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「宅配専用ボタン」付きインターホン 自動応答で置き配指示

郵便受け・宅配ボックスを展開するナスタは、業界初という「24時間防犯カメラ」「宅配専⽤ボタン」を搭載した住宅向けインターホン「Nasta Interphone」の一般販売を、3⽉1⽇から開始した。価格はオープン。発表会ではコロナ以降の犯罪の傾向と家庭で必要となるセキュリティについても説明した。

Nasta Interphoneは⾃宅のWi-Fiにつなぐことで、登録したスマートフォンから応答ができるインターホン。自宅のあらゆる場所で来訪者を確認できるほか、「お出かけ通話プラン」(月額120円)の利用で外出先からリアルタイムで玄関前の様子を見たり、訪問者と通話ができる。

24時間防犯カメラ機能では、訪問者の有無に関わらず、インターホン内蔵カメラで24時間⾃宅前を録画。ナイトビジョン搭載で、照明がなくても鮮明に撮影できるとしている。録画と同時に伝言の録音も可能。留守録機能により訪問者の用件を映像と音声で後から確認できる。

ナイトビジョン イメージ

撮影した内容は、室内に設置する「室内親機」にてmicroSDメモリーカードに記録される。録画時間は32GBで約12日間、64GBで約24日間、128GBで約48日間。

録画済みのデータはアプリから確認可能。また、不審なときなどに玄関前の様子をリアルタイムで確認でき、音声で呼びかけることもできる。

防犯カメラ履歴画面

留守番視聴プラン(月額120円)を用意しており、外出先から録画履歴(訪問履歴・通話確認履歴・留守録履歴)の確認再生が可能となる。お出かけ通話プランと留守番視聴プランのすべての機能を網羅した「全部のせプラン」(月額200円)も用意する。

宅配専用ボタンは、呼出ボタンに並ぶ形で設置。⾃動応答設定により「配達ありがとうございます。宅配ボックスに荷物を入れてください」などの音声により置き配を指示するなど、宅配便を受け取る際の対⾯での応答が不要となる。選択できるメッセージは宅配ボックスのほか、「玄関前に荷物を置いてください」、「再度配達をお願いします」、およびオリジナルメッセージ。

宅配イメージ
呼出ボタンと宅配専用ボタン
⾃動応答設定で宅配専用ボタンが押されたときのメッセージを選択できる

そのほか、手が離せないときにインターホンが代わりに音声メッセージで応答する機能や、呼出音が鳴らないおやすみモードを搭載している。応答機能のメッセージについては、テンプレートから選べるほか、オリジナルメッセージの作成もできる。

来客イメージ
代わりに音声メッセージで応答

玄関子機のサイズは露出時で96×34×130mm(幅×奥行×高さ)、室内親機のサイズは153×35×153mm(幅×奥行×高さ)。玄関子機のカラーはホワイト、シルバー、ブラックの3色展開、室内親機はホワイトのみ。

玄関子機のカラーはホワイト、シルバー、ブラックの3色。スマホ、タブレットはイメージ
手前が室内親機

スマートフォンやタブレットで応答するインターホンのため、室内親機にモニターは搭載されていない。玄関子機と室内親機のみの標準セットのほか、タブレットも加えたセットも用意する。スマートフォンアプリの名称は「NastaInterphone」で、iOS 14.0以降、Android 8.0以降に対応。

家電量販店などでも販売するが、設置には資格が必要で、資格を持っていない購入者自身の設置はできない。

また、ナスタは大和ハウス工業と、24時間防犯カメラ機能付きインターホンを搭載した戸建住宅向け宅配ボックス「Next-Dbox+S」を共同開発。大和ハウス工業が4月1日より全国で発売するほか、大和ハウス工業が開発・販売する全国の戸建分譲住宅地に順次導入する。

Next-Dbox+S

コロナで家時間増加→在宅を前提とした犯罪が増加

開発の背景には、戸建て住宅を狙った犯罪の増加と、ECやフードデリバリーなどの宅配利用の増加の2つがある。

昨今では不在時の空き巣ではなく、在宅時の事件発生が拡大傾向にある。この理由としてナスタ 代表取締役 兼 CEO 笹川順平氏は、コロナ下で家にいる時間が増えたことで、住宅侵入窃盗犯も家に人がいることを前提とするようになったと説明。不在時の空き巣対策を前提としたセキュリティからの変化が求められていると指摘する。

ナスタ 代表取締役 兼 CEO 笹川順平氏

加えて、宅配の増加に伴い、インターホン利用の大半が宅配物受取時となっているという。そういった中で配達員を装った犯罪も発生していることから、ナスタが実施したアンケート調査では「荷物の対面受取に不安を感じたことがある」人が約60%を占める結果となった。

この不安の理由についてもこの1年で変化があり、'22年3月の調査では「市中感染などのリスク」も半分を占めていたが、'23年2月には30.7%程度まで減っている。「犯罪の増加」は、'22年3月が66.8%、'23年2月が77.5%と、変わらずに高い比率を占める。

防犯対策の代表例として防犯カメラの設置がある。設置したいと思う人は66%にのぼるが、実際には設置していない理由として「費用がかかる」を挙げる人が67%を占めている。

ナスタではこういったセキュリティのあり方の変化やニーズに着目。インターホンと監視カメラが一体となったNasta Interphoneを開発した。

呼出しボタンを押した際に撮影が始まる一般的なカメラ付きインターホンとの違いは、24時間監視ができる点。こういった機能について笹川氏はドライブレコーダーに例えて「ドラレコは常に見守りを行ない、事故があった時にはエビデンスとして残る」と解説。

「Nasta Interphoneでは動きがあった時にスマートフォンに配信される。窃盗事件などでは下見をするケースも多いので、家の周りをウロウロしている不審者に気づくことができれば、警察に通報するといった、犯罪発生前の対策に繋げられる」と説明した。

宅配に関しても、専用ボタンを通じた自動応答機能によるセキュリティ向上を訴求。家に子供や高齢者しかいない時や、女性の一人暮らしなど、特に犯罪に巻き込まれやすいケースでも、自動応答であれば在宅者や居住者がどんな人なのかが相手にはわからない点をメリットに挙げた。

加えて、不在時でも自動応答により置き配指示ができることから、再配達の削減にもつながるとしている。

デザイン監修はクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏。佐藤氏によれば、呼出ボタンと宅配専用ボタンを同じ大きさ、かつシンメトリーにして、今の宅配に対するニーズに応えるデザインとしたという。また、カメラの赤いランプを目立つようにすることで、インターホンが起動、監視していることがわかるようなデザインにしている。

デザインについて説明する佐藤可士和氏