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免許不要で歩道を走れるスクーター「WHILL Model S」

WHILLは、歩道を走れるスクーター「WHILL Model S」の先行受注を開始した。価格は218,000円(非課税/以下同)から。機体の位置や状態を確認できるIoTサービスアプリ「WHILL Family App」も開発し、専用のプレミアムサービス「WHILL Premium Care」を2023年1月から提供する。

免許返納後の移動手段の選択肢とされる電動アシスト自転車やシニアカーでは満たせなかったニーズをスクータータイプの近距離モビリティとして展開するもの。従来のシニアカーとの違いは、デザイン性やバッテリーが取り外し可能なこと、車幅もコンパクトな点などを挙げる。

同社がこれまで開発してきた電動モビリティ「Model F」等の流れをくみながらコンセプトを一新。従来は独自のレバー式コントローラーにより操作をするインターフェイスだったが、Model Sではスクーターや車のハンドルをイメージした操作方法に変更。ハンドルを切る操作でステアリングを操作し、ハンドルに設置されたレバーを手で操作して前進、後進を制御できる。レバーを小さく引けばゆっくりと動き、大きく引けば速度が上がる。手を放せばブレーキがかかる。また、最大速度はパネル上のダイヤルによって設定し、不用意に速度がでないようにできる。

ハンドルの内側にある前進用の「D」、後進用の「R」により前後進を操作する

電源はクルマのエンジンを掛けるように物理キーで操作。最大速度は時速6kmで歩道の走行が可能。バッテリーは最大約33kmの航続距離をもち、最大7.5cmの段差を乗り越え可能にする強力なモーターを搭載。Model F(273,000円)と比べて価格を抑えながら、航続距離や段差性能は向上している。

物理キーで電源を入れる。物理キーの真下にあるのは充電ポート
段差は最大7.5cmまで乗り越え可能

反面、折りたたみや分解などでコンパクトに車載をするのは不向きで重量も63kgあるため、車いす的にクルマにも搭載可能な前モデルと異なり、電動アシスト自転車などの代りに使うことをコンセプトとしている。

バッテリーは本体に取り付けたままでも、取り外して屋内で充電することも可能。バッテリーは鉛電池で重量は15kg。

バッテリーを取り外したところ
LEDライトのスイッチ
LEDライト
後部はテールランプを装備
後部には車輪のロックボタンも。万が一バッテリーが切れた場合、ロックを解除すれば手で押して移動もできる
クラクションのスイッチもあるが、けたたましい音が鳴るわけではなく、威圧感のない音が出る音を出すようになっている
シートは高さ調節が可能。アームレストなどもオプションで後付けできる
足をゆったり置けるスペース
カゴは標準装備

カラーはアイコニックホワイト、シルキーブロンズ、ガーネットレッド、ラピスブルーの4色。アイコニックホワイト以外は追加で15,000円が必要。本体サイズは119×55.3×92cm(全長×全幅×全高)、重量は63kg。

アイコニックホワイト
シルキーブロンズ
ガーネットレッド
ラピスブルー

新開発のIoTサービスアプリ「WHILL Family App」により、Model S専用の新サービス「WHILL Premium Care」も提供。従来から提供していた保険、ロードサービス、メディカルアシストを提供する「WHILL Smart Care」に加え、位置情報やバッテリー状態、毎日の外出履歴、外出/帰宅のお知らせなどを家族に共有できる機能を提供する。これにより離れて暮らす家族でも利用状況を確認できるようになる。2023年1月以降に提供予定で、料金は年額26,400円。

より「歩ける層」の自分向け乗り物に

同社は、免許返納後の70~80代のシニアを対象にアンケートを実施。電動アシスト自転車はバランスが取りづらくふらついてしまい、体力的にも厳しい点や、シニアカーは昔からの見た目で積極的に乗りたいと思えず、自分向けの乗り物ではないという意見が寄せられたという。

こうしたことから、Model Sは、全く新しい移動手段として提案。電動アシスト自転車よりも安定して歩道を走行し、シニアカーよりもなじみやすいシンプルなデザインとした。また、従来のModel C2やModel Fは、100m程度を歩けるシニア層約500万人をターゲットとしていたが、Modes Sでは、さらに500mまで歩けるシニア層約700万人を加えた合計1,200万人がターゲットとしている。

WHILL Modes Sの位置づけ
ターゲット層を拡大
WHILL代表取締役社長 CEO 杉江 理氏