レビュー

明らかに“次世代”インターホン「Google Nest Doorbell」

Googleの「Nest Doorbell」と「Nest Cam」を試した

Google Nestシリーズの新製品として、2021年8月に「Nest Doorbell」と「Nest Cam」の2つが登場した。これまでスマートスピーカーやスマートディスプレイというハブ、いわば「幹」の部分を展開してきたGoogleのスマートホーム製品だが、いよいよその先の「枝葉」部分にまで進出したことになる。家を丸ごと「Google化」する第一歩とでも言うべき動きかもしれない。

そんな「Nest Doorbell」と「Nest Cam」(どちらも23,900円)の両方を試す機会が得られたので、ご紹介しよう。先に言っておくと、Nest Doorbellの方はほぼ戸建向けではあるものの、明らかに既存の国産インターホン製品にない機能と使い勝手を実現している。これから家を建てようと思っているなら、ひとまずインターホン周りの設備を見直した方がいいかもしれない。Nest Camも、従来のネットワークカメラの不満点を解消するような機能を備えており、満足度の高い仕上がりだ。

スマホと一緒にワイヤレスで使える「Nest Doorbell」

「Nest Doorbell」のパッケージ内容

Nest Doorbellの正しい製品名は「Google Nest Doorbell (Battery Type)」となる。ようするに、バッテリー内蔵型のワイヤレスインターホンだ。縦長ボディで、正面にカメラレンズと大きな呼び出しボタンのみを備えたシンプルなデザインだが、バッテリー内蔵のため手に持つとしっかりした重さを感じる。

正面のレンズまわり。実にシンプル
人が近づくとそれを検知し、下部にあるボタン周りが明るく光る

セットアップにはおなじみの「Google Home」アプリを使う。他のGoogle製品や他社スマートホーム製品がそうであるように、Nest DoorbellもGoogle Homeアプリの「デバイスのセットアップ」から新規デバイスとして追加する形。製品のQRコードを読み取って画面の指示に従って進めていくだけなので簡単だ。

初期設定は「Google Home」アプリの「デバイスのセットアップ」から
背面のQRコードを読み取ってセットアップを進める
取り付け方法などの詳しい解説が初めに表示される

内蔵バッテリーで動作し、充電用のType-Cポートに給電しながらの利用はできない(給電しながら利用する方法は別にある)ため、あらかじめ充電してからインターホンとして設置したい場所に取り付けることになる。一番手間がかかりそうなのはその取り付け作業だろう。

本体背面側。右側にあるType-Cポートで充電する

大前提として、Nest Doorbellの使用場所は“ねじ”で固定できる場所に限定される。取り付けには必ず付属の専用台座を利用しなければならず、その台座の固定方法がねじになるからだ。これは盗難対策が主な理由と思われる。台座に本体をセットすると専用工具でしか本体を取り外すことができない仕組みになっているのだ。

バッテリーが減ってきたときは充電のために定期的に宅内に持ち込むことになるわけで、そのときの手軽さも重要。専用工具を使う方式のおかげで、最低限の盗難対策を施しつつ、充電の際に取り外す手間も少なく済む、というわけ。

ただ、ねじを使うということで、固定先は原則「木材」になるだろう。戸建住宅でよく見られる多機能門柱のような金属製のポール、もしくはコンクリート壁などに固定したいときは、別途穴開け加工をするなどひと手間、ふた手間が必要になってくる。

筆者宅では門柱にあった既存インターホンを取り外し、代わりにNest Doorbellを取り付けることに。まず左右方向に角度をつけられる台座を取り付け。これは省いてもいい
次に本体の固定先となる金属製の台座を取り付け。既存のインターホン配線はとりあえずテープで巻いて隙間に押し込んだ
本体の取り付けが完了

「ドアベル」というくらいだから玄関ドアに取り付けられないのか、と思わないこともないが、現実には難しい。金属製の玄関ドアならマグネットで脱着できるようにしたいところだけれど、そうなると盗難の問題が出てくる。木製の玄関ドアだと取り付けられそうに思えるが、住宅用として販売されている玄関ドアは、表面は木製でも内部は鋼板になっていることがほとんどだ。無理に加工して玄関ドアの防犯性能を落としてまで装着するようなものでもない。

