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リユース品事故に注意。メルカリとNITE「5つのチェックポイント」

製品評価技術基盤機構(NITE)は、メルカリと連携し、リユース品(中古品)を安全に使用するため、「リユース品使用時の5つのチェックポイント」を作成し、動画も公開した。

リユース市場は、ロシアのウクライナ侵攻や円安による資源価格高騰の影響をうけ、さまざまな製品の値上げが相次ぐなか、2021年には約2.7兆円の市場規模に成長。前年比10%以上の伸びを記録している。こうした動きは今後も続くと見られるが、市場規模に比例してリユース品による事故も増加。2017年度から2021年度の5年間で合計279件の事故が発生しているという。そのうち229件(約8割)が「火災」をともなう事故で、5件の死亡事故も発生している。

2017年から2021年までの5年間でリユース品の入手法ごとに事故発生件数をみると、39%が「知人からの譲渡」で110件。次に中古品販売店が27%で75件、インターネットでの購入が15%で41件などと続いている。

事故発生件数が最も多い製品は、パソコンなどを含む家庭用電気製品で、いずれの入手方法でも事故の大半を占めている。

製品別にみていくと、最も事故が多いのがパソコンの31件。次に冷蔵庫16件、電気ストーブ15件などと続くが、特筆すべきなのが携帯電話6件、バッテリー・電池6件という数字。いずれも2021年度だけで携帯電話が3件、バッテリー・電池が4件と直近の事故件数が急増している。モバイルバッテリーは別に統計されており、5件が発生し、その内2021年に発生した事故は1件。

原因は、事故の要因となった製品が火災によって焼失してしまうことが多いため全てが明らかになるわけではないが、最も多いのが「リユース品がリコール対象製品だったもの」とし、35件が該当。次に「経年劣化などの不具合」(18件)、「不備がある状態で入手して使用したもの」(10件)などが挙げられる。いずれも販売者および使用者が気をつけていれば防げる事故だったとし、その啓蒙のため「リユース品使用時の5つのチェックポイント」を作成した。

チェックポイントは、「リコール対象製品ではないか」「長期間使用された古い製品ではないか」「取扱説明書はあるか」「製品に修理や改造の履歴はないか」「非純正品が使われていないか」の5つ。

リコール対象製品による事故では、2018年に中古販売店で購入されたノートPCが発火して焼損する事故が発生。バッテリーパックに使用しているバッテリーセルの製造上の不具合があったもので、2014年からメーカーがリコールを呼びかけていたが、中古で購入したユーザーにはリコール情報が伝わっていなかった。

ポイントとしては、リユース製品を購入した場合は、所有者や購入検討している製品がリコール対象になっていないか確認することをあげている。

経年劣化による事故では、賃貸マンションに設置されていたIH調理器が焼損する火災が発生。11年にわたる長期使用がされていたため、トッププレートのシール材が劣化し、隙間から煮汁等の液体が基盤に付着することで起こった事故。使用中に何度か警報ブザーが鳴っていたが、電源を入れ直すことで通常通り使用できるようにみえて使い続けたため事故に至った。

ポイントとしては、製造時から長期間経過している製品には注意することや、不具合のある製品は使用しない、などをあげている。

取扱説明書を読まず、誤った設置をしたことによる事故については、ガス給湯器を専門業者によらず購入者自らが設置したため、正しく設置することができず焼損事故が発生した。本来は取扱説明書にも専門業者が設置するよう記載されていたが、使用者が自分で製品を設置した際、ゴム管口にパッキンのない状態で接続したため、ガスが漏洩して引火したもの。

ポイントとしては、取扱説明書を入手し、製品の状態を確認することや、設置作業は専門の工事業者などに依頼することをあげている。

修理・改造された製品による事故では、譲渡された電気ストーブを使用中、電気ストーブが焼損する事故が発生。原因は、電気ストーブの電源コードを本体内部で切断し、別の電源コードを「ねじり接続」していたため、接触不良により異常発熱して出火したもの。

ポイントとしては、製品の修理や改造の履歴に注意することをあげ、素人が改造や修理したものは他人にゆずったり、使ったりしないように呼びかけている。また、製品内部が改造されていて外見からは分からないケースもあり、動作がおかしかったり、異音・異臭がする場合は直ちに使用を中止してほしいという。

非純正バッテリーによる事故では、廃校となった学校から譲渡された電気掃除機を使用中、本体および周辺が焼損する事故が発生。電気掃除機には非純正のバッテリーが搭載されており、その制御機能が不十分であったことからバッテリー内部で短絡し発火に至った。メーカーとしては非純正バッテリーの使用は禁止しており、非純正品は制御機能やそもそも品質が不十分なものがある。

こうしたリスクを避けるため、リユース品購入時には非純正バッテリーが使われていないか、販売者だけでなく購入者側からも確認することを推奨している。

NITEではメルカリと協力して啓蒙用の動画も公開。リユース品使用時の注意ポイントをチェックできるチェックリストも公開している。

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