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小田原~強羅駅間で運賃値上げ。箱根登山鉄道

出典:箱根登山鉄道

箱根登山鉄道は11日、小田原~強羅駅間の旅客運賃の変更認可申請を、関東運輸局長あてに行なった。大人運賃、通勤・通学定期を値上げする。改定予定日は10月1日。

大人運賃は20~90円の値上げで、主要区間である小田原~箱根湯本では現行運賃320円が360円に、小田原~強羅では680円が770円になる。通勤定期(大人1カ月)は340~2,320円、通学定期(大人1カ月)は160~1,200円の値上げとなる。

なお、鋼索線(強羅駅~早雲山駅間)の運賃改定は実施しない。箱根フリーパスや箱根登山電車1日乗車券「のんびりきっぷ」、登山電車・ロープウェイ「大涌谷きっぷ」なども引き続き販売する。

申請の理由として、輸送人員の減少を挙げている。小田原~強羅駅間の輸送人員は1,990年度の1,032万1,000人をピークに、2010年度には800万人を下回る水準まで減少。2020年度は、ピーク時の4割となる413万4,000人まで減少した。

こうした事業環境下にあっても、開業100年を超えて老朽化したトンネルなどの設備改修・マクラギや電柱の更新工事などを計画的に実行し、保安度の向上を図ってきた。

また、2020年度には令和元年東日本台風(19号)被災に伴う災害復旧により、被災前の運輸収入を上回る規模の設備投資を余儀なくされた。これにより、減価償却費が10年前と比較して7割以上増加しているほか、設備維持管理コストも大幅に上昇している。

鉄道線の旅客運賃は、1997年4月の改定を最後に、以来25年間改定を実施していなかった(消費税率引き上げに伴う改定を除く)。この間、有人駅日勤化や運転業務・出改札業務の委託などによる要因の見直し、保守作業の効率化などでコストダウンを進め現行の運賃水準を維持してきた。

しかし、現行運賃水準のままでは中長期的な事業運営は極めて困難であると判断。乗客の負担に配慮しつつも旅客運賃をコストに見合った適切な水準に見直すため、25年ぶりとなる運賃改定の申請に至った。

鉄道線の収支実績および推定(単位:千円、%)
鉄道線運賃収入の内訳(単位:千円)
鉄道線輸送人員の推移と今後の見通し(単位:千円、%)
設備投資実績と計画(単位:百万円)