筆者宅は運良く門柱に枕木を使っていたので、既存のインターホンを外してそこに取り付けるだけで済んだ。ただし、本来は取り付け高さにも注意する必要がある。詳しくは後述するが、Nest Doorbellは地面に置いた荷物を認識する機能もあるので、それがカメラの視界に入るよう設置高さもある程度厳密に指定されるのだ(カメラレンズとしても縦方向に視界が広くなっている)。筆者宅は目の前がクルマも通る道路で、荷物が置かれるような可能性がないことから、とりあえず来訪者が映ればいいだろう、という気持ちで取り付けた。

Google Homeアプリから開いたNest Doorbellの詳細画面
ライブ映像を表示したところ(背景はぼかし加工済)

それと、Nest DoobellはIP54の防滴・防じん性能をもっているので屋外でも一応使えるが、完全な「防水」ではないことに注意が必要だ。防滴性能は「飛沫に対する保護」レベルで、「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない」というもの。軽い雨なら問題なさそうだとはいえ、土砂降りが直接当たり続けるようだと不安がある。雨がかりをある程度防ぐための工夫も考えたいところ。

多少の雨がかかっても問題はなさそう。だけれど、土砂降りや直射日光にずっとさらされるようだと心配だ

注意点はもう1つ。Wi-Fiによるワイヤレス通信で使用する製品のため、当然ながら「設置場所が宅内Wi-Fiが届く範囲であること」も確認しておきたい。Wi-Fi電波が届きにくいとライブ映像の再生がぎこちなくなる可能性もあるので、その場合はWi-Fiルーター自体の設置場所を変えるか、Nest Doorbellにできるだけ近い屋内にWi-Fiルーターを追加するか、といったネットワーク環境の改善も含めて検討しなければならないだろう。

配達員・さとし。「誰が、何のために来たのか」わかる驚異の認識機能

設置が終わり、Google Homeアプリでのセットアップも完了したなら、あとは活用するだけ。どこからどういう風に活用するかというと、もちろんスマートフォンということになる。

Nest Doorbellのボタンが押されると、スマートフォンに通知があり、その通知からGoogle Homeアプリ内のNest Doorbellの操作画面を立ち上げられる。Nest Doorbellのカメラによるリアルタイムの映像が表示され、画面内のマイクボタンを押すことで来訪者と会話できる。

Nest Doorbellのボタンが押されると、スマートフォンにコマ送り画像とともに通知が送られる
通知をタップするとライブ映像に切り替わり、マイクボタンを押すことで音声通話できる

たとえ外出して留守にしていても、来訪者があったときにはスマートフォンを使ってリモートからNest Doorbellの映像を確認し、応対できる。宅配便だったときには、その場で再配達の相談をしたり、「すぐに戻るから置き配にしておいて」とお願いすることもできるだろう。

しかしそれで終わらないのがNest Doorbellである。単にボタンが押されたら来訪者ですよ、と教えてくれるだけでなく、来訪者が「誰か」も教えてくれるのだ。カメラが人物など動くものを捉えたときには(ボタンが押されたかどうかに関係なく)自動でそれを認識して録画を開始し、通知する機能がある。

人と認識されればその顔が履歴として記録され、名前を付けて登録することで、以降は誰がやって来たのかが瞬時にわかるようになるというわけだ(人物認識などの機能を利用するには、別途月額630円~のGoogle Nest Awareに加入する必要がある。詳細は後述)。

カメラで認識された人物は、最初は「認識されない人物」として記録される。
「知り合い」として名前をつけることで、以降は名前付きで通知される

そして、まだまだそれで終わらないのがNest Doorbellである。単に「誰が来たのか」がわかるだけでなく、「何のために来たのか」までわかってしまうのだ。「そんなばかな」と思うかもしれないが、筆者も「そんなばかな」と思わず口に出してしまったほど。たとえば筆者がチラシを持ってカメラ前を横切ると、「配達員・さとし」として通知されたのだ。なんてこった!

チラシを持って横切ると「配達員・さとし」と認識された

さらに、荷物の箱を持ってNest Doorbellの前に立つと「配達」されたことが通知され、地面に置かれたそれを持ち去ると「荷物が収集されました」の通知が送られてくる。再び「そんなばかな」と思わず口にしてしまう。先述の通り、筆者宅のNest Doorbellの前は道路なので、荷物が置かれることはまずないのだが、通販で置き配をよく指定しているような家では役立つ場面がありそうだ。置き配だと配達に気付けずにしばらく放置してしまうこともあるが、それも防げるだろう。

荷物の箱を置き去ると「配達」されたと通知
その箱を拾うと「収集された」と通知
向かいの家のゴミが収集されたときにも「荷物が収集されました」と教えてくれた。実質、自宅のゴミが収集されたのとイコールなので、ゴミ収集のタイミングまで気付けてしまう

