadOS 16.4以降。対応するiPadは、Final Cut ProがM1チップ搭載iPad以降、Logic ProがA12 Bionic搭載iPad以降。

Final Cut Pro for iPad

動画の撮影から編集、書き出し、シェアまでを行なえるアプリ。まったく新しいタッチインターフェースと直感的に扱えるツールを導入。「新しいジョグホイールによって、編集プロセスがこれまで以上に簡単になり、まったく新しい方法でコンテンツに触れることができる」という。

「ライブ描画」機能を使うと、Apple Pencilを使って動画に直接、絵や文字を書き込むことが可能。Magic KeyboardやSmart Keyboard Folioを組み合わせて、キーコマンドを使うこともできる。

Liquid Retina XDRディスプレイを搭載している12.9インチiPad Proを使えば、HDR動画の視聴や編集、ディスプレイをリファレンスモードにしてカラーグレーディングすることもできる。

プロ仕様のカメラモードを搭載

プロ仕様のカメラモードでは、縦向きや横向きの高精細な映像を撮影しながら、撮影できる残り時間やオーディオレベルの確認、フォーカス、露出、ホワイトバランスなどの設定を手動でコントロールすることもできる。M2チップ搭載iPadでは、ProRes形式での録画も可能。

マルチカムビデオ編集もでき、オーディオソースや最大4台のカメラで撮影したクリップを自動的に同期させて編集が可能。各クリップのアングルは指一本で切り替えられる。

Appleシリコンと機械学習のパワーを活用する「Fast Cut」機能も利用可能で、例えばグリーンスクリーンを使わずに、クリップ内の被写体の背後にある背景をワンタップで除去したり、置き換えたりすることができる。映像を縦長や正方形などのアスペクト比にする自動クロップ、音声から背景ノイズを取り除く「声を分離」も利用可能。

膨大なライブラリーからグラフィックやエフェクト、オーディオを付け加えることも可能。HDR背景、カスタマイズ可能なアニメーションパターン、動画の長さに合わせて自動的に調整されるサウンドトラックといったエフェクトも取り揃える。

そのほか、キーフレームでビデオをオーディオをアニメーション化してクリップを微調整したり、iPhoneのシネマティックモードで撮影したビデオを編集したりできる。シネマティックモードの編集では、カット内の焦点ポイントをワンタップするだけで、フォーカスをゆっくりと変えられるという。

動画ファイルは、ファイルアプリや写真アプリから読み込んで、Final Cut Proのプロジェクト内に直接保存できるほか、iOS用のiMovieアプリで作成したプロジェクトを読み込むことも可能。Final Cut Pro for iPadのプロジェクトを、Macに書き出すこともできる。

Logic Pro for iPad

「Logic ProのパワーとiPadの携帯性を組み合わせた、オールインワンのプロフェッショナル音楽制作アプリ」と謳う。指先で直感的に操作できる、新開発のクリエイティブインターフェイスを採用。マルチタッチジェスチャーを使って、アプリ内で楽器を演奏したり、ピンチやズーム、スワイプ、スクロールといった操作で、複雑なプロジェクトも簡単に操作したりできる。

「Logic Pro for iPad」

iPadの内蔵マイクを使って、声や楽器のレコーディングが可能。iPad Proに搭載された5基のスタジオ品質マイクを使えば「ほぼすべてのスペースをレコーディングスタジオにできる」という。Apple Pencilを使って、精密な編集や、詳細なトラックオートメーションの描画ができるほか、Magic KeyboardやSmart Keyboard Folioを組み合わせて、キーコマンドを使うこともできる。

サウンドブラウザ

まったく新しいサウンドブラウザを搭載。利用可能なすべての楽器パッチ、オーディオパッチ、プラグインプリセット、サンプル、ループが一箇所に表示されるため、ユーザーはプロジェクトにロードする前にタップしてサウンドを試聴できる。

ステップシーケンサー

100以上のインストゥルメントとエフェクトプラグインを利用可能。ビートメイキングとプロダクションのツールを使って、サンプルの切り刻みや反転、ビートとベースラインのプログラミング、カスタムドラムキットを制作することもできる。

Beat Breaker

新しいタイム&ピッチモーフィングプラグイン「Beat Breaker」は、スワイプやピンチ操作でサウンドを変形させたり、シャッフルしたりすることができる。クイックサンプラーでは、オーディオサンプルを切り刻んで、まったく新しい演奏可能な楽器に変換することが可能。

プロ仕様のミキサーも利用できる

そのほか、チャンネルストリップ、ボリュームフェーダー、パンコントロール、プラグイン、センド、オートメーションを備えたプロ仕様のミキサーも利用できる。

ラウンドトリップをサポートしているため、Logic Pro for Macと、Logic Pro for iPadの間で、プロジェクトを簡単に移動させることができるほか、Logic Pro for iPadで作成した音楽を、Final Cut Pro for iPad向けに書き出すこともできる。音楽制作アプリ「GarageBand for iOS」で作成したプロジェクトを開くこともできる。