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バンダイナムコ、“IPメタバース”開発が重点戦略に

バンダイナムコグループは、メタバースへの大規模な投資を打ち出すなどした新中期計画を発表した。

新中期計画では、IP軸戦略をさらに強化していく方針。エンターテイメント業界における「IP」とはIntellectual Property(知的財産権、知財)のことで、作品タイトルのことを指す事が多い。例えば続編ではない完全新作を「新規IP」などと呼んでいる。バンダイナムコにおいては、機動戦士ガンダムシリーズ、アイドルマスターシリーズなどが有力な大型IPにあたる。

ロゴをリニューアル

2022年4月からの3年間に向けた中期計画では、「パーパス」として社員に向けたグループ最上位の概念「Fun for All into the Future」を制定、これを反映した、ファンとつながっていくという中期ビジョン「Connect with Fans」を策定している。

またパーパスの考えを反映した新しいロゴマークも導入する。原則として全商品・サービスに新ロゴマークを表記し、グループの一体感やグローバルでのブランド価値向上を目指す。新ロゴマークはマンガの吹き出しをモチーフとしたフレームが特徴で、情熱や楽しさ、大胆などの印象を与えるレッドを採用している。

“IPごとのメタバース”を開発

重点戦略は「IP軸戦略」で、これは、IPでファンとつながる「IP×Fan」、IPの価値を磨く「IP×Value」、IPで世界とつながる「IP×World」の3つで構成される。

このうち最も目新しいのは「IP×Fan」の戦略で、「IPごとのメタバース」を開発する方針を打ち出した。開発投資には150億円をあて、データ基盤の構築やコンテンツ開発を行なう。

メタバースとは一般的に、VRなど仮想空間で提供される、ソーシャル性のある(他人がいる)コンテンツ・サービス。バンダイナムコのIPメタバースでは、仮想空間の中でIP(ガンダムなど各タイトル)を軸とした幅広いエンターテイメントが楽しめるとし、フィジカルな商品・場所とデジタルが融合する仕組みも想定する。IPメタバースでバンダイナムコとファン、またファン同士が長期にわたって深く、広く、複雑につながる関係を構築し、「つながり方の質を追求する」としている。

合計400億円を投資、「サンライズ」はブランドに

また、従来型の事業軸に加えて“IP軸”の取り組みを拡大、これまで以上に事業間連動を図っていく。IP軸戦略の進化に向けては、新規IPの創出やグループ横断IPプロジェクトなどに250億円を投資する計画で、前述のIPメタバース開発に向けた150億円とあわせて、合計400億円を投資する。

このほか映像や音楽を手掛けるIPプロデュースユニットは内部で再編、映像音楽事業とクリエイション事業を統合し「IPプロデュース事業」に一本化する。同ユニット内で映像事業を展開するサンライズなど3社は、バンダイナムコフィルムワークスとして統合される。なお、サンライズはブランドとして継承される。

グループの2025年の連結売上高目標は1兆1,000億円、連結営業利益は1,250億円。