Nest Doorbellが認識するのは人物や荷物だけでなく、動物、車両、その他動くもの全般が含まれる。それらの検知を行なうエリアを映像の一部に限定する「アクティビティ エリア」機能も使えるし、それぞれの種別ごとに検知するかしないか、検知したうえで通知するか、というオンオフ設定もできる。が、できれば必要最小限のエリアと対象物にだけ反応するようにしておきたい。認識するものが多くなると、Nest Doorbellの動作時間がその分長くなり、バッテリーのもちが短くなる可能性があるからだ。

人物、動物、走行車両などを個別に検知・通知するかを設定できる
検知・通知量や録画時間・画質などによってバッテリーのもちが変わる

フル活用するならGoogle Nest Hubシリーズは必須

ところで、Nest Doorbellで来訪者がボタンを押したとき、常にスマートフォンで応答するのは実のところあまり合理的とは言えない。他のアプリと同じような通知なので緊急度合いがわかりにくいし、スマートフォンをロックしていると即座には対応しにくい。そもそもボタンを押してから通知されるまで数秒ほどかかるときもある。スマートフォンで電話中に来訪者があって対応しようとすると、少なくとも通話を一時中断しなければならない問題もある。

これを解決する方法の1つが、スマートディスプレイの「Google Nest Hub」シリーズになる。Nest Doorbellのボタンで呼び出されたとき、同じネットワークに接続しているNest Hubシリーズなら、自動でその映像に切り替わり、画面タップで応答できる。通話もできるし、対応不要なら「無視」も可能だ。Nest Doorbellを日常的に利用することを考えると、むしろインターホンの室内モニター代わりになるGoogle Nest Hubシリーズは必須と言ってもいいかもしれない。

Google Nest Hubと連携すると、Nest Doorbellのボタンが押されたときに自動でその映像に切り替わる
夜間など周囲が暗いときは赤外線センサーによるモノクロのナイトビジョンに自動で切り替わる

ただ、運用における課題が1つある。それは、本体充電中の来訪者対応はどうするのか、というシンプルな問題だ。仕様上は一般的な使用方法で1カ月以上動作するようだが、充電中は「インターホンがない」という空白の数時間(仕様では満充電まで約5時間とされている)が生まれてしまう。一番簡単な解決方法は「もう1つNest Doorbellを買う」ことだが、そうなると今度は1カ月以上、使い道のない1台が遊んでいる状態になるわけで……。

バッテリー残量が残り少なくなったときは取り外して室内で充電しなければならないが……

普通に考えれば、来客がまずない就寝時間帯に充電しておくか、ということになるが、やはり手間ではある。そんな人のためにNest Doorbellは、電源(または既存インターホンの配線)を直結して給電することができるようにもなっている。電源線を利用する場合は電気工事士の資格が必要になるので注意が必要だが、直結してしまえばもう充電のことを気にする必要はない。後々のことを考えるなら、電源直結(インターホン配線の利用)を検討してみるのが良さそうだ。

インターホン配線を利用する場合は、その元のインターホンシステム(親機)の呼び出し音を鳴らすようにも設定できる。バッテリー動作時は設定がグレーアウトされ利用できない

オプションも充実のバッテリー内蔵ネットワークカメラ「Nest Cam」

ネットワークカメラ「Nest Cam」

続いて試したのが「Google Nest Cam」。こちらは、機能的にはNest Doorbellの「インターホン的なところ」を省いたもの、と表現してしまってもいいかもしれない。Nest Doorbellと同様にIP54の防滴・防じん性能をもつ、屋外使用にも対応したネットワークカメラだ。バッテリー内蔵で、専用ケーブルによる給電しながらの動作にも対応する。

給電端子は独自形状。三脚用のねじ穴もあるので、固定方法は幅広い

外観は丸っこく、かわいらしいが、サイズはなかなか巨大でずっしりくる。標準的な使い方におけるバッテリー駆動時間が3カ月間と長いこともあって、バッテリーがサイズや重量に占める割合が大きいとも考えられるが、防犯用カメラとして捉えるとそれなりに遠くからでも目立ってしまう。室内監視用として置いていても自己主張がかなり強いので、その点はあらかじめ頭に入れておきたい。

まあまあずっしり感があり、大きい
自在な角度で固定できるマグネットプレート
屋外にマグネットプレートで固定したところ。それなりに目立つ
スマートフォンでフルスクリーン表示したときの映像(最高画質設定)

