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Google、視覚障がいを持つランナーが自由に走れることを目指すプロジェクト

Googleは、視覚障がいを持つランナーが一人で自由に走れることを目指す研究開発プロジェクト「Project Guideline」をスタートした。

視覚障がいを持つ人がランニングを楽しむためには、通常、目の見えるランナーが視覚障がい者にとっての「目」となり、ともに走ることが必要となる。Project Guidelineは、「視覚障がいを持つランナーが一人で走るために、テクノロジーを使ってできること」の可能性を追求し、スマートフォンとヘッドフォンを使い、ランナーをガイドする技術を提供する。

Project Guidelineでは、Androidスマートフォンで動作する画像認識技術を活用。地面に引かれた色のついた線を見分け、その線がランナーよりも左か、右か、中央なのかを瞬時に判断し、ヘッドフォンを通じて音声シグナルを送る。ランナーはその音を頼りに、線から逸れることなくランニングできる。

線から左右にズレると音が大きくなるなど、ランナーに左右のズレを通知。またネット接続も不要でリアルタイムで動作する。

Project Guideline: Towards helping everyone to run freely

道路に引かれた線を機械で処理するのは難しく、例えば、ランナーが装着したカメラに映る線は常に揺れており、外に出れば光の向きや明るさも常に変化する。コースには影や落ち葉が落ち、地面の色も一定ではなく、コースのカーブに対応するなど、様々な課題がある。様々な条件下でも正確な判断をできるよう、機械学習用ライブラリTensorFlowを活用した機械学習モデルを構築し、精度を向上させていく取り組みを続けている。

米国では2020年に発表されたが、日本でも同プロジェクトを展開。全盲のランナー御園 政光氏を最初のパートナーに迎えて、テストとフィードバックを繰り返し、5月には Project Guidelineの助けだけで10kmを走り切ることに成功したという。

今後はより多くの視覚障がいをもつ人に体験してもらい、フィードバックをもらうことで技術の向上を目指す。データ収集のためのイベントやフィールドテストに協力する企業やNPO、テストに協力する視覚障がい者の募集も開始した。