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東急と東京メトロ、信号保安システムや要介助乗客案内で連携

CBTCシステム概要

東急電鉄と東京メトロは、2028年度の稼動を目指して、相互直通運転を行なっている東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線の信号保安システムを同一の無線式列車制御システム(CBTCシステム)に更新する。また、3月27日より、介助を必要とする乗客の案内に使用している社員用アプリを連携し、案内情報を両社でリアルタイムに共有可能とする。

相互直通運転路線間でのCBTCシステム同時期導入は国内初

CBTCシステムは、無線通信技術を活用して列車の位置や速度を連続的に把握し、列車間の安全な間隔を確保する新方式の信号保安システム。先行列車が進行すると、後続列車はその進行距離に応じ、従来システムよりも速やかに進行可能となり、高い遅延回復効果や、システムを構成する設備全体を2系統設けることで安定稼動につながるという。

高い遅延回復効果について(固定閉そくから移動閉そくへ)

また、従来の信号保安システムよりも省設備化が可能で、メンテナンス性の向上や環境負荷の低減にもつながる。

東京メトロでは'18年度に丸ノ内線において、CBTCシステムの安全性評価を行なうため仮設設備での試験運転を実施。'22年度から実運用へ向けた本設備での走行試験を営業線運転終了後に開始した。今後、'24年度に丸ノ内線、'26年度に日比谷線で稼動予定。

東急電鉄では、特に列車が遅延して低速度で運転している際の踏切遮断時間の改善も見込んでおり、田園都市線のほか大井町線においてもCBTCシステムを導入し、'31年度に稼動する予定。

踏切制御の高度化(東急大井町線)

相互直通運転を実施している2路線がともに共通化したCBTCシステムを導入することで、双方の路線で遅延回復効果が得られ、運行の安定性向上につながる。また、相互直通運転を実施する際、通常は車両に各路線の信号保安システムに対応した装置を搭載する必要があるが、同一の車上装置で両線の相互運行が可能となるため、ライフサイクルコストの効率化にもつながる。そのほか、現行システムとの接続を考慮せずに両線の新システム同士を接続できるため、両社相互に導入コストを低減できる。

信号保安システムの更新に際して、相互直通運転路線間にて両社が連携し、CBTCシステムを同時期に導入する取り組みは国内初。

要介助乗客案内の社員用アプリ連携は鉄道業界初

介助を必要とする乗客の案内については、鉄道業界で初めて、両社の「お客さまご案内用アプリ(社員用)」を連携し、スムーズな案内によるサービス向上を図る。

東京メトロ アプリ画面(左)と東急電鉄 アプリ画面(右)

同アプリは東急電鉄が'17年、東京メトロが'21年に導入し、車いすなどを利用している乗客や、乗車および降車に介助を必要とする乗客を案内する際に使用している。しかし東京メトロ線と東急線間を案内する場合は、両駅間で電話による情報共有を行なっていた。

アプリを連携することで、該当する乗客の乗車列車やQRコードを使用した乗車位置などの案内情報を両社でリアルタイムに共有・連携できるため、例えば東京メトロで乗車し東急で降車する場合でも、スムーズな案内につなげられる。

対象路線は、東急電鉄が東横線・目黒線・田園都市線、東京メトロが全線(他社の管理委託駅を除く)。