カメラ本体に付属している設置用のアイテムは、マグネット内蔵のプレートと、そのマグネットプレートと組み合わせて壁にねじ留め固定する壁面プレートの2種類。マグネットプレートは金属部分に貼り付けることができ、さらにそのプレートとカメラ本体もマグネットでくっつくようになっている。カメラ本体後部の丸まっている側ならどこでもくっつくので、回転させて自在に角度調整できる。

その他に、別売オプションとして「Google Nest Cam スタンド」(3,900円)というものも用意されている。棚などの水平な場所に設置するときに使いやすい給電機能付きのスタンドで、水平から下方向45度までの間で角度調整が可能だ。

「Google Nest Cam スタンド」(3,900円)
水平から下方向45度までの間で角度調整が可能
専用別売スタンドで室内に設置してみたところ。なかなかの存在感
屋外配線用の「Google Nest Cam 防塵・防滴ケーブル」(5m 3,900円、10m 5,200円)。その他、盗難防止用のオプションも用意される

Nest Camの使い方は、一般的なネットワークカメラと同様オーソドックスなもの。宅内Wi-Fi経由でリアルタイムのライブ映像を確認できるほか、人物や動物、走行車両のなどの動きを認識(モーション検知)して自動録画し、後からそのシーンを録画映像で確認することもできる。このあたりはNest Doorbellとほぼ同じだが、地面に置いた荷物の認識機能だけNest Camでは省かれている。

過去のモーション検知による自動録画シーンをまとめて一覧し、映像確認できる
モーション検知は人物、動物、走行車両、その他に対応。荷物の検知はできない

人物の認識機能はもちろん利用可能。自宅室内だとあまり使い道はなさそうだが、たとえばオフィスの入口に設置しておいて、出社・退社したスタッフを認識し、通知で把握するといった使い方が考えられるだろうか。あらかじめ登録しておいた人物以外も検知・通知はできるが、「登録した人物以外の検出のみ通知する」というような機能は今のところないので、見慣れない人物(たとえば泥棒など)を捉えたときのみ通知して防犯に活かす、といった使い方ができないのは残念なところだ。

「アクティビティ エリア」機能で認識・通知を自由自在にカスタマイズ

Nest Camにおいて最も肝になりそうなのは、このモーション検知と「アクティビティ エリア」機能の組み合わせだ。アクティビティ エリアは、映像内の指定した一部エリアのみを、モーション検知の対象に設定できるようにする機能。たとえば映像内の遠くを通行する人やクルマは検知対象外にして、手前側の自宅敷地内で発生したモーションのみ検知・通知の対象にするという使い方ができるものになる。

「アクティビティ エリア」の設定で、エリア検知が可能になる

Nest Doorbellの方も先述した通りアクティビティ エリア機能は備えているのだが、用途を考えると映像全体を認識するのが基本となるので、それほど出番はないように思う。しかし監視カメラ・防犯カメラとしての使い方が考えられるNest Camでは、こうしたエリア検知の機能は重要。監視が不要な動きまでいちいち認識して通知が送られてしまうのは煩わしいわけで、できるだけ防犯上必要な通知のみを受け取りたいからだ。

そういう意味で、Nest Cam(Nest Doorbellもそうだが)のこのエリア検知の仕組みは、少なくとも現在手に入る家庭用ネットワークカメラのなかでは最も優秀と思われる。少なくとも筆者としては、これほどまでに高度なカスタマイズを可能にしているネットワークカメラは見たことがない。

まずこのエリア指定をするときの範囲を、単純な矩形ではなく、多角形で設定できるのが特徴の1つ。矩形だとどうしてもざっくりとした範囲指定しかできないのが問題だった。本来なら範囲指定したくない部分まで含めざるをえない場面もあっただろうし、それで余計な検知が増えてしまうくらいなら、いっそ範囲を狭めてしまおう、と諦めてしまうこともあったはずだ。が、Nest Camでは8つのポイントを自由に動かして、余計な部分を避けながら範囲指定できる。

エリアを指定しているところ。8つのポイントを動かして多角形で検知範囲の指定ができる

しかも、エリア指定は最大4つまで追加可能だ。各エリアは重なっていても問題ないし、たとえば映像の左側の一部と、そこから離れた右側の一部の2カ所を範囲指定する、といったことも可能になっている。

最大4つのエリアを設定可能

そして、その最大4つのエリアごとに、人物、動物、走行車両その他のモーション検知の方法、内容も変えられる。あるエリアは人物の検知と通知を行ない、あるエリアは車両と動物の検知だけ、そしてもう1つのエリアは動物の検知と通知をする、というようなきめ細かい設定も行なえる。

エリアごとに人物、動物、走行車両などの検知内容を変えられる

もっと言うと、4つのエリアで指定しなかった以外の「(余白)エリア」も、独立したエリアとして個別の検知・通知設定が有効になるので、実質最大5つまでのエリアについて検知の振る舞いをカスタマイズできることになる。家族の外出・帰宅の把握や、敷地内深くまで侵入してきた怪しい人物の検知はもちろん、駐車場にあるクルマの盗難検知なんかにも役立ちそう。設定次第でさまざまに応用できるに違いない。

圧倒的な魅力をもつ製品だが、課題や不安も

Nest Doorbellについては、機能面においても、Nest Hubシリーズと組み合わせたときの使い勝手の面においても隙がなさそうだが、筆者が試しているなかでいくつか気になる問題も発生した。1つは、呼び出しボタンが押されてNest Hubで応答すると、発声した言葉がNest Doorbell側で壊れたレコードのようになって雑音混じりで聞こえてしまう現象だ。最初の1秒程度ではあるものの、コミュニケーションミスの原因になりかねないのが心配ではある。

それともう1つ、Nest Doorbellの呼び出しボタンが押されるなどして、Nest Hubに映像が表示されると、同じネットワークに接続しているリビングのテレビ(Android TV)で再生中のYouTube動画が一時停止してしまう現象。これはNest Camのライブ映像をNest Hubで見るときにも発生した。Googleアカウントを共通で使っているのが問題かとも思ったのでAndroid TV側でログアウトしてみたが、それでも解決せず。これらの問題は今後のアップデートで解消されることを期待したい。

ちなみにNest DoorbellやNest Camの映像を「Chromecast with Google TV」から見られるかも試してみた。Nest Hubだと「(デバイス名)を再生して」というように音声命令すると映像を見られるが、Chromecastで同じように命令しても「対応していない」というメッセージが出るだけ

なお、Nest DoorbellやNest Camで利用できるモーション検知による録画の保存(最大で3時間分を30日間)、アクティビティ エリア設定、人物認識などの機能を利用するには、別途「Google Nest Aware」(月額630円)というサブスクリプションサービスの登録が必要になる。Nest Camの方は「Google Nest Aware Plus」(月額1,260円)も利用でき、この場合はモーション検知による録画保存が60日間に延長され、連続10日間の録画保存にも対応する。

Nest DoorbellとNest Camの便利な機能を使いたいときは「Google Nest Aware」または「Google Nest Aware Plus」をサブスク契約する必要がある

両製品とも、その利便性を最大限に高めるには追加のサブスク登録が必要になるとはいえ、既存の他社インターホン、ネットワークカメラ製品にはない圧倒的な魅力があることは間違いないだろう。ほとんどのユーザーは、スマートフォンに新たな専用アプリをインストールすることなく、Google Homeアプリがそのまま使える導入ハードルの低さやデバイス連携のしやすさも強みだ。

特にNest Doorbellは、本体価格が23,900円とインターホンとしてはそう高額なものではなく、戸建を新築するときに国内大手住設メーカーの上位機種を選ぶのと比べても、(配線工事を除けば)おそらく価格的にはほとんど変わらないか、安いくらいだろう。それでいて機能面では確実にNest Doorbellが上だ。

唯一気になるのは、10年、20年と長く使えるかどうか、というところだろうか。こういった製品の場合、2、3年で故障して買い替えるか、もしくは世代的に古くなって置き換える、というパターンは大いに考えられる。劣化が避けられないバッテリーによる動作というところも懸念点だ。短期的にはコストパフォーマンスが高く感じられたとしても、長い目でみると決してそうではない可能性はある。

日本の家づくりに対する意識が変わるターニングポイントを、今まさに迎えつつあるのでは、とうっすら感じるところはありつつも、家に直接関係するパーツは長い耐用年数が求められるところもある。Googleがそこにどこまで本気で取り組んでくれるのかは、期待半分、不安半分といったところだ。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。AV機器、モバイル機器、IoT機器のほか、オンラインサービス、エンタープライズ向けソリューション、オートバイを含むオートモーティブ分野から旅行まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「できるGoProスタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS+Androidアプリ 完全大事典」シリーズ(技術評論社)など